全国に先駆けて2歳新馬戦がスタートしたホッカイドウ競馬。
4月20日には初回のコラム【田中淳司厩舎編】で紹介した
ポリゴンウェイヴ(JRA認定スーパーフレッシュチャレンジ競走)がデビュー勝ち。
スタート直後に躓くロスがありながらも、持ち前のスピードを生かして世代の一番星に輝いている。
また、翌21日にも同コラムで紹介したライトニングブルー(JRA認定フレッシュチャレンジ競走)が
後続に8馬身差をつけて1分02秒1(良)の好タイムで圧勝。
前評判どおりの力強い走りを見せてくれた。
今回はホッカイドウ競馬ゆかりの血統馬からとくに厩舎評価の高い3頭をピックアップする。
母オノユウから受け継いだ運動能力、桑村騎手の評価も上々のカスミノモリ
「この母の子を預けていただけて、嬉しい」。
カスミノモリの母オノユウは09年に角川秀樹厩舎からデビューして、
2つの地元重賞タイトルを獲得したのち、エーデルワイス賞を制覇。
豊かなスピードとコーナーワークの巧さで1,200m~1,800mまでカバーした万能タイプだった。
潜在能力の高さから産駒は中央で出走する馬もおり、
オノユウの子がホッカイドウ競馬でデビューするのはバブルガムダンサー(栄冠賞勝ち)以来となる。
昨年サマーセールに上場された際には「少し幅が足りないかな」(角川師)という印象だったのが、
トレーニングを積むにつれて確かな成長を感じるようになったという。
「お母さんは大きな馬でしたが、コーナーでも手前をかえて気持ち良く加速していけるような馬だった。
この子も走り方などを見ているとそうした運動能力は受け継いでいるようです。
調教に跨った桑村騎手も“いいですね”と評価していますよ」
3月10日の能検では2番手から楽な手応えで抜け出し、1着入線を果たしている。
なお、現状は短距離タイプというのがプロの見立て。
師をはじめ、厩舎にはこの血統を熟知しているスタッフが揃っており、
成長を見極めたうえで、ベストのタイミングで初陣を迎えることだろう。
母譲りのスピードが持ち味のインプローヴィングも早期デビュー予定
角川厩舎ゆかりの血統からもう1頭、注目したいのがインプローヴィング。
母フィーリンググーは14年のスーパーフレッシュチャレンジ競走でデビュー勝ちを決めると、
その後も栄冠賞2着、フローラルカップ3着、エーデルワイス賞4着と2歳重賞戦線で活躍した。
その母の3番子にして初めて角川厩舎からデビューするのが本馬となる。
「2歳戦の早い時期から活躍してくれたお母さんの子で、良いスピードを持っています。
気性的にも早期デビューできそうなタイプですね。母はぽっちゃり系でしたが、この子は少しスマートにした感じ。
特徴などは母によく似ているので、同じ路線をイメージしています」
まずは短距離からスタートして、適性を見極めたうえで路線を決めていく方針とのこと。
3月10日の能検では平凡なタイムで最下位入線となったが、砂を被せながら進み、直線はまったく追わずに流したもの。
時計や入線順はあまり気にしなくても良いだろう。
厩舎期待の大器、迫力満点のヤマノウォーリア
3月31日の能検で豪快かつパワフルな走りを見せたのがヤマノウォーリア。
全兄ヤマノファイトは羽田盃、京浜盃など重賞6勝を挙げており、
半兄ヤマノミラクルは14年北海優駿(ダービー)勝ちと、
いずれもホッカイドウ競馬からデビューして、その名を全国に知らしめた。
今回、ヤマノウォーリアを管理するのはかつてヤマノミラクルも手掛けた松本隆宏厩舎。
この血統の特徴を掴んでいる松本師が「ちょっと良いものを持っているみたいだ」と素質を評価する逸材だ。
3月31日の能検ではポンとダッシュ良く飛び出してハナを切ると、首を上手に使ってリズムの良い走り。
外から迫られると若さを覗かせながらも追われてギアが入り、楽々と突き抜けた。
能検後に軽いソエが出たということでデビューは未定ながら、「今のところ5月末から6月上旬あたりを考えています。
能力がありそうだから大事に使っていこうと思っている」とのこと。
心身ともに成長途上だからこそ、伸びしろは大きい。JBC2歳優駿を目指して欲しい1頭だ。
ホッカイドウ競馬ゆかりの血統・注目馬リスト
カスミノモリ(牝)父ダノンレジェンド 母オノユウ 母の父バブルガムフェロー 角川秀樹厩舎 オリオンファーム生産
インプローヴィング(牝)父コパノリッキー 母フィーリンググー 母の父セイントアレックス 角川秀樹厩舎 グランド牧場生産
ヤマノウォーリア(牡)父エスポワールシチー 母ケイアイリード 母の父フォーティナイナー 松本隆宏厩舎 山口明彦氏生産