ホッカイドウ競馬の2歳戦と言えば絶対に外せないのが角川秀樹厩舎。
これまでエーデルワイス賞歴代最多6勝を挙げ、
JBC2歳優駿の前身である北海道2歳優駿のタイトルを3度獲得している門別の名門だ。
昨年もベルピット(ブリーダーズゴールドジュニアカップ、サッポロクラシックカップ)、
オーマイグッネス(サンライズカップ)、
スティールグレイス(フローラルカップ、リリーカップ)が重賞タイトルを獲得し、シーズンを通して主役を送り続けた。
多くのオーナー、生産者から支持されて、今年も素質馬がズラリ。
今回は能検1~2回目にパスした馬を中心に紹介していこう。
冠スティール&角川厩舎の強力タッグ 2歳女王を目指す良血スティールマジック
サラブレッドセールの会場に通いつめ、
「牝馬ならエーデルワイス賞、牡馬ならJBC2歳優駿を見据えられる馬を選ぶ」という角川師。
昨年のサマーセールでそのお眼鏡にかなった1頭がスティールマジック(牝)だ。
「全体のバランスの良さ、トモの大きさが気に入りました。それに母系の血も魅力でしたね」と師。
母はJRAダートで2勝を挙げており、母の兄にキネティクス(06年富士S)、
フジノウェーブ(07年NAR賞4歳以上最優秀馬、07、08年NAR賞最優秀短距離馬)という血統背景。
3月23日の能検では2番手で流れにのり、直線で僚馬を退けて1着入線を果たしている。
レースセンスの良さもさることながら、乾いた良馬場で51秒4はなかなかの好タイムだ。
「スピードがありそうですし、気性も素直で鞍上とのコミュニケーションがちゃんととれますから、
距離もある程度はこなせるのでは。もう誕生日もきている(3月26日生まれ)ので、
状態さえ整えばすぐにデビューできるでしょう」ということで、
開幕から間もなく初陣を迎えることになりそうだ。
狙うは改革1年目のダート3冠か サマーセール出身のグラストップロード
同じくサマーセール出身のグラストップロード(牡、父ベストウォーリア、母クリンゲルベルガー)は、
牡馬の王道路線を目指すことになりそう。
角川師はセリの下見段階からリストアップしていたそうで、
「オーナーさんがセリ場に到着して、〝良い馬はいましたか〟とおっしゃるので、
ちょうど今から出てくる馬が良いですよと伝えたのが本馬。
会場に着いてものの15分で落札してくださいました(笑)」。
それもこれも、縁があったからこその絶妙なタイミングだった。
ここまで順調にトレーニングを積んで、3月16日に能検をパス。
結果は4着タイ入線だったが、行きたがるのを鞍上がなだめながら、回ってきただけという内容だけに時計や着順は参考外だ。
「まだ緩さを残していますから、デビューはうちの中では遅めになるかもしれません。
ただ、現状でも柔らかみがありますし、追って味のある馬になりそう。
オーナーさんから来年もうちでと言っていただけている馬で、2歳戦だけではなく3歳シーズンも見据えています。
頑張って結果を出してもらいたいですね」
馬格があり、大物感は世代トップクラス。ずばり狙うはダート3冠路線になろう。
師の思い入れが詰まった厩舎ゆかりの血統 名牝アザワクの全妹&リンダリンダ産駒
フリーパスポート(牝、父カレンブラックヒル、母ヒバリエクスプレス)は、
21年道営スプリント1着、19年エーデルワイス賞2着など短距離路線で輝かしい成績を残したアザワクの全妹。
また、20年NARグランプリ2歳最優秀牝馬ソロユニットの半妹でもある。
「毛色や気性、全体のバランスを見てもアザワクとは違うタイプで、どちらかといえばソロユニットの方に似ています。
アザワクは脚元の固いところがあり、スピードが勝ったタイプだったので2歳時は調整が難しいところがあったのですが、
この子はそうした心配をすることなく攻められています。距離の心配もなさそうですね」
3月23日の能検では好スタートから先行してしぶとく食い下がり、52秒2で1着タイ入線。
師の言うとおり、ゆったりとした脚の運びはアザワクというよりもソロユニットをイメージさせた。
スプリント~中距離まで守備範囲に入れば選択肢は広がる。
春先から使っても良い方針ということで、2歳戦から息の長い活躍が期待できそうだ。
トネムスメ(牝、父トランセンド、母リンダリンダ)の母は東京プリンセス賞を勝ち、
ダートグレード競走でも活躍したリンダリンダ。
初仔、2番子は他場からデビューしており、母の産駒では初めての角川厩舎育成となる。
「思い入れのある血統を入れていただいて、とても嬉しいです。バランスの良い馬で機敏さは母以上かもしれませんね。
生産者さんも〝歴代のリンダリンダの子の中では一番良い〟と期待してくれていますし、
母と同じくらい活躍してほしいですね」
能検は5着入線と目立つ内容ではなかったが、気合を入れられたのは一度だけで、
ほぼ流したという内容だけに変わり身は十分。
「5月14日生まれですから、まだまだ成長の余地を残しています。
誕生日がきて行ける状態ならすぐにでも行きたいですね」ということでこちらも早期デビュー予定している。
角川秀樹厩舎:注目馬ピックアップ
スティールマジック(牝) 父マジェスティックウォリアー、母ゴールドジェーン、笹島政信氏生産
グラストップロード(牡) 父ベストウォーリア、母クリンゲルベルガー、村上雅規氏生産
フリーパスポート(牝) 父カレンブラックヒル、母ヒバリエクスプレス、村上雅規氏生産
トネムスメ(牝) 父トランセンド、母リンダリンダ、リトルブルーファーム生産