皆さん、はじめまして。『POGの王道』(通称:黄色本)の編集をしております関根と申します。
今回、初めてコラムを書かせていただくのですが、それにはワケがございます。
毎年、北海道の牧場取材をしているのですが、やはりPOG本で大きく取り上げるのは、
日本ダービーやオークスなどを目指す「芝のクラシック候補生」たち。
これまで「ダート向き」「パワータイプ」な馬は、どうしても敬遠されてきました。
ただ、その風向きが少しずつ変わってきているのも事実。
「南関クラシック狙い」や「サウジを目指したい」という言葉も聞こえ始めています。
実際に、昨年名前が挙がったフォーエバーヤングは、ダート路線で大活躍しています。
そこで今回は、ノーザンファーム育成馬の中から、ダートの舞台で輝きそうな2歳馬を紹介します。
●チムニートップス(父・Tapit、 母・Speedinthruthecity)
ノーザンファーム空港のB-1厩舎の育成馬。
田中洋二厩舎長からは「条件はダート1,600~1,800メートルくらいが良い。
ダートの大きいところを狙いたい」と力強い言葉が。
最後には、「ケンタッキーダービーに行きたいですね」というコメントもいただきました。
それほど、この馬の能力を肌で感じているということでしょう。
馬体を見ても幅があり、それでいて480キロ(取材当時)とバランスの良さも感じさせます。
すでに杉山晴紀厩舎に入厩済み。
早期デビューにも期待できますし、個人的なイチ押し馬です。
●ニューファウンド(父・ニューイヤーズデイ、母イルーシヴゴールド)
さらにスタートダッシュを狙うなら、6月15日の東京ダートでデビュー予定のこの馬。
ノーザンファーム空港・B-5厩舎で育成されていました。
牧場スタッフによると、ニューイヤーズデイ産駒は「もっと走ってくる」とのこと。
本馬に関しては、「一見パワー型に見えるけど、跨ると柔らかさもあるので、芝、ダートどちらかに偏ることもない」
(藤春猛厩舎長補佐)と高評価でした。
母のイルーシヴゴールドも芝、ダート兼用馬でした。
ダート馬が備えるパワー、芝馬が備える切れ味を併せ持っていれば、無双すること間違いなし!
●ザズー2022(牡)(馬名未決定)(父・キズナ、母・ザズー)
フォーエバーヤングを輩出したノーザンファーム早来・桑田厩舎の出身馬。
近年、桑田厩舎の勢いは凄まじく、昨年のダービー馬であるタスティエーラや、
“世界最強馬"となったイクイノックスも同厩舎で育成されていました。
吉田竜人厩舎長補佐から、「イクイノックスに顔が似ている」と評されるザズー2022(牡)(馬名未決定)は、
500キロ超という馬体を見ても、いかにもダートに適性がありそう。
とにかくキズナ産駒の出来がいいという2歳馬。
芝だけでなく、ダート路線からも活躍馬が出てきそう。
要チェックの1頭です。
ザズー2022(牡)(馬名未決定)
●メルキオル(父・ナダル、母サングレアル)
今年が初年度となるナダル産駒。
「動かしてみたらすごく良かった」と牧場の評価が高かったのが印象的でした。
今回、タレント揃いだと評判のノーザンファーム早来・山内厩舎で名前が挙がったのが、ナダル産駒のメルキオル。
山内大輔厩舎長は「唸るような馬体をしている」と絶賛していました。
デビューは6月22日の京都芝1,400メートルを予定しているということですが、
山内厩舎長は「最終的にはダートが主戦場になりそう」とも話しており、二刀流のポイントゲッターになれるかも。
●フォンデネージュ(父・ドレフォン、母・ユキチャン)
最後は牝馬を紹介します。
といっても、もはや説明不要な気もしますが(笑)。
兄姉はアマンテビアンコやハイアムズビーチなどダート路線で活躍。
同馬は残念ながら(?)白毛ではありませんが、母の力強さはしっかり受け継いでいるようです。
ノーザンファーム空港・A₋4厩舎の東谷智司厩舎長は、
「馬格があって順調。本質はダートかと思います。早期デビューを目標にしています」と話していたとおり、
すでにゲート試験にも合格しています。
血統背景も良く、気性も問題ないようで、“砂の女王"になれる逸材でしょう。