これまで2回にわたり、「ノーザンファーム編」をお届けしましたが、
今回は「社台ファーム＆追分ファーム編」ということで、2つの牧場をピックアップ。
各調教主任、厩舎長から挙がった有力馬を、惜しげもなく公開します!

●キャンディード(父・トーセンラー、母・ストロボフラッシュ)
例年、社台ファームは東礼治郎場長にインタビューしていたのですが、
今年は牡馬の石井猛調教主任、牝馬の正岡稔調教主任に話を聞くことができました。

インタビュー取材が終わった後に、立ち写真の撮影をさせてくれたのがこの馬。
正岡調教主任からは、「トーセンラー産駒であまり注目はされないかもしれませんが、
本当に良い馬ですよ」とお世辞抜きのコメントが。

トーセンラー産駒はサンプル数が少ないのでまだ特徴は掴めませんが、
ザダルやドロップオブライトなど1,800m以下の距離での活躍馬を輩出しています。
これまでダート成績はあまり芳しくありませんが、母ストロボフラッシュは現役時代にダートを3勝しており、
産駒からもウィルシャイン(ローレル賞勝利)やハイクライテリアなど、ダートでの活躍馬が誕生しています。

トーセンラーのスピード×ストロボフラッシュのダート適性がうまく噛み合えば……面白いかもしれません。
何より、トーセンラー産駒を指名すると、それだけで玄人感が出そうです(笑)。

●ロングミックス(父・ベンバトル、母・ステレオグラム)
今年が種牡馬デビューとなるベンバトル。現役時代、2018年のドバイターフでは
ヴィブロス、リアルスティール、ディアドラといった日本の強豪たちを抑えて見事に勝利。
6歳時にはダートに挑戦し、サウジCで2着に入るなど芝・ダートの二刀流で活躍しました。

そんなベンバトル産駒ですが、北海道・日高地方での評判を聞くと「動きが良く力強さもある」と上々。
初年度から活躍しそうです。

そのベンバトル産駒のロングミックス。
性格はおとなしめで、調教を進めるごとに力強さが増してきているとのこと。
母父ローエングリン、叔父にはロゴタイプがいるという社台ファームゆかりの血統馬。
芝・ダートで活躍できそうですが、ダートでの走りに注目したいです。

●ベガスナイト23(父・サトノインプレッサ、母・ベガスナイト)※すぱっと！POG！2025-26未登録(6/9時点)
キングオブドラゴン、アメリカズカップ、コレペティトールと数々の活躍馬を生み出している偉大な母・ベガスナイト。
そろそろ重賞のみならず、G1制覇にも手が届くのでは、と期待して毎年見ています。

ベガスナイト23は、馬体重こそ3月時点で445kgと小さいものの、徐々にガッチリとしてきているとのこと。
坂路では最後までしっかりと伸びており、素質は十分感じ取れ、ダートでの活躍も見込まれています。
父のサトノインプレッサは新種牡馬。
種付け頭数は3頭ですが、この馬が活躍することで種牡馬としての価値を高めてもらいたいところ。

例年、里見治オーナーにインタビューをしているのですが、
サトノインプレッサについても、思い入れを感じている様子がうかがえました。
デビューから3連勝を果たしたサトノインプレッサの仔なら、早期からの活躍もありそう。

●ゴディアンフィンチ(父・シスキン、母・カラフルデイズ)
昨年、旋風を巻き起こしたシスキン産駒。
頭数は少ないものの、60％超という驚異の勝ち上がり率を記録しています。
今のところは芝での成績が良いですが、これからはダートでの活躍も目立つようになるのではないでしょうか。

追分ファームの平沼敏幸厩舎長から紹介されたのが、シスキン産駒のゴディアンフィンチ。
馬体重は540kgと2歳馬離れしており、加速力にも目を見張るものがあるそう。
母のカラフルデイズは関東オークス制覇、半姉のカラフルキューブもダート4勝していることから、
平沼厩舎長も「最終的にはダートになると思う」と話していました。

ちなみに平沼厩舎長は、思ったことを正直に話してくれるタイプ。
おそらくダートで活躍する絵が浮かんでいるのだと思います。

●オレンジリバー(父・スワーヴリチャード、母・リフタスフェルト)※すぱっと！POG！2025-26未登録(6/9時点)
追分ファーム・リリーバレーで厩舎長の方々にインタビュー取材をしていたタイミングで、
坂路を駆け上がってきたのがオレンジリバー。
だから挙げたというわけではなく、加地洋太厩舎長からも
「間違いなく短距離馬。スピードは相当なものを持っている」と、その能力の高さを認めるコメントをいただきました。

芝の短距離戦で活躍する可能性が高いのですが、
加地厩舎長からは「芝・ダートを問わず短いところから行きたい」ということなので、
もしかしたらダート路線もあるかも。
実際、母のリフタスフェルトは、ダートで2勝しています。

ダートで走るようなら、そのスピードを生かして
エーデルワイス賞→兵庫ジュニアグランプリなんていうローテーションはいかがでしょうか。

文/関根計介『POGの王道』（双葉社）