2025 Dirt Triple Crown

2024.11.4 門別 1,800mJBC2歳優駿(JpnⅢ) 【1着馬】全日本2歳優駿 出走権付与(地方所属馬) 【上位1頭】雲取賞or京浜盃 指定競走(地方所属馬)

2023年優勝馬 フォーエバーヤング号

2023年優勝馬 フォーエバーヤング号

2歳&3歳ダート体系図

2歳&3歳ダート体系図~

JBC2歳優駿とは

今年のJBCは佐賀競馬場と門別競馬場による2場開催。

門別競馬場で行われるJBCは「JBC2歳優駿(JpnIII)」!
当地の2歳戦はレベルが高く、番組も非常に充実しているだけに、2歳カテゴリーのJBCを開催するのにふさわしい舞台だ。

2019年まで実施されていた「北海道2歳優駿(JpnIII)」の対戦成績は、JRA勢12勝に対して地方勢は11勝、
「JBC2歳優駿」創設後もJRA勢3勝、地方勢1勝と互角の勝負を繰り広げている。
ダートグレード競走では数少ない"地方馬が活躍するレース"であり、ホッカイドウ競馬のレベルの高さがお分かり頂けるだろう。

当日は佐賀競馬場で行われる「JBCレディスクラシック(JpnI)」「JBCスプリント(JpnI)」「JBCクラシック(JpnI)」と合わせて、
2歳カテゴリーのチャンピオンホース誕生にぜひご注目頂きたい。

なお、「JBC2歳優駿」は「全日本2歳優駿(JpnI)」のトライアルであるとともに、2025年春の「雲取賞(JpnIII)」及び
「京浜盃(JpnII)」の指定競走となっている。
この指定競走における上位1頭(地方所属馬)は「雲取賞」または「京浜盃」出走馬の選定にあたり、その成績を重視されることになる。

有力馬紹介

予想<競馬ブック・板垣祐介>

前身である北海道2歳優駿の時代から、中央勢と地元勢はほぼ互角の戦績を残している。
今年の地元ツートップであるリコースパローとソルジャーフィルドは、例年と比較しても平均以上の能力値だ。
昨年のフォーエバーヤングのような規格外の馬が中央勢にいると話は別だが、地元勢にも十分チャンスがあると見ていい。


◎ソルジャーフィルド
今年の2歳オープン格のレースは少頭数が多く、とにかくペースが落ち着く傾向にある。
ブリーダーズゴールドジュニアカップ、サンライズカップもその例に漏れず、
この馬が先行馬を掴まえに動き出すタイミングと、先行馬がラップを上げて引っ張るタイミングがほぼ同じになってしまった。

その点、このレースは例年、中央勢の参戦によってテンからペースが速くなりやすく、ともすれば消耗戦を招くケースもある。
ダードグレード特有の締まった流れでこそ、この馬は本領を発揮できるはずだ。
近2走ともにリコースパローの2着だが、逆転可能な範囲だろう。


◯リコースパロー
デビューから4戦4勝の戦績で、文字通りまだ底を見せていない。
この馬が地元勢の大将格であることに、個人的にも異論はない。

上記のように、これまでのレースは落ち着いた流れが多いゆえ、揉まれる形や砂を被る経験はしていないが、
前走のサンライズカップでは最内枠から2番手につける競馬をしており、ある程度の柔軟性は窺える。
そもそも、スタートセンスが良く、初動で揉まれないポジションを取りに行けるのが心強い。
最大の特長は並ばれてからの強さで、道中さえスムーズであれば、中央勢との叩き合いでも引けは取らないだろう。
ここを勝てば、ダート三冠の夢も現実味を帯びてくる。


▲ローランドバローズ
1戦1勝で未知の部分は大きいが、
中京1,800mの新馬戦は水準以上の勝ちタイムで、緩みのないラップを経験できている点も評価の対象である。
その初戦では、真剣味に欠ける子供っぽい面があったようで、それだけ伸びしろがあるという見方もできるのだが、
裏を返せば、コース替わりやナイター競馬がネガティブに働く可能性も考えられる。
能力を出し切ることができれば、地方勢の強敵になるだろう。


△タガノマカシヤ、グランジョルノ、エイシンキャプテン
ダート替わりで一変したタガノマカシヤの2戦目は、2歳コースレコードタイのタイムでもあり、インパクトは大きい。
ただ、終始頭が高く、かなり若さも見えた走りだった。
当時はスムーズに立ち回れたが、メンバーレベルが一気に上がるここで、同じパフォーマンスができるかどうかが鍵になる。

グランジョルノは札幌1,700mの新馬戦を勝ち上がった。
タイムは平凡な部類で強調できないが、エンジンの掛かりが遅かったことを考えると、広い門別へのコース替わりはプラスに働きそうだ。

また、地元勢では上位2頭が抜けた存在ではあるものの、相手なりに頑張るエイシンキャプテンも押さえておいて損はないだろう。

参考レース

レース回顧<競馬ブック・板垣祐介>

改めて周知しておく必要があるように思うが、基本的に、この時期の2歳馬の戦力は、JRAと門別とを比較してほぼ五分である。
これは、エーデルワイス賞を含めた、門別2歳ダートグレード競走における過去の戦績が物語るとおりだ。

大前提として、予想をする段階からこのことが頭にないと、地元馬の勝利は、単に偶然の産物として扱われるか、
あるいは理解不能なものとして、ある種の恣意的な見方をされてしまうことになりかねない。
昨年は、フォーエバーヤングとサンライズジパングのポテンシャルが、
地元勢の実力を上回っていたという結果で、それは大方の納得するところかと思う。

結論から言えば、今年は逆に、ソルジャーフィルドの実力が、中央勢のポテンシャルを上回った結果として十分に説明がつく。
それではレース内容を振り返っていこう。

エイシンキャプテンがハナを主張し、2番手にリコースパロー、これをマークするように中央勢が固まって好位集団を形成した。
みな一様にゲートを出していってポジションを取りに行っているため、必然的にペースは速くなる。

前半3ハロンは37秒を切り、1,000m通過は61秒9を計時した。
向正面で12秒台前半のラップが出現するなど、ダートグレード特有の、淀みないハイペースである。

数字的には、中央勢の各馬がこれまでに刻んだラップとそう変わらないように見えるが、門別のタフな馬場ではイコールにならない。
それでも、本当にポテンシャルが高い馬であれば、このペースでも大きくパフォーマンスを落とさないはずだ。
結果として、今年の中央勢は、あくまで例年レベルに留まったということになる。

ソルジャーフィルドは、後方から3番手の位置でじっくり構えていた。
「腹を括って末脚に懸ける運びをしようと思っていました」と小野楓馬騎手は振り返ったが、
ペースと展開に照らしても、このポジショニングは完璧に近かった。

予想コラムでも述べたが、ここ2戦の地元重賞で勝ち切れなかったのは、
いずれも道中のペースが落ち着きすぎて、この馬の追い上げるポイントと、
先行勢がラップを上げて引っ張るポイントが同じになってしまったからである。
つまり、タメて弾けるこの馬の良さが消されるペースだったわけだ。
打って変わって、今日はこの馬の末脚がフルに生きるラップ構成になった。

ここで強調して置かなければならないのは、この馬の勝利を単に「展開が嵌まった」と見るのは間違いだということだ。
エンジンが掛かってからあっという間に先行勢を飲み込んだ鋭い瞬発力、そして2着につけた3馬身という決定的な着差、
何より昨年とほぼ同値の優秀な勝ち時計、これらは明らかにこの馬の実力が勝っていたことの証明である。
つまり、「力不足を展開が補って勝った」のではなく、
「もともと備わっていた実力が、今日のペース・展開によって引き出された」と見るべきだ。

ここ2戦だけを見て、相対的に評価を下げる人も多かったかと思うが、今回に繋がるヒントはちゃんとある。
それが3走前のオープン戦で、今シーズンの2歳中距離戦にしては珍しく、ペースが上がったレースだった。
当時の走りが、前走までのこの馬のベストパフォーマンスである。
これを踏まえれば、今回のペースで真価を発揮したのも納得がいくだろう。

ソルジャーフィルドと小野楓馬騎手

ソルジャーフィルドと小野楓馬騎手(提供:山口写真工房)

管理する川島洋人調教師によれば、
「ジョッキーには、ポジションにこだわらず、上がり3ハロンの競馬をしてもらうように言っていました。
今までよりも落ち着きが出ていましたし、今回はこの馬の良いところが全部出ましたね。
この馬はこれまで揉まれる競馬もしていましたから、その経験も生きたと思います。
次走は全日本2歳優駿に向かい、来年は地元の三冠競走を予定しています」とのこと。

川崎のマイル戦はこの馬にとっては試練だろうが、ホッカイドウ競馬を代表する馬として、存在感を示してほしいと思う。
馬体にはまだまだボリュームアップの余地があり、来年の成長が非常に楽しみだ。
地元三冠制覇が十分に可能な馬であることは間違いない。

門別所属馬4年ぶりの勝利

門別所属馬4年ぶりの勝利(提供:山口写真工房)

2着以降に関しては、能力差ではなく展開が着順を左右したと言って差し支えないだろう。
3角手前から先んじて動いたダノンフェルゼン、タガノマカシヤが4角並んで先頭に立ったが、
両馬ともその時点で余力はほぼない状態だった。
そこに、中央勢のなかでは一番後ろのポジションだったグランジョルノがじりじりと詰め寄って、2着に浮上したという格好である。
ソルジャーフィルドから更に離れて後方2番手を追走していたカセノタイガーが、
2着と0秒1差の4着まで追い込んで来ているのだから、好位勢の消耗度合いがよく分かる。

3番手につけていたローランドバローズは、ゴチャついた3角過ぎにもう手応えがなくなってしまった。
こちらはキャリアの浅さがもろに出た形だろう。

この展開の中で、最も厳しいレースを強いられたのがリコースパローだった。
内枠で揉まれるのを避けて2番手を確保したが、今までに経験のないハイペースを追走していることに加え、
押し上げてきた好位集団に合わせるように先頭へ出た3角で、
内からダノンフェルゼンに捲くられ、外からタガノマカシヤに被せられた。
地元戦ではこの馬にプレッシャーをかけられる存在がいなかったこともあり、
スムーズな競馬しか経験がなかった馬だから、これだけ執拗に攻められては、心身両面で苦しかった。

川島調教師の話では、
「もう一列後ろで競馬するのが理想でしたが、外の馬がそれほど速くなく、あの位置に。
ソルジャーとは逆にこちらは今までより少し気負っていましたし、
意識的にスタートを出していってポジションを取っているので、序盤はやや掛かり気味でした。
他の馬たちがみんなでこの馬をマークして競馬する展開でしたが、これまでそういう経験ができていなかったですからね。
全日本2歳優駿には使わず、休養を挟んで南関東へ移籍する予定です」ということだった。

地元に同タイプのライバルが少なかったことが、逆に大一番で不利にはたらいてしまったような形だが、
こればっかりはこの馬自身にはどうしようもないことである。
これまでのパフォーマンスレベルから、当然、今回で終わるような馬ではない。
ここでの経験を糧に、新天地でさらなるステップアップを遂げることを願うばかりだ。

今年のホッカイドウ競馬のキャッチコピーは、『門別最強説』である。
JBC2歳優駿初年度のラッキードリーム以来、4年ぶりに地元馬がタイトルを奪還したことで、
その「説」の証明は一歩進んだことだろう。
ただこの証明は、継続してこそ意味を持つ。
いち地元記者としては、来年以降もまた、強い門別馬の姿を見られるものと信じてやまない。

ゴール前

ゴール前(提供:山口写真工房)

レース概要

実施日 11/4(月祝)
競馬場 門別競馬場
距離 1,800m
出走条件 サラ系2歳
負担重量 牡馬56kg 牝馬55kg
優先出走権 1着の地方所属馬に「全日本2歳優駿(JpnI)」の優先出走権付与
上位1頭の地方所属馬は「雲取賞(JpnIII)」または「京浜盃(JpnII)」出走馬の選定にあたり、
その成績を重視される

キャンペーン

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