2025 Dirt Triple Crown
2025.4.14 大井 1,800mクラシックチャレンジ 【1着馬】羽田盃 指定競走

2024年優勝馬 ムットクルフェ号(外)
Road to 羽田盃&東京ダービー

クラシックチャレンジとは
大井コースで争われる「クラシックチャレンジ」。
2023年までは「羽田盃(旧SI)」及び「東京ダービー(旧SI)」の優先出走権が付与されていたが、
ダート三冠が創設された2024年からは、羽田盃の“指定競走”という役割を担っている。
この“指定競走”とは「出走馬の選定にあたりその成績を重視する」というもので、
「クラシックチャレンジ」に関しては1着馬が対象となっている。
すなわち、「クラシックチャレンジ」を勝利すると、羽田盃の出走に1歩前進するのだ。
昨年の優勝馬ムットクルフェは、羽田盃(5着)、東京ダービー(10着)とクラシック路線を歩んでいる。
今年も、ここからクラシックに挑戦する優駿が誕生するか?
予想<日刊競馬・市川俊吾>
いよいよ今月29日に迫ってきた羽田盃の切符をかけて将来性豊かな馬達が集結したクラシックチャレンジ。
勝ち馬は羽田盃の出走に近づくが、一枚の切符を懸けて熱い戦いが開催初日から見られそうだ。
春だけでなく先々まで楽しみな馬が多く、今後を見据えても注目のレースになることは間違いない。
◎ここまでデビュー2戦2勝のアドマイヤエアル。
入厩当初から好馬体と動きが目立っており、その期待通りに新馬戦を快勝。
勝ち時計も翌日マザオが勝ったA2下と0.7秒しか差のない出色の時計で2着馬も次走楽勝。ハイレベルな1戦だった。
前走内容からもむしろ距離延長で更にいいパフォーマンスが発揮できそうだ。
「セリの時から馬体が目立っていてデビューを楽しみにしていたが、ここ2戦は期待通りの走りを見せてくれた。
今回は一気の距離延長になるが矢野騎手も「むしろ伸びたほうが良い」と言っており、
「良くなるのは秋以降だと思うけど、完成したら間違いなく重賞を取れる馬」と手応えを掴んでくれている。
追い切りの動きも良かったし、前走後の回復も思った以上に早かった。
ここは試金石となるが連勝を伸ばしてこの先の舞台に向かいたい」と渡邉和雄調教師。
今年のクラシック路線で南関勢を引っ張っていくであろうナイトオブファイアを管理する渡邉和雄厩舎から新星誕生なるか注目だ。
〇転入初戦を同日C1と遜色のない好時計で快勝したシーソーゲーム。
直前の追い切りがそこまで目立っていたわけではなかったので2番人気にとどまっていたが中央新馬勝ちの実力は伊達ではなかった。
「前回はまだ仕上がり途上だったので半信半疑でしたが、この馬の力を確認できた1戦でした。
レース後矢野騎手も「競馬が上手で、距離が伸びて良さそう」とのことでこの距離も問題なくこなしてくれると思います。
前走からの上積みはかなりあると思うので今回は期待の方が大きいですね」と管理する藤田調教師。
鞍上にライアン・クアトロ騎手を迎え連勝が狙える。
▲デビューから5戦4勝。そして目下2連勝中のヴァンディヴェール。
唯一の敗戦だったハイセイコー記念は初めて砂をかぶる競馬で1コーナーでごちゃつく不利。
その後の連勝を考えればいい経験になったのは間違いない。
「まだ砂を嫌がったり荒削りな部分はあるが、能力は高く今後が楽しみな馬」
と本田正重騎手の評価も高く、ひと息入り充電されここでクラシックの切符を掴む。
△新馬戦はアドマイヤエアルに敗れたヴュルディヒだが、3着には3.9秒差をつけており文字通りのマッチレースだった。
次走完勝し連勝を期して臨んだ前走だったが、鞍上の笹川騎手も
「色々経験できたのは収穫だったが…」と悔しさを滲ませたように初のマイル戦に加えて、
初めて砂を被る競馬で道中の行きっぷりもひと息。
直線は外に出そうとしたが進路がなく内に切り替えゴール前猛追するも僅差の2着。負けて強しの内容だった。
初戦の内容からも◎同等の力を持っているのは確かで逆転へ虎視眈々。
△紅一点のリコーテリアはデビューから一貫して差す競馬で結果を出しており、前走も着差以上に強い競馬だった。
直線の長い外回りコースはこの馬の末脚が生きる絶好の舞台。
斤量差を利して上位へ食い込みたい。
△3連勝とはならなかったゴッドバーグだが僅差で敗れたフィエレッツァは次走重賞で2着と好走。相手が悪かったと割り切れる。
「まだ緩さは残るがレースを使いながら成長していて1戦毎の上昇度は大きい。
1,400mまでしか使っていないので距離は未知数だが、藤田騎手は大丈夫だと思うとのこと。
外回りは合っているし楽しみです」と藤田調教師。
先に挙げたシーソーゲーム、連勝中パルミジャニーノと3頭出しで攻勢をかける。
有力馬紹介
●シーソーゲーム
父Daaher
母Bear Now(母父Tiznow)
通算成績:4戦2勝
11月3日JRA福島の「新馬戦」を勝利した素質馬。
芝に挑戦したデビュー2戦目、ダートに戻った3戦目と結果を残せず大井へと移籍してきた。
大井移籍初戦は3か月ぶりの実戦、16kgの馬体重増となったが2馬身半差で快勝。
JRAの新馬戦を勝利した実力を如何なく発揮し、クラシックチャレンジの舞台に駒を進めてきた。
羽田盃は「地方所属時の総収得賞金順」となるため、クラシックチャレンジでの勝利は大きな意味を持つ。
鞍上は短期騎手免許を取得したR.クアトロ騎手だ。
●アドマイヤエアル
父コパノリッキー
母クイーンオブナプレス(母父Singspiel)
通算成績:2戦2勝
デビュー戦は先行2頭によるマッチレース。
3着以下には実に4秒差をつけており、半馬身差で退けた2着馬は次走圧勝している。
一転して2戦目は中団からのレースとなったが、難なく対応して鮮やかな差し切り勝ちを演じた。
馬体重560kgを超える雄大な馬体だけに、まだまだ伸びしろは十分といったところだろう。
●ヴァンディヴェール
父サンダースノー
母シュシュブリーズ(母父フジキセキ)
通算成績:5戦4勝
リアルダービースタリオンでもお馴染みの母シュシュブリーズの4番仔。
逃げ切りでデビュー2連勝を飾り、直近2戦は控える形で連勝中と勢いは抜群だ。
唯一の敗戦は「ハイセイコー記念(SI)」の11着ではあるが、1コーナー入口でリズムを崩しているので参考外。
クラシックチャレンジを勝利して大舞台へと進みたいところだろう。
参考レース
-
- 12/26
- 大井
- 1,800m
- '24セラフィナイト賞(準重賞)
- ナイトオブファイア
-
- 1/8
- 浦和
- 1,500m
- ニューイヤーカップ(SIII)
- ホーリーグレイル
-
- 1/22
- 船橋
- 1,800m
- ブルーバードカップ(JpnIII)
- メルキオル
-
- 2/19
- 大井
- 1,800m
- 雲取賞(JpnIII)
- ジャナドリア
-
- 3/11
- 大井
- 2,000m
- '25スターバーストカップ(羽田盃TR)
- ナイトオブファイア
-
- 3/26
- 大井
- 1,700m
- 京浜盃(JpnII)
- ナチュラルライズ
レース回顧<高橋華代子>
4月14日の大井7Rで羽田盃指定競走のクラシックチャレンジが行われました。
これからの南関東を担う精鋭10頭が集結。
本田正重騎手が騎乗した3番人気ヴァンディヴェール(大井・福田真広厩舎<小林分厩舎>)が6馬身差で逃げ切り勝ち。
タイムは1,800m1分53秒2(不良)でした。
2着は3番手を進めた1番人気シーソーゲーム、3着は一番の上がり3ハロン38秒2の脚を発揮したパルミジャニーノ。
ヴァンディヴェールは大井生え抜き馬で、ここまでの成績は6戦5勝と好成績をあげています。
自身キャリア3戦目だったハイセイコー記念は、初めて逃げることができずに砂をかなり嫌がり、11着と大敗。
まだ幼い面もありますが、今回は自分の走りができれば高い能力が発揮できることを、改めて証明した形です。
主戦の本田騎手は「今日はずっと物見をしていて、まだ余裕はありました。
ハイセイコー記念は負けましたが、最後の直線で伸びてくる時にグッと沈み込むようなところを見せて、走る馬だなぁと思いました。
背中はとても良いし、力もあるので、これから競馬が上手になってくれば、もっといいですね。
距離は延びても大丈夫です」とコメント。

本田正重騎手を背に逃げ切りV
今回は3か月半の休み明けでした。
馬体重も+10キロで、過去最高の483キロ。
福田調教師は「太目感もないし、馬体に厚みが出て筋肉もついてきました。
休ませてかなり良くなっていますが、来年以降さらに充実してくる馬だと思います」と期待を寄せていました。
ヴァンディヴェールは父サンダースノー、母シュシュブリーズ、母の父フジキセキという血統の3歳牡馬。
3歳上の半姉には桜花賞&東京2歳優駿牝馬3着のクールフォルテがいる血統です。
この一族は、ニコニコ生放送のリアルダービースタリオンの1頭としても知られ、
生まれる前からSNS上で見守ってきた人が多いのも特徴。
レース後のウイナーズサークルには多くのファンが集まり、喜びを分かち合っていました。
福田調教師は「管理する側としては1頭の馬ということで、どの馬にも頑張ってほしいですが、
(ヴァンディヴェールは)生まれる前から知っている仔ですし、
お姉ちゃん(クールフォルテ)やお兄ちゃん(レライタム)も手掛けさせてもらっているので」と思い入れはたっぷりな様子。
普段のヴァンディヴェールはとても大人しく、淡々としてマイペースな馬とのこと。
「お姉ちゃんとお兄ちゃんに比べても愛想がないです」と苦笑い。
特徴的な一面もあり、「一般的に馬の体温は37度8分、9分くらいですが、
この馬は放牧から帰ってくると最初の1、2週間は38度2分くらいなので、軽い熱発なのかなと心配になります。
でも、体が仕上がっていくと、体温が下がって平熱に落ち着きます。こういう馬も珍しいと思いますよ」と話していました。
レース後はリフレッシュ放牧に出し、現在は東京ダービー(6月11日、大井)を目標に進めているそうです。
生まれる前から見守って来た関係者や多くのファンの夢も乗せ、これから南関東の砂上を盛り上げてほしいと思います。

厩舎でのヴァンディヴェール
(福田真広調教師提供)
<他陣営のコメント>
2着 シーソーゲーム ライアン・クアトロ騎手
「馬はとても良かったですが、彼にはペースが遅すぎました。勝った馬が強かったです。
ずっと同じパワーで、最後まで頑張れる馬。スタミナがあるので、距離はもっと長くてもいいです」
3着 パルミジャニーノ 安藤洋一騎手
「リズム重視で走らせて、先につながるいい競馬はできたと思います。
GOサインに素直に反応してくれて、いい脚を使ってくれる馬。距離は長くてもいいです」
4着 スルガダイナゴン 今野忠成騎手
「位置取りは後ろになりましたが、一瞬遅くなったところで動き出しました。
長くいい脚を使える馬。強気の競馬をしたので、また次につながってくれれば」
5着 リコーテリア 吉井章騎手
「唯一の牝馬でしたが、牡馬を相手に食らいついて頑張ってくれました。
枠も外だったので、スムーズに行けました。自分のペースを維持しながら、しまいを生かす競馬がベストですかね。
牝馬同士で楽しみだと思います」

ゴール前(特別区競馬組合提供)
レース概要
実施日 | 4/14(月) |
競馬場 | 大井競馬場 |
距離 | 1,800m |
出走条件 | サラ系3歳 |
負担重量 | 牡馬55kg 牝馬53kg 2025.4.4までの番組ポイント800ポイントにつき1kg加増 ※負担重量の上限は、牡馬57kg、牝馬55kg |
優先出走権 | 1着馬は「羽田盃(JpnI)」出走馬の選定にあたり、その成績を重視される |