2026 Dirt Triple Crown

2025.10.2 門別 1,200mネクストスター門別(H1)

2024年優勝馬 ミラクルヴォイス号

2024年優勝馬 ミラクルヴォイス号

ホッカイドウ競馬2歳重賞

ホッカイドウ競馬2歳重賞

ネクストスター門別とは

ダート競馬の体系整備に伴い、2023年よりスタートした「ネクストスター」競走。
北海道地区は「ネクストスター門別」として門別1,200mで争われる。

地元所属馬のみ出走可能というネクストスター競走の側面からも、
北海道の2歳No.1スプリンター決定戦としての意味合いが強いだろう。

「栄冠賞(H2)」、「サッポロクラシックカップ(H3)」と続いてきた2歳短距離路線の頂点に立ち、
“ネクストスター”に名乗りを挙げるのはどの馬だろうか?

予想<競馬ブック・板垣祐介>

今年から、JBC2歳優駿当日に「北海道2歳スプリント」(1,200m)が新設された。
これにより、エーデルワイス賞、JBC2歳優駿のどちらにもエントリーできない牡馬のスプリンター志向の馬は、
新たな目的地を得たことになる。

そして、このネクストスター門別もその前哨戦としての新たな意味が与えられた。
もちろん、ここ2年がそうであったように、牝馬の場合はここをステップにエーデルワイス賞へ向かうローテも可能。
まだ今年で第3回という歴史の浅い重賞ではあるが、上述のような路線整備を背景に、
より重要度の高いレースになっていきそうである。

今年はフルゲートを埋める14頭が揃い、ハイレベルでありながら絶対的存在のいない難解なメンバー構成となっている。
唯一の重賞ウィナーであるゴッドバロックが実績面では一歩リードだが、ここにきて頭角を現してきた新勢力も多数いる。
タイムレベルではほぼ差がなく、枠順や展開という要素が結果を大きく左右するかもしれない。
そもそも、勢力図はまだ混沌とした状況。新たなスター候補の誕生を見届けたい。

◎カミハマッテイル
1,200mのデビュー戦を逃げ切ったあと、適性や先々の路線を探るべく、2戦目は1,700mが選択された。
結果は1秒1差の3着で、好走とまでは言えないまでも、初戦と違って控える形で終いの反応を引き出せたことには収穫があった。
個人的に、これが1,200m戦に転用できるのではないかと考えて、前走のサッポロクラシックカップも◎を打った経緯がある。
その仮説が正しかったかどうかは分からないが、末脚を活かす形でゴットバロックに0秒1差まで迫った内容は、
競馬を覚えるという意味で間違いなく次に繋がる内容だった。
これまで少頭数のレースしか経験がなく、14頭立ての2番枠で揉まれた時の対応は課題だが、
前走の競馬は混戦を断つ武器になるはずである。

◯ゴッドバロック
世代最初の重賞である栄冠賞での2着を思えば、サッポロクラシックカップの勝利は順当勝ちとも言っていいだろう。
栄冠賞3着だったエイシンイワハシルが、園田への移籍緒戦で重賞を勝ったように、全国レベルの裏付けもある。
前走は栄冠賞からプラス14kgと、馬体の成長を伴っての勝利だったことにも付加価値が見い出せるだろう。
2歳馬離れした競馬センスが持ち味で、競馬の形に注文がつかない馬だから、あまり大崩れが考えにくいタイプ。
夏以降に力をつけてきた勢力との比較は難しいが、早期からの活躍は評価するべきだ。

▲シーテープ
その新勢力の代表格がこの馬である。
6月のデビュー以降、ここまでの短期間で、馬っぷりやパドックでの身のこなしが目に見えてグングン良くなっている。
先行してそれなりに速いラップも刻める馬だが、前走はここを意識して敢えて砂を被せ、後半だけ動かした格好。
それでもあっさり突き抜けており、既に走りの質は重賞レベルのそれである。
おそらくもっとタイムは詰まるだろう。一気に勢力図を塗り替える可能性を秘めた1頭だ。

△ファインキック
△バウヴォーグ
△ワナハヴファン
△ビッグカレンルーフ


全馬が経験したことのない14頭立てゆえに、やはり枠の並びは重要な要素だ。

馬群を捌く手間が少なくて済みそうな大外14番ファインキックには、相応のアドバンテージを認めるべきだろう。
もちろん、レースを経ることに磨きがかかっている末脚の鋭さだけ取っても十分魅力的だ。
気性が勝ったタイプのバウヴォーグも、揉まれず運びやすい13番枠は好材料。
前走1,500mを渋太く粘り切った点に、スタミナ強化が見て取れる。

ワナハヴファンはデビュー戦が超優秀。本格化は先かもしれないが、先物買いで押さえておいても損はない。
ビッグカレンルーフはダートに限ると1,000mしか経験がないのだが、
すずらん賞の勝ちっぷりを見ると、1,200mの方がより切れ味が生きそうである。

泣く泣く印を回せなかった馬も多く、多士済々で面白いレースになりそうである。

参考レース

レース回顧<競馬ブック・板垣祐介>

この重賞の最も難解な点は、牡馬と牝馬、そして早期デビュー組と夏以降の新勢力、
それぞれが入り混じった坩堝のメンバー構成にあった。
特に後に挙げた両勢力に関しては、際立ったタイムの差もないゆえに、比較する術のほとんどない状態だったわけだ。
しかし結果として、今シーズン最初(当然、全国で最も早く)に行われたスーパーフレッシュチャレンジの勝ち馬が勝利し、
2着馬も、同着となった3着馬の2頭も、第2回開催までの早期にデビューした馬たちだった。
(ちなみに上位4頭以外はほぼ6月以降のデビューである)

もちろん、今回は偶然、そういう結果になったと捉えることもできる。
単純に早期デビュー馬が強かったのだと言ってはあまりに思慮不足だ。
ただ、実際のレース内容を参照して別の視点を加えれば、この結果により整合性を持った解釈ができないわけではない。

頭数の多い2歳重賞はハイペースを招きがちだが、このレースは特に流れが速かった。
前半3ハロン34秒9は古馬重賞でもなかなか見ない数字である。
いくらレベルの高い門別2歳戦といえど、よっぽど条件が揃わない限りはペースが落ち着くことが多い。
今日はこの急流への対応力が問われたわけだ。思い返してみると、栄冠賞は前半3ハロン34秒5という今日より速いペースだった。
そこに出走していたのがゴッドバロック、バウヴォーグであり、
また、芝とはいえ、函館2歳ステークスでスペシャルチャンスは前半34秒7を刻んで流れに乗っていた。
つまり、同じようなペースへの経験値という視点を加えれば、偶然の中に少しの必然を見ることもできるのではなかろうか。

当然、これでレースを網羅したつもりはない。各馬のレース運びや個性を踏まえて、改めて振り返ってみよう。

内枠で揉まれるよりはと果敢に先手を取っていったのはワナハヴファン。
それにほぼ馬体を併せるようにして先行したのが、勝ったスペシャルチャンスだ。
軽い馬場の1,000mで鮮烈な逃げ切りを見せたデビュー戦からも分かるように、この馬は根っからのスピードタイプ。
確かにペースは速かったが、ラップを落としてタメを利かすより、こうしてスピードを生かし切った方が味が出る。
また、今回チークピーシーズを着けていたように、1頭になると気を抜く面が出ていたようだから、
ワナハヴファンが渋太く粘ってギリギリまで併せ馬の格好になったのも良かったのだろう。

それにしても、スピードを上げ過ぎると極端に上がりがかかり、走破タイムが落ちる傾向にあるタフな門別1,200mを、
このペースで先行しながら1分13秒5で走り切ったのはとてつもなく優秀である。
牡馬としては小さい420kg台の馬体ながら、とにかく脚の回転が速く、バランスの良い走りは印象的だ。
今日の内容なら、小回りの1,400mくらいは問題なくこなすだろう。全国でトップレベルの活躍を期待できる馬である。

馬群に揉まれたり砂を被ったりして、本来の走りができないケースも多い2歳馬にあって、
ゴッドバロックの大人びたレースぶりは際立つ。自然体で中団に構え、今日もソツのない運びでしっかり脚を伸ばしてきた。
直線半ばで、一度進路を外へと切り替えざるを得ないシーンがあったから、そこがなければもっと際どかったかもしれない。
掛かるようなタイプではなく、瞬発力と持久力を兼ね備えた馬だから、スプリンターというより、
どちらかというとマイラーの印象が強い。そういう意味でも今後の可能性は大きいだろう。

3着は2頭で同着となったが、バウヴォーグに関しては、
栄冠賞でのペース経験に加え、前走で1,500m戦を使ったことがかなり効いているように思う。
気性の激しい血筋の馬で、スピードを制御することが大きな課題だった。
あえてコーナー4つの1,500mで、スピードを出し過ぎないように折り合って走らせたことで、
栄冠賞時にあった道中の力みが、今日は大分軽減されていた。もちろん、純粋なスタミナ強化にもつながったはずである。
兄姉で言えば、バウチェイサーと同じくらいのポテンシャルは秘めている馬だ。まだまだ伸びしろを感じさせる。

何度も言っていることだが、門別1,200m戦の1番枠は、ポケットのスタートから周回コースとの合流点で行き脚が鈍ることもあり、
最も不利な枠順である。だからこそ、そこから3着に好走したブルーメンガルテンには驚かされた。
1番枠の対処としては、腹を括って最後方まで下げるか、思い切って先頭まで出していくか、
極端な策を取らざるを得ないことが多いのだが、この馬は出たなりの中団で周囲の動向をみつつ、
3〜4角で隊列が割れた隙を見計らってスムーズに外に持ち出した。テン乗りでこれをやってのけた岩手の山本聡哉騎手が見事である。
直接対決で3戦3敗となったスペシャルチャンスには、何とも因果を感じるものがあるが、
今日は得るものが多い一戦だったことだろう。能力的な差はほぼない。

5着シーテープは、ほぼ最後方からレースを進めることになってしまったのが想定外。
ただ、これだけのハイペースは経験がなかった。
勢いがついてから、直線では馬群を縫って出色の末脚で追い上げただけに、やや消化不良だったかもしれない。
とはいえ、重賞を勝てるレベルまで力をつけたことは、はっきり分かった。来年にはタイトルを獲るだろう。
6着ながら、ゴール寸前まで粘り、1分13秒台で駆けたワナハヴファンも大したもの。
勝ち馬にプレッシャーをかけられ続けながらハイラップを刻む苦しい展開でも、差し返す気概を見せていた。
将来性では上位馬と遜色ない。本命をつけたカミハマッテイルだが、常に外に他馬がいる展開に加え、未経験のハイペース。
一気に馬体が成長していたことも相まって、追走に忙しく、息を入れられるポイントがなかった。
今日の経験で一皮むけることを期待したい。

2歳のこの時期に、これだけの頭数によるこれだけ質の高い重賞ができるのは、ホッカイドウ競馬だけである。
出走各馬、移籍を含めてこの先の路線はそれぞれ分かれていくだろうが、
どこへ行っても主役を張れる馬たちであることは間違いない。

レース概要

実施日 10/2(木)
競馬場 門別競馬場
距離 1,200m
出走条件 サラ系2歳
負担重量 牡馬56kg 牝馬55kg
優先出走権 なし

キャンペーン

道営クライマックスロード
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