2026 Dirt Triple Crown
2025.10.1 門別 1,800mサンライズカップ(H1)【1着馬】雲取賞or京浜盃 指定競走

2024年優勝馬 リコースパロー号
Road to 3歳ダート三冠

サンライズカップとは
JBC競走の前哨戦に位置するH1重賞「サンライズカップ」。
「JBC2歳優駿(JpnIII)」と同じ「門別1,800m」で行われることもあり、JBCを見据えた若駒の参戦が期待できそうだ。
2024年の優勝馬リコースパローは翌年の「京浜盃(JpnII)」で2着に好走、
2着だったソルジャーフィルドは次走の「JBC2歳優駿」を勝利し、翌年は当地の3歳三冠馬に輝いている。
また、本競走には翌年の南関東クラシック戦線をにぎわす素質馬が多く参戦している。
近年ではヒガシウィルウィンの南関東二冠、ヤマノファイト、タービランスの「羽田盃(旧SI)」制覇が代表的なところ。
2024年より3歳ダート三冠路線が整備されたこともあり、全国統一を狙う有力馬たちにとっても非常に重要な意味を持つレース。
三冠初戦「羽田盃(JpnI)」のトライアルレースでもある「雲取賞(JpnIII)」及び「京浜盃」の指定競走となっており、
1着馬は「雲取賞」または「京浜盃」の出走馬選定にあたり、その成績を重視される。
今年はどの馬が勝ち名乗りを挙げて羽ばたいていくのか!?
ホッカイドウ競馬を代表する2歳馬たちによる見応えのあるレースに是非ご注目頂きたい。
予想<競馬ブック・板垣祐介>
JBC2歳優駿の前哨戦としての地位を確立しているこのサンライズカップだが、
少し遡ればハッピースプリントやヒガシウィルウィン、
近年ではつい先日の瑞穂賞で重賞14勝目を挙げたベルピットなどが上位馬に名を連ねており、
メンバーレベルは単なる地元重賞の枠に留まらない。
無論、昨年のJBC2歳優駿勝ち馬で、今年ホッカイドウ競馬3歳三冠馬となったソルジャーフィルドもここをステップに羽ばたいた。
全国的ないしは将来的な視点からも必見のレースと言えるだろう。
ただ、ソルジャーフィルドを例に取れば、このサンライズカップは2着だった。
如何に本番に繋がる内容で走れるかも重要である。
さて今年は、無傷の3連勝でブリーダーズゴールドジュニアカップを制したベストグリーンがこの路線の中心かと思われたが、
どうやら現時点では鎌倉記念から全日本2歳優駿へ直行するプランで進んでいるとのこと。
一転、主役はそのベストグリーンに0秒2差まで迫ったマロンソレイユが務めることになりそうだ。
ただし、頭数が13頭と揃った今年は伏兵も多数。
マロンソレイユが本番に向けて地元代表としての座を固めるか、それとも別路線組から逆転候補が現れるかに注目が集まる。
◎エンドレスソロウ
マロンソレイユの評価を下げるつもりはないが、あくまで筆者は新興勢力としてこの馬に魅力を大きく感じた。
2戦2勝の戦績もさることながら、前走内回り1,500mのウィナーズチャレンジで示したイーブンラップの継続性、競り合いを制した勝負強さは特筆ものだ。
その前走は上位3頭の大接戦だったのだが、ゴール前でグイッとひと伸びしたこの馬が1,800mのここへ、
2着のバウヴォーグ、3着のシーテープが1,200mのネクストスター門別へ、路線を異にして駒を進めたのは象徴的である。
タイム的にも優秀で、1,700mなら1分50秒台で走れる計算は成り立つ。
ブリーダーズゴールドジュニアカップを1分50秒3で走ったマロンソレイユに対抗しうる存在として注目したい。
◯マロンソレイユ
この馬が重賞レベルの力量であることは、
1,700mを1分51秒1で駆け抜けた6月19日のアタックチャレンジの時点で既に明らかである。
2歳6月という時点の比較なら、ソルジャーフィルドと同等かそれ以上のパフォーマンスだ。
前走のブリーダーズゴールドジュニアカップ2着は、
3着馬を1秒離してのものだから、それ自体で評価は高いのだが、
やや後手に回って道中の反応も決して良くなかったことを考えると、
あるいはベストグリーンにもっと際どく迫れていた可能性もある。
その道中に見えた気性的な若さは今回もポイントだが、既に対戦済みの相手には負けられない立場と言える。
▲アヤサンジョウタロ
ブリーダーズゴールドジュニアカップでは上位2頭に離されてしまったが、
後方から最後までジリジリと伸び続けて3着まで浮上したのだから、中距離戦にメドが立った内容である。
短距離のオープンクラスでは速い流れに対応し切れない課題が見えていただけに、距離が延びて成績を上げたのは理に適う。
個人的には、もう一列前で流れに乗って、どこまで脚が使えるのか見てみたい。中距離2戦目で前進が可能だろう。
△リコーヒューズ
△クラウニングカップ
△ニューアライブ
上述した通り、伏兵馬たちの力量はほぼ五分で、
ここで名前を挙げるのは3頭に留めるが、押さえておきたい馬は五指に余る。
リコーヒューズは昨年の勝ち馬リコースパローの弟で、兄同様、距離が延びてパフォーマンスを上げてきた。
兄と比べて晩成色が強いようだが、厩舎の期待値は勝るとも劣らない。
ゆったり構えて競馬を組み立てることができる点は、前進気勢が強かった当時の兄にはない強みと言えるだろう。
クラウニングカップの前走は、初の芝と左回りに戸惑ったような格好で、力を出しておらず参考外。
先行力を駆使した地元での安定したレースぶりを見直したい。
場所は違えど、ニューアライブも前走は芝のレース。
こちらは手応え以上に渋太さを見せていた。
初戦もほぼ遊びながら勝った内容であり、なんとも意外性を秘めた1頭である。
参考レース
-
- 6/24
- 門別
- 1,200m
- 栄冠賞(H2)
- ベストグリーン
-
- 8/21
- 門別
- 1,700m
- ブリーダーズゴールドジュニアカップ(H2)
- ベストグリーン
レース回顧<競馬ブック・板垣祐介>
当日は午後から夕方にかけての激しい雷雨により、馬場状態が短時間で良→重へと変化した。
だが、白砂に替わってからの傾向通り、時計の出方にはまったく変化がなく、
比較的タフな馬場コンディションで最終レースまで行われた。
JBC2歳優駿の前哨戦であるこのサンライズカップだが、近年は10頭以下の少頭数になることが多く、
自然とペースや展開が落ち着きがちで、特に昨年などは、本番とはまったく質の異なるレースになった。
しかし、今年は13頭が揃ったことで、より本番に直結するレースになることが期待された(1頭取消で12頭)。
実際、トレモロが先手を取って作ったペースは、前半3ハロン37秒6、1,000m通過が63秒2で、近年と比較しても速いペースで進んだ。
特に、レースの上がり3ハロンが41秒2までかかっているように、
道中の緩みがほぼなく、消耗戦に近いタフな流れになったことが分かる。
つまり、このペースを2番手から抜け出して突き放したエンドレスソロウは、非常に強い内容だった。
結論から言えば、この馬が既存の勢力図を一気に塗り替え、JBC2歳優駿の地元代表としての地位を確立したことになる。
では、各馬の走りを少し詳しく振り返ってみよう。
自分で◎を打っておいて何だが、エンドレスソロウが本当に重賞で通用するかは、やってみないとわからなかった。
もちろん、ここまでの2連勝は着差以上の強さを発揮しての勝利であり、特に内回り1,500m戦で見せたイーブンラップの継続性、
競り合いでの勝負強さは特筆ものであったから、それらを根拠として重い印をつけたわけだが、あくまでそれは仮説の話。
鞍上の石川倭騎手が、レース後のインタビューで「びっくりしましたが、勝てて嬉しいです」と率直な感想を述べたのも、
そのことを象徴する事柄であろう。
しかし結果的に、想像された以上のパフォーマンスをこの馬は見せた。
ペースとレース運びを照らして浮かび上がるのは、やはり優秀な心肺機能(=イーブンラップの継続性)である。
ここまでの2戦以上に着差を広げた勝利だったことを考えると、距離が延びて更に良さが引き出された格好だ。
そしてもうひとつ、この馬の武器として特筆すべきは、鞍上の指示にしっかり従って走ることができるレースセンス。
ナイター照明の灯った時間帯のレースは初めてということもあってか、
パドックではテンションが高かったのだが、レースで折り合いを欠くシーンはまったくなかった。
走破タイムは強調するほどではないが、4角の楽な手応えを見るに、まだ時計を詰める余力はある。
キックバックに敏感な面があるということだから、課題としては、揉まれ込んだ際の対応ということになろう。
ただ、操縦性の高さを考えると、その危険を避けて運ぶことが可能だ。
今日の内容なら、当然、JBC2歳優駿でも好勝負が期待できそうである。
淀みなく引っ張られ続けるこのようなペースでは、先行・好位集団で流れに乗った馬たちは、
うまくタメを作れないままダラダラと脚を使わされる形になってしまう。だからこそ勝ち馬の強さが際立つのだが、
それらの集団よりも後ろでじっくり構えていたスターシップが2着に浮上してきたのは、合理的な事象である。
この馬は、ここまでのレースでもスタミナ型の性質を見せてきた馬で、今日のような流れはバッチリと合った。
鞍上の山本咲希到騎手の冷静な判断もマッチしての好走である。
例年のことを考えると、本番はもっと動きのある激しい展開になってもおかしくない。
今日のような落ち着いた運びをすれば、そこでもダークホースになりうる存在だ。
しかしこの馬、デビューからの2戦はさっぱりの凡走が続いていた馬である。
きっかけひとつでここまで変わるものかと、2歳馬が見せる変わり身の大きさには驚かされるばかりだ。
当然、変わっていく方向は一方向ではない。
1番人気で4着に敗れてしまったマロンソレイユは、2走前あたりから発露し始めた気性面の難しさに手を焼いている印象である。
道中の反応の鈍さが浮き彫りになった前走を踏まえて、今日はチークピーシーズを着用していた。
好位集団後ろ目から、先んじて3角でスパートしたのも、その点をカバーするためだったように思う。
結果的に、まだ全体のペースが失速していないコーナーで脚を使ったため、直線のひと押しを欠いたと見れなくはない。
ただ、だとしても、ベストパフォーマンスだった3走前の内容からすると、これが全力とは思えない。
本番へ出走するかどうかは今のところ微妙だが、世代トップクラスの能力があることは確かだ。復調を待ちたい。
アヤサンジョウタロは、ブリーダーズゴールドジュニアカップの時点でマロンソレイユとの間にあった1秒の差をひっくり返した。
「もう一列前で流れに乗って、どこまで脚が使えるか見てみたい」と予想の段階で書いたのだが、
前走以上に活気のあったパドックからも窺えた状態の良さも背景に、今日は好位集団に加わって運べていた。
タメの作りづらいペースに苦労しながらもよく踏ん張っており、
やや後手に回った感のあった前走よりも、中身はずっと濃い3着である。
個人的にはマイラーとして大成するのではないかと見ているのだが、何にせよ次に向けて収穫の多いレースだったのではなかろうか。
サンライズカップを終えて、地元勢の勢力図は概ね出来上がった。エンドレスソロウには、頂点を獲れる資質がある。
あとは、今年のJRA勢の力量がどれほどのものか、エントリーを待つのみである。
レース概要
| 実施日 | 10/1(水) |
| 競馬場 | 門別競馬場 |
| 距離 | 1,800m |
| 出走条件 | サラ系2歳 |
| 負担重量 | 牡馬56kg 牝馬55kg |
| 優先出走権 | 1着馬は「雲取賞(JpnIII)」または「京浜盃(JpnII)」出走馬の選定にあたり、その成績を重視される |

