
世間はお盆休みの真っ只中という先週、門別競馬場などに行ってきたのだが、北海道は数年前に比べると変化があるように感じた。
個人的にもっとも大きいと思うのが、外国人旅行者の姿。
先週、門別競馬場と帯広競馬場に中華系とおぼしき人の姿があったと書いたが、本当にかなりの外国人が北海道を訪れているようだ。
しかしながら、東京と北海道を結ぶ航空路線はそんなに混んでいなかった。
私が乗った8月12日の羽田発新千歳行きには空席があったし、空港ロビーにある出発便を示すボードをみても、
全体的に「お盆の帰省ラッシュで満席」という感じではなかった。
とはいえ、これは成田と新千歳を結ぶ飛行機、つまりいわゆるLCCが1日に10本以上も飛んでいることで、
全体の供給量が増えたという部分が大きそうだ。
次に気づいたのは、レンタカーが供給過多になっていること。
私は新千歳空港の国際線ターミナルからレンタカー店の送迎車に乗ったのだが、
外国人旅行者がレンタカーを利用するという例は多くなっているらしい。
しかしそれ以上に増えているのがレンタカー店。
私が北海道の牧場に月イチぐらいのペースで行っていた15年ほど前は、大手レンタカー店しかなかった。
それが10年ほど前に、中古車を仕入れてそれを貸すという「格安レンタカー」が出現したのを機に、
同じような店が新千歳空港の周囲にどんどんできてきたのだ。
これはインターネット予約の普及がいちばんの要因。
私の知り合いもその種のレンタカー店を長いこと経営しているが、最近は競争が激しくて利益率が低下しているようだ。
そのせいか、私が車を借りた大手ディーラー系のレンタカー店は、駐車場に車があふれていた。
そしてお盆なのに、24時間の料金が税込で4500円。
以前はクルマがないし値段は強気だしで、北海道に来るなら夏休み以外だなあと思ったものなのだが。
それにしても最近は、旅行へのハードルが本当に下がった。
私が初めて北海道に飛行機で行ったのは1998年。
そのころは旅行雑誌を買って、激安で航空券とホテルのパックを販売している旅行代理店に電話して、
空きを確認して申し込み、代金を銀行から振り込んで……というプロセスを踏んでいた。
さらにそれ以前は、上野から急行八甲田号に乗り、青函連絡船というルート。
北海道に行くこと自体が、ものすごいイベントだった。
それが現在は、通信で距離感がなくなったばかりでなく、人間と人間の距離も縮まった。
そのおかげで、競馬場に行かなくても馬券が買える時代になった。
私が競馬を始めた25年ほど前は、南関東の場間場外は始まっていたが、ラシアンゴールドとナリタハヤブサが
同着で勝った平成4年(23年前)の帝王賞は、馬券を買うためにオフト後楽園で2時間並んだ。
今の東京ドームホテルのあたりに窓口があって、そこから馬券オヤジのどす黒い列が、ジオポリスの入口あたりまで続いていた。
それを思えば、今はなんて楽なんでしょう……。
北海道で馬券を買うのも便利になった。
苫小牧にある場外馬券売場には昔からよく行っているが、道路をはさんだ反対側に移転してからは、先週が初めて。
その場所には20年ほど前まで、屋内型の遊園地「ファンタジードーム」があった。
人口十数万人の都市でそれを維持するのは厳しかったようで短命に終わってしまったが、
その跡地に『大人のテーマパーク』ができたなんて!
その入口には、ホッカイドウ競馬とJRAのロゴが並んでいた。
こんな風景、ちょっと前までは想像もできなかったですよ。
(苫小牧場外の入口)
さっそく中に入ると、おお、広い!
(金曜夜の苫小牧場外)
さすが、遊園地の空間を利用しているだけあって、天井の高さに余裕がある。
ちょうど大井の11レースが締切5分前。
ここでレースを観戦しよう。
私が訪問した時間帯は大井しか売っていなかったのだが、翌日(8月15日)は朝9時からJRAを発売して、
昼からは大井と帯広を発売するとのこと。
ということは、1日に最大で60回も勝負できるのか。
なんて喜ばしいんでしょう。……やりませんけど。
金曜日の夜の馬券売場にいたお客様は30名ほど。
それが、翌日の朝10時前に行ってみたら、ざっと見た感じで100人以上は入っていた。
いいねえ、にぎわっているねえ。
こういう場外、うちの近所にも欲しいぞ!
(土曜朝の苫小牧場外)
苫小牧場外が優れている点は、大型量販店の建物内にあること。
つまり、テナントのひとつなのである。
空き店舗に悩む商業施設の社長さん、こういう施設を誘致してはいかがでしょう?
あと、以前から「場外があればいいなあ」と思っているのが、千歳と羽田の空港ターミナル。
中部国際空港には競艇の場外があるのだから、競馬だってできるはずだ。
出発前に馬券を買って、到着後に答え合わせ。
機内で無線LANが使える場合もあるから、空の上でレース観戦となれば素敵すぎる!
というわけで、私の友人には「それを公約にして大田区長選挙に出ろ」と、けしかけております。
さて、水曜日のメインレースは1200mのアフター5スター賞。
そのレース名には、ある種の懐かしさが漂う気がするが、昔は有楽町駅から大井競馬場まで
無料バスが出ていたのだからスゴイですよねえ。
今回のキモは、3歳馬のルックスザットキルをどう考えるか。
前走の習志野きらっとスプリント、確かに勝ったのだが、逃げた2頭の外をスムーズに走れた展開の利があったように思う。
それを考慮すると、今回の56㎏は微妙。
ここは買うか買わないかの2択にするのが妙味でしょう。
で、来たらゴメンナサイ。こうするほうが、ハズれたときの諦めがつきやすい(汗)
◎リアライズリンクス
○ゴーディー
▲カイロス
△アクティフ
穴クロタカ
リアライズリンクスのスピードが断然とみて逃げ切りに期待。
夏場が得意なゴーディーを対抗に抜擢して、斤量が有利なカイロスを3番手に。
アクティフも49kgなら流れ込みがありそう。
鞍上の赤嶺亮騎手は、月曜日に「アフターファイブ」という馬に乗って3着に入っていた。これも買い材料!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。