
8月30日、JRA宮崎育成牧場で「馬に親しむ日」というイベントが実施された。
そのなかのメインイベントのひとつが「ジョッキーベイビーズ・九州地区予選」。
10月11日に東京競馬場で行われる「ポニー競馬」の全国大会に向けて、
ただ1枚の切符をかけての戦いには、宮崎県、鹿児島県、沖縄県から12名の参加があった(出場資格は中学1年まで)。
その12名を6名ずつに分けて午前中に2レースを行い、それぞれのレースの上位3名が午後に勝利を目指して走る。
午前中の予選は直線200m。午後の決勝は直線350mという設定。
200mはスタートが最大のポイントとなるのだが、350mはスピードだけでは押し切りにくい距離らしい。
といっても、勝ち時計は200mが20秒で、350mが40秒程度。
そういう瞬間的な勝負なので、レース実況をする私は集中力が必要なんですね。
今年は雨がパラつく天気だったから大丈夫だったが、
数年前は熱中症と思われる症状で頭がフラフラになったことがあるから、それなりに重労働なのだ。
しかしここに出てくる少年少女は、東京競馬場の大舞台を目指して瞳キラキラで来るのだから、
こちらもそれに負けないぐらいの気合で盛り上げねばならぬ。
まずは午前10時、開会式で12名の騎手が勢ぞろい。
みんなきちんと勝負服を身にまとっている。
なかには大人用のものを着て袖丈が余りまくっている騎手もいたが、これを見るだけでも本人、そして保護者の意欲が伝わってくる。
(開会式で12名の騎手が勢ぞろい)
まずは予選1組目。6名の人馬が本馬場に入り、観客にその姿を披露していく。
観客はそのあたりを含めて、勝ち馬投票をするシステムだ。
ちなみに第1レースは、的中者のなかから10名様に「うなぎの長焼き2尾」が贈られる。
第2レースはシーガイアのリゾートホテル、ペア宿泊券1名様が目玉。
それを目指して観客が熱くなるのも例年どおりなのだが、投票券が無料で配布されているので、1人1枚の掟を破っている人がいるような……?
今年は特別ゲストとして、名古屋競馬で活躍中の木之前葵騎手が登場してくれた。
木之前騎手は宮崎県三股町の出身で、8月29日の小倉競馬で、
JRA・地方・海外通算1000勝を挙げた橋口弘次郎調教師の実家の近所に住んでいたそうだ。
なんでも、前日には三股町長を交えて食事会をしてきたとのことで、早くも地元の名士みたいになっているらしい。
その木之前騎手が選んだ「パドックからの推奨馬」は、2番。
「若くて大柄なほうが有利」との見立てで、体高122㎝、セン4歳を本命に。
ちなみに、コンビを組む馬は体高(肩までの高さ)125㎝以下という規定で、馬は自前で用意しなければならない。
その点でも、2番の馬は昨年も出場して予選を通過しているから有力といえそうだ。
しかし残念。2番の馬はスタートで後手を踏んで、後方のままで終わってしまった。
勝ったのは父が育成場を経営している長谷川蓮くん(小6)。
一瞬の勝負だけれど、全速力で観客席の近くを走るから、観客がのけぞるほどの迫力がある。
続く第2組も6頭立て。こちらは内枠から馬場の真ん中に出して伸びてきた、佃隆太くん(小5)が勝利。
3着争いがきわどくなって、ビデオ判定が30分ほどかけて行われた。
決勝に進出できるのは3着までだから、決勝審判の責任はまことに重大である。
そして午後2時20分。ポニー競馬選手権決勝戦に出走する6組の人馬が入場してきた。
木之前騎手の本命は、第2組の1着馬。
木之前騎手は子供のころ、JRA宮崎育成牧場の乗馬少年団に在籍していたそうで、
いわば騎手としての第一歩を踏み出したのがこの場所なのだ。
ということで、将来の夢は騎手という12名の少年少女にとっては憧れの先輩。
その先輩いわく、たとえば800m戦でも力量が拮抗しているときは
「前に行かせすぎると最後に失速するので、道中で息を入れるタイミングが重要」だそうだ。
そのアドバイスが届いたのかどうか、
決勝戦は道中3番手にいたサツマヨカニセと福元願(ふくもと・ねがう)くん(小6)が、ゴール寸前で差し切り勝ち。
逃げ切りを狙った長谷川蓮くんは半馬身ほど遅れての2着となった。
福元くんは3年生から挑戦を続け、4回目にしてついに東京競馬場への切符を獲得ということになった。
これはさぞかし喜んでいるはず……と思ったら、勝利騎手インタビューでは笑顔がなく、テンションも低め。
思いを内に秘めるタイプ……なのかな?
表彰式では木之前騎手から優勝メダルとカップを授与されて、東京競馬場への招待ボードも授与。
本人よりも家族のほうが大盛り上がりだった。
そりゃ、10月11日にJRAの費用負担で東京に行けるのだから、ありがたい話ですなあ。
ここもアイドル界とかと同じで、子供より親のほうが盛り上がっている部分があるのかも。
(表彰式)
ともあれ競馬界への登竜門、ジョッキーベイビーズの本番まであと1か月少々。
全国から集まる8名の“騎手のタマゴ”にぜひご注目を!
さて、9月2日(水)の浦和メインの11Rは、B1B2クラスの芙蓉特別。
このレースに、息子さんが昨年のジョッキーベイビーズに出場した佐藤博紀調教師(川崎)の管理馬が出ていれば文句なしなのだが、
そううまくはいかぬもの。
ということで普通に予想しましょ。
浦和の1600mは、4月の「SPAT4プレミアムポイント・バックヤードツアー」に
ご参加いただいた皆様には実感していただいたとおり、スタートから最初のカーブまでの距離がどえらく短い!
恐怖心さえ感じられてくる舞台は、内枠有利が明らかということは、皆様には常識として備わっていることでしょう。
それを踏まえると、浦和マイルで2戦2勝、さらに2番枠をゲットしたダイワアズールの軸は不動。
前走の逃げっぷりがよかったケイティードラゴンを相手筆頭に据えて、アポロズスピアー、ロイヤルトリニティにも要注意。
ということで、8月7日の「SPAT4プレミアムポイント予想イベント」で、私も荘司典子さんも的中を果たした葉月特別の上位4頭に絞って勝負!
◎ダイワアズール
○ケイティードラゴン
▲アポロズスピアー
☆ロイヤルトリニティ
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。