
9月に入ってから北海道に2回行ってきまして、それは両方とも、いわゆる「一口クラブ」の募集馬見学ツアーに帯同させていただいたもの。
ありがたや~。
競馬ブームが絶好調の2000年前後には、確か19社もの「一口クラブ」があったのだが、今はそれよりもやや少なくなっているようだ。
といっても、根強い人気があるのがクラブ馬。
それぞれのツアーの参加者は気合がものすごく、そして知識も豊富だから、私なんぞは完全に圧倒されてしまいますわ……。
一応、私も「一口クラブ」には3つ入っていて、それなりに募集馬に出資しているわけなのだけれど、
いつ走るのかなどの情報はまるで追っていないし、月初に送られてくる明細書でレース結果を知ることもあるぐらいの不良会員。
いや、会社にとっては文句を言わずに月会費を払ってくれるのだから、優良会員になるのかな?
(募集馬見学の様子)
数年前から、地方競馬でも一口クラブの馬が所属できるようになったので、
JRAでは成績的に少々厳しくなったという馬を中心に、南関東に移籍するケースが増えてきた。
たとえば、船橋のバトードールはキャロットクラブで、スターシップは社台レースホースがオーナー。
それとは別に、最初から地方競馬でのデビューを目指すクラブ馬もいる。
数年前、私も大井からデビューした馬に1口(100分の1)だけ出資していた。
もともとは門別競馬場からスタートする予定だったのだが、腰がしっかりしてこないということで2歳デビューはあきらめ、
3歳になってから大井で走り、2着1回という成績で引退してしまった。
南関東はご存知のとおり、上級クラスになるとかなりの激戦区。
少ないチャンスを目指して実力がある馬が殺到するものだから、B級上位になると、そこをクリアするために消耗してしまい、
勢いをA級にまで持っていけない馬がけっこう見られるという気がする。
これは競馬場の廃止に代表されるとおり、地方競馬に低迷期があったことが原因のひとつ。
20年前あたりは各地方競馬の賞金が今よりも高く、実力馬が各地方に散っていた。
たとえば、1990年代後半の東海桜花賞(名古屋)の1着賞金は2000万円。
宇都宮競馬場のとちぎ大賞典は1着賞金が1500万円、北関東ダービーは1800万円という時期もあった。
ホッカイドウ競馬の道営記念なんて、1997年と98年は1着賞金が3000万円。ビックリな話ですよ。
それが今は、南関東以外の地方競馬で活躍馬を持っても、左団扇でウハウハ~ということにはなりにくい。
南関東でも20年前に比べれば賞金額は少ないが、ほかの地方競馬よりは圧倒的に上ということで、
南関東に実力がある馬が集中する事態が続いているのだ。
しかしながら、あのころの競馬ファンの財政力と行動力って、すごかったんだなあ。
電話投票は無いに等しく、地区を越えての馬券発売もほとんどなかった。
つまり馬券を買うためには、競馬場や場外発売所での現金投票が必須。
それでその賞金を出せていたのだから、競馬ファンの底力が窺い知れる。
これからの地方競馬が黒山の人で満杯という景色を取り戻すには、どういう世の中にしていけばいいのだろう?
それにはやはり、各地方競馬がこれまで以上に盛り上がっていくこと。
その方策はいろいろあるのだろうが、やはり現地に行きたくなる演出をしていくことが重要なのだろうなあ。
後検量を観客の前でするとか、全レースでウイニングランをするとか。
その演出のひとつとして、スターホースの登場とともに、馬主という立場で競馬に参加する人が増えることも、盛り上げのひとつにつながるだろう。
といっても、先立つものがなければ……。
南関東の厩舎への預託料は、1か月あたり30万円前後が標準的なラインとなっている。
100分の1の出資ならば3千円前後になるけれど、月に1走して着外だったら完全な赤字だ。
もちろん、デビューするまでには、馬代金と育成費用がかかる。
南関東では馬代金が高くなければ、C級を卒業すれば元が取れるとよく言われているようだけれど、マイナス決算はイヤだよなあ。
しかしながら、私がこの2週間で見学した6頭の地方競馬入厩予定馬の姿を見ると、その先の将来が楽しみという気持ちしか浮かばない。
そんな簡単にいく世界ではないというのは承知の上だけれど、私が見た6頭のうちの何頭かには、出資という形で付き合うつもりでいる。
と書きつつも、怖いなあという思いとワクワク感が同居して、ものすごい葛藤が発生していますが……。
うーん、やっぱり清水の舞台から飛び降りますか!
(牧場の親子)
今週水曜日の東京記念には、クラブ馬が2頭出走。
それとは別に、地方競馬の馬主資格を持った人向けの共有馬(こちらは20分の1が最低単位)も出走しているのだけれど、
ここはコラムの趣旨を尊重して、タイムズアローから攻めてみますか。
前走のマーキュリーカップでは鞍上の真島大輔騎手が自信満々で出発したとのことだったが、現地に着いたら馬体重が大幅減。
それを重視して私はこの馬がらみの馬券を1円も買わなかったのだが、なんとビックリの4着好走!
考えてみれば、JRA時は490㎏前後で競馬をしていただけで、マイナス19kgは想定内の話だったのかも。
2400mも歓迎とみて、ここから有力どころに流していきます!
◎タイムズアロー
○プレティオラス
▲ユーロビート
△カキツバタロイヤル
△ハブアストロール
△ガンマーバースト
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。