
9月23日、24日の2日間、「門別競馬観戦と牧場巡りの旅」に案内役として参加してまいりました。
個人的に9月は北海道に3回行きましたが、1回目はノーザンファーム周辺のみ、2回目は浦河から静内方面が中心。
で、3回目の今回は門別と静内が中心という行程で、それぞれに面白い内容でした。
しかし改めて感じたのが、ダート中距離方面を志向する種牡馬の激戦ぶり、ですわ。
15年ぐらい前だと、その方面を専門に引き受ける人気種牡馬といえば、
アサティスとかカコイーシーズ、ティンバーカントリーぐらいしか思い当たらないですよ。
でも、その3頭は芝の重賞ウイナーを出しているわけで。
ブライアンズタイム産駒も生産牧場の気持ちとして、「芝でダメだったらダートで」という部分を感じる馬が多かったような気がするんですよね。
20年ぐらい前になると、ナグルスキーとかグランドオペラとか、そのあたりがメインだったかなあ。
そしてそれ以前、地方競馬が活況を呈していたころは、マルブツセカイオーとかカウンテスアップなど、
地方競馬で大活躍した馬の種牡馬入りがたくさんあった。
とは言いつつも数年前までは、ダートが主戦場の活躍馬が種牡馬入りしても、それほど恵まれなかったというのもまた事実。
たとえばドバイにも行ったキョウトシチー、ライブリマウントは、種牡馬になっても営業不振……。
JBCを制したアドマイヤドン、マイネルセレクトは、韓国・済州島に引っ越してしまった。
しかしそれが最近は状況一変。
JBCクラシックを3連覇したヴァーミリアンが種牡馬入りして、初年度から200頭を超える配合をこなしたあたりから、様子が変わってきた感がある。
それ以降はダートを専門に走った馬がどんどん種牡馬入り。
ざっと思いつくだけでも、カネヒキリ、フリオーソ、カジノドライヴ、スマートファルコン、エスポワールシチー、トランセンド。
短距離ではサウスヴィグラスがキングとして君臨し、スターリングローズも活躍中だ。
ちなみに前出の種牡馬は2014年度の種付け数がすべて50頭以上だから、以前とは間違いなく雰囲気が変わっている。
それは、父の名前で方向性がわかったほうが売りやすいという、馬産地の全体的な考えかたによるものかもしれない。
しかしながら、たとえば東京ダービー馬を例にとると、
今年の優勝馬、ラッキープリンス=サイレントディール
昨年はハッピースプリント=アッミラーレ
一昨年、インサイドザパーク=タイムパラドックス
3年前、プレティオラス=フィガロ
と、いわゆるメジャーな種牡馬が席巻しているわけではない。
5年前はワイルドラッシュ産駒で6年前はゼンノロブロイ産駒だが、どちらかというと、マイナー軍団のなかから一発大当たりが出るケースが多い。
このあたりはディープインパクトとキングカメハメハだらけの芝中長距離路線とは、まるで違う様相だ。
(ハッピースプリントの父、アッミラーレ)
うーむ、もしかしたら、日本ダービー方面を目指したいけれど、社台グループに対抗するのはもう無理だわ……
という日高地方の生産者の思いが「ダートな種牡馬」に向く理由になっているのかも。
確かに、日高産のディープインパクト産駒の活躍率は、社台グループに比べるとかなり落ちる。
しかしそれって、競馬全体のデザインを考えるとどうなのよ、という気はするなあ。
しかしそうなってくると、激戦区になるのは南関東を中心とした地方競馬。
今でもハイレベルだと思うのだが、それがさらに激しくなるのは間違いない。
JRAもレベルが上がっていくだろうが、あちらは3歳春のダート路線のレースが少ないから、そこで素質馬が星をつぶしあうようになるかもしれない。
そんな今後の競馬界の行く末がちょっと心配だけれど、そのなかでたくさんの人はそれぞれに最善を尽くしている。
その結果が良いバランスになってくれることを祈りたい。
でも、こんな話もある。
社台グループが2001年に「地方競馬オーナーズ」を創設し、そして徐々に実績を上げてきたころ、
浦河で育成場を経営している私の友人が「ぼくらの夢にまで手を出さんでほしいわ……」とボヤいていたものだが、
やはり刺激があると全体が底上げされるのは間違いないようだ。
マズルブラストやクラーベセクレタなどの活躍馬は出ているが、決して社台グループに制圧されたわけではないのは、
そういった馬たちに負けないようにと、日高地方のレベルアップが進んでいるからだろう。
となると、やっぱり個人的な心情としては日高方面の馬を応援したくなってしまうわけですわ。
水曜日の東京盃に出てくるメンバーをみると、母の父がアングロアラブのゴーディーなんて、名前を見ただけで涙がちょちょぎれますよ。
本当にガンバってほしいと思うのだけれど、1200mはちょっと短いかなあ。
そんな複雑な想いを総合して考えていくと、
先週木曜日にダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで見たパイロが送り出した、シゲルカガが魅力的。
コーナー2つの短距離戦は、もっとも向く舞台だろう。
(パイロの横顔は見るからに強そう)
ダノンレジェンドは外国産馬で、話の流れからはズレてしまうが、やっぱり外せない存在。
ドリームバレンチノは最近の成績がいまひとつでも、右回りとなれば外せないところだ。
逆にコーリンベリーは1200mで2戦2勝といっても、両方とも3歳の年明けに人気薄で記録したもの。
逃げ馬でもダッシュ力が強烈というタイプではない感じがするので、ここは押さえまでが妙味とみたい。
タガノジンガロは「まっすぐ走らせるのが大変」というタイプなので少々心配があるけれど、連下の穴として要マーク。
実家の新冠タガノファームは、先日のツアーで牧場の前を通ったし!
◎シゲルカガ
○ダノンレジェンド
▲ドリームバレンチノ
☆タガノジンガロ
△アルゴリズム
△コーリンベリー
続いて木曜日のレディスプレリュードも。
グランダム・ジャパンの最終戦ということで、ポイント1位のケンブリッジナイスと2位のサンバビーンが揃って出走。
ただ、ケンブリッジナイスは出走しないと1位をキープできないという状況なので、ここは完走することがテーマとなる。
というところも含めて、ここはJRA勢同士の戦いとみてよさそう。
サンビスタは前走の門別で2着となったが、「仕掛けたら反応がよすぎた」と岩田康誠騎手が振り返ったとおり、目標にされたのが敗因。
ならば今回は押し切れるとみる。
アムールブリエは前走の勝負どころで加速に時間がかかったのは、休み明けの影響という印象。
叩き2走目の今回は、距離短縮でも互角以上が可能だろう。
トロワボヌールは「右回りより左回りのほうがいい」と畠山吉宏調教師が話すとおりの戦績。
ただ、ダートで12戦11連対の成績は無視できない。
ホワイトフーガは関東オークスでの大差勝ちが光るが、前走が真っ向勝負で最後に離されただけに、まだ力量的に厳しいといえそう。
まして今回はブルーチッパーとサンバビーンがいるだけに、ここは無印が妙味だと狙って勝負したい。
◎サンビスタ
○アムールブリエ
△トロワボヌール
馬連1点&3連複1点!?
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。