コラム”

「今週は日韓交流戦!」
2015年10月13日

最近、ちょっと必要があって昔の写真を探していたら、デジカメ時代なわけでこれがもう膨大な量になっているわけですわ。
で、探し物の本筋から脱線しているうちに、韓国に久しぶりに行ったときの写真を久しぶりに見た。
その写真を撮ったのは2008年6月だから、もう7年も前。
ちなみにその前の韓国訪問は1989年だから、ソウルオリンピックの次の年。
あのころのソウルは地下鉄4号線までしかなかったし(今は9路線+空港鉄道)、街に出れば、若い男子の8割以上はスポーツ刈り。
ちょっと長髪だった私はすごく目立っていたと思う。

2008年に韓国に行った理由は、ミスターピンク☆内田利雄騎手の韓国(釜山競馬場)初騎乗を見ようと思ったから。
しかし内田騎手はマカオで食らった騎乗停止処分を韓国まで持ってきてしまい、レースに乗っているところは見られずに終わった。
ただ、内田騎手に会うことはできた。
その当時の私は、韓国語で知っているのは数字程度という状況。
それで業務エリアの地下食堂にいる内田騎手のところまでよく行けたものだと思うのだが、
なんかわからないけれど“念ずれば通ず”みたいなところがあったのかも。
ただ、今は警備が厳しくなっているので、同じことをするのは難しそうだ。

パドック

(2008年のソウル競馬場のパドック)

そして今年は1月と5月と6月と9月に渡韓。
行きすぎですな(汗)。
1月は釜山を中心に。5月と6月は競走馬のセリ市と野球観戦が目的で、9月は競馬場にも行かず。
言葉自体は勉強不足でも不自由しない程度にはなっているので、そんなに日本国内と変わりないかな~という感じで過ごせている。
一昨年から始まった大井競馬場の“日韓交流戦”にも毎年行っている。
ソウルでの交流戦は、今年は行けなかったものの、第1回と第2回は観戦&取材。
一昨年はソウルで的場文男騎手の追込みが決まり、大井ではワッツヴィレッジが逃げ切り勝ち。
競馬の神様は粋だなあということを感じたが、昨年はソウルも大井も遠征馬がいまひとつ。
とくに昨年の大井は勝負にならんだろ……という馬が来たので、韓国人軍団が集まる来賓ルームの盛り上がりもいまひとつだった。

トーセンアーチャー号

(第1回日韓交流戦の優勝馬、トーセンアーチャー号)

この要因には、賞金という部分もあるのかも。
韓国のグレード外の重賞、たとえば10月4日に行われた農協中央会長杯(ソウル1200m・3歳以上牝馬限定)の1着賞金は1億1千万ウォン。
日本円に直すと、およそ1200万円である。
8月30日のアジアチャレンジカップ(ソウルG3・1200m)はその倍の2億2千万ウォン。
コウギョウダグラスは5着に入って、1600万ウォンを獲得した。
という賞金水準ならば、別に海外遠征しなくても……ということになりがち。
そんな反省もあって、大井競馬場で行われるインタラクションカップは、昨年までソウル所属馬限定戦だったのが、今年は釜山所属馬も出られることに。
では、その遠征馬3頭が勝負になるのかどうか、チェックしてみよう。

●チョング(天狗)……3歳牡の米国産。
父オールドファッションド、母の父スペイツタウン。
ソウル所属で、これまで7戦4勝で3着内率100%。
2歳12月のデビューから順調にクラスを上げて、5戦目にはグレード外重賞のヘラルド競走杯(3歳以上1400m)で2着に入り、
前走はアジアチャレンジカップで逃げ粘って3着。
まだ成長しそうなだけに、この経験が今後の糧になりそうだ。
ソ・インソク調教師は46歳で、今年は33勝で第5位(9月末までの成績。以下同様)。
ユ・スンワン騎手はデビュー8年で通算180勝程度だが、今年は38勝で第6位と急上昇している。

●カウボーイソン(カウボーイの息子←英語です)……4歳牡の米国産。
父カウボーイカル(ジャイアンツコーズウェイ直仔)、母の父スマートストライク。
釜山所属で、通算19戦10勝、2着2回、3着2回と好成績。
7月5日の釜山広域市長杯(G3・1600m)では逃げ粘って3着からクビ差の4着に敗れたが、距離が長かった様子。
1400m以下では14戦して3着以内が12回と安定している。
イ・サンヨン調教師は49歳で、今年は24勝で第8位。
オ・ギョンファン騎手はキャリア15年ほどの35歳で、通算388勝の成績だが、韓国G1のグランプリとダービーを制している。

●ダイナミクジルジュ(ダイナミックな疾走)……牡4歳の米国産。
父フォレストリー、母の父ディキシーランドバンド。
釜山所属で通算27戦6勝。
1級=オープンクラスに上がってからは善戦止まりが続いており、前走が初めての1級勝ち(1600m)。
後方から差を詰める脚質でも切れ味には乏しい感じだが、2歳11月以来の1200m戦はタイプ的に悪くないかも?
クォン・スンジュ調教師は51歳でキャリア3年。
それでも昨年秋以降に重賞を3勝しており、腕利きといえそう。
釜山では日本人騎手を多く起用する調教師でもある。
倉兼育康騎手は高知競馬所属だが、現在は釜山で短期免許を得て活動中。
初めて韓国で騎乗したのが2007年だから、もう相当なベテランだ。
韓国での通算勝利数は301。
10月11日まで騎乗停止だったので、今回は3週間ぶりの騎乗となる(危なかった~)。

というわけで、昨年の戦力よりは圧倒的に上なのだが、トップクラスまではいかないという印象。
となると、どうですかねえ。日本側との比較は。

10月13日(火)大井11R
◎サトノタイガー
○チョング
▲ゴールスキー
△ファイヤープリンス
△カウボーイソン
△エリモフェザー

うーむ、けっこう微妙なメンバー構成。
サトノタイガーの地力が上位とみて中心に据えるが、コウギョウダグラスを物差しにすれば、チョングの逃げ切りもありそう。
ゴールスキーは休み明けでも実力的に上位で、この三つ巴と考えたい。3連勝式の3番目はかなり手広く……かな?

その翌日はハイセイコー記念。
これまた混戦必至のメンバーだが、4勝を挙げているラクテをどう捉えるかが最大のポイント。
個人的には距離延長も展開も不安ありとみて、押さえまでと判断したい。

◎サブノクロヒョウ
○トロヴァオ
▲グランユニヴェール
△プレイザゲーム
△ラクテ
△ヒコーキグモ

サブノクロヒョウはゴールドジュニアでは2着だったが、距離と脚質を加味すれば逆転可能。
トロヴァオは1年前に牧場で見たときに好印象があり、転入初戦が重賞でも通用するとみた。
3連勝中のグランユニヴェールも魅力的。
相手なりに走れそうなプレイザゲームを惑星的存在として挙げておきたい。


 

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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