
今週は日曜、月曜と高知競馬場に行っておりました。
目的は遊び……ではなくて、100%取材。
というわけで高知らしいものは何ひとつ食べず、月曜日の日暮れ時に羽田空港に到着。
もったいない気はするのだけれど、楽しみは余裕がある日程で行くときにとっときましょう。
でもじつは、昨年も一昨年もこの時期に高知競馬場に行っていたんですね。
一応の目的は取材だったのだけれど、目的の半分は「プロ野球の秋季キャンプ」。
毎年11月に阪神タイガースが高知県東部の安芸市で、オリックスバファローズが高知市内で秋季キャンプをしているのだ。
そしてもうひとつ、韓国のLGツインズも高知競馬場から2kmほど西にある、
春野運動公園で秋季キャンプを実施している(韓国では『仕上げキャンプ』という名称)。
基本的に私は南海時代からのホークスファンで、3年ほど前からはヤクルトスワローズも応援するようになっている。
ちなみに今年はホークス戦に5回、スワローズ戦には8回行った(ほかに阪神戦が4回……)。
ついでにLG戦は7試合観戦。
うーむ、ちょっと行きすぎかなあ。
しかし今年は日本シリーズがホークス対スワローズ!!
となれば、これはもうイクシカナイダロウ!
ということで、第3戦と第4戦は神宮球場に突撃してまいります。
席は両方ともレフト側。
そこはやっぱり小学生のときからのファンなので、心を鬼にしてホークスを応援させていただきます。
しかしながら今年の秋の高知は、野球ナシで競馬オンリー。
というわけでさっそく日曜日の午後2時半に競馬場に突入すると、スタンド内にはたくさんのお客様!
(高知競馬場には人がたくさん!)
その人たちのお目当ては、JRAの菊花賞。
この日の高知競馬場ではJRAの東京、京都、新潟の全レースと、佐賀の全レースを発売。
そして高知競馬は第1レースの発走が2時55分だから、朝から晩まで59レースを発売するという、ちょっとした天国状態になっている。
現在は地方競馬の機械でJRAの馬券を発売するのは普通だが、
ちょっと前までは「臨時場外」という扱いで、JRAが設置した発券機でしかJRAの馬券は買えなかった。
今も盛岡、水沢、姫路、佐賀の各競馬場はその方式。廃止された三条、高崎にもJRAの機械が入っていた。
そして今は、南関東の4競馬場でもJRAの馬券を売る時代になった。
川崎と浦和は「ウインズ」で、大井と船橋は「J-PLACE」と名称に違いはあるが、馬券を売る機械は南関東でもJRAでも同じもの。
それは意外と重要なことだと思うのですよ。
以前、日曜日の高崎競馬場に行ったときのこと。
馬券発売所は2か所に分かれていて、ゴール寄りが高崎競馬、4コーナー寄りがJRAになっていた。
その人口密度が、JRAと高崎とでまったく違っていたのだ。
JRAはメインレースだけの発売なのに、100円の入場料金を払って馬券を買いに来る人の多さにビックリ!
そしてその人たちが目の前で走っている馬にまったく興味を示さないことにもビックリ!
その状況を見ているうちに、なんだかやるせない気持ちになってしまったことが思い出されますわ。
ちなみにその日のJRAのメインはセントライト記念。
高崎競馬はご丁寧に9レースと10レースの間を1時間10分開けていて、
JRAが終わったら高崎の最終10レースも買ってね、というプログラムにしていた。
しかしそんな配慮はライトなファンには伝わらず、
セントライト記念が終わった瞬間(波乱だった)、スタンドのなかは端から端まで見渡せるようになってしまった。
ああ無情……。
JRA目当てで来た人に高崎の馬券も買ってもらうにはどうすればいいのか?
という話を高崎競馬の職員さんとしたこともあったが、
そこで出た数々のアイディアは実現されないまま、2004年の大晦日、終了のときを迎えてしまった。
(廃止後の高崎競馬場のパドック)
しかし高知競馬場の風景は、そのときの様子とまったく違う。
菊花賞と時間帯が重なる第2レースと第3レースの間は他よりも10分長いが、高崎と違って多くの人がJRAと高知の両方を買っていたのだ。
菊花賞がスタートする15分前に行われた第2レースでは、スタンドの外で観戦する人が多数。
高知の競馬ファンの気質によるところもあるのだろうが、同じ機械でJRAと高知を買える点も大きいような気がするのだ。
という熱いファンが集まる高知競馬場ではあるが、さすがに夜が近づくにつれて場内の人口は減少。
最終レースを迎えるころには目測で100人弱……。
それでも10月25日の売上金額は、およそ1億7千万円。
どうやら昼間は競馬場内の現金発売が多く、徐々にネット発売のシェアが増えていく形になっているようだ。
これはある意味、いいバランスといえるかも。
そして冬こそが高知競馬の稼ぎどころ。
冬場は平日にもナイター開催を実施するので、SPAT4でも参加できる。
「四半期ごとの決算で、赤字になったら即廃止」という、厳しい条件を関係者の努力で回避し続けてきた高知競馬。
その努力が報われて、売り上げ規模は全盛期の数字に戻りつつある。
経営が安定してきたことで、いろいろと新たな試みを打ち出しているが、そこには厳しい時期を経験した分の底力がいきているのかもしれない。
(最近導入されたキャッシュレス発売機)
その高知競馬場には、南関東からたくさんの騎手が期間限定騎乗に行っている。
水曜日の埼玉新聞栄冠賞には高知で修業した騎手が出ていないが、笠松と北海道に行った中野省吾騎手がいる。
中野騎手が騎乗するカキツバタロイヤルはこの重賞に4回出て、2着3回、3着1回と好相性。
9歳の今年もまだまだ元気で、最内枠もプラスだろう(ゼッケン1番のときは、3着内率100%!)。
相手は東京記念後の上昇が見込めるタイムズアロー。
3歳馬2頭も魅力的だが、古馬と同じ58㎏という点が気にかかる。
◎カキツバタロイヤル
○タイムズアロー
▲ラッキープリンス
△ストゥディウム
△ガンマーバースト
ただしカキツバタロイヤルは、あくまでも「軸」。3連勝式は2着と3着に固定かなあ……
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。