コラム”

「ちょっとさみしいマカオ競馬」
2015年12月14日

初めて行ってきました、12月の香港国際競走。
今年の「浪琴表香港國際賽事(ロンジン・香港国際競走)」は、モーリスとエイシンヒカリの優勝で、
現地に突撃した日本の競馬ファンともども盛り上がりました。
しかしながら、私はモーリスの単勝は買っていたものの、エイシンヒカリ関連は1ドルもなし……。
それでも異国の地でブラスバンド演奏の「君が代」を2回も聞けたのは、いい思い出になりました。

モーリス優勝!

(写真:モーリス優勝!)

さて、その前日の土曜日は、マカオのタイパ競馬場に突撃。
ここは寂れっぷりがハンパない競馬場で、6年前に来た前回も「そろそろ危ないんじゃないか」と思ったのだけれど、
今回はさらに危ない予感が満載だった。
まず、1日のレース数が減っていた。
過去に4回ほど来ているのだけれど、その頃は10レースぐらいやっていたはず。
しかしこの日は6レース制で、昼の2時に始まって、5時前には閉店。
同時にマレーシアのイポー競馬場のレースを7つ発売しているにしても、自場開催のスケールダウン感は、なんだかなあという感じでしたわ。

スタンドにいる人数も寂しい限りで、3階が100人弱で1階が70人程度。
スタンドのひな壇の裏に併設されているカジノにある馬券売場にも50人ぐらいいた。
別棟で馬主やハイクラスの顧客だけが入れるクラブハウスがあるのだが、それでも全体としての入場客数は400人ぐらいだろうか。
ちなみに日本人とおぼしき人は、私を含めて5名程度しかいなかった。
それでよく営業できているなと思うのだけれど、モニターに表示されている売上票数をみるとソコソコ売れているのである。
これはおそらく、香港で場外発売されている分が大きいのだろう。
シンガポールやマレーシアでも売られている分は票数に加算されているのか不明だが、その分の収入も大きいと思われる。

しかし現場に来てみると、なんだか「廃競馬場で競馬観戦」という感じがしないでもないんですわ。
エスカレーターは動いていないし、窓口は1階と3階それぞれで、香港ドル専用窓口とマカオパタカ専用窓口が各2か所。
それでも締切間際に3人並ぶことがほとんどない。
その象徴的な風景がこちら。
タイパ競馬場のスタンドは、ガラス張りのエリアもあったのだけれど、現在は閉鎖中……。

タイパ競馬場

(写真:タイパ競馬場)

そしてスタンドから2コーナーのほうを見渡すと、

馬場方向の景色

(写真:馬場方向の景色)

金色に光り輝く「ギャラクシー娯楽場」の存在感がものすごい。
この奥には、競馬場よりひと回り程度小さいという敷地にそびえ立つ「ヴェネチアンリゾート」もある。
さらにマカオでは海を大々的に埋め立てて、新しいホテル&カジノ用地を造成している……

という状況ならば、競馬場の敷地が狙われても文句は言えまい。
そもそも競馬場の運営もカジノ会社なのだから。
それでも競馬が続いているのだからありがたいと思おう。
せっかく来たのだから、全力で勝負しますか!

というわけで、気合を入れて出走馬の様子をチェック。
パドックはハイグレードエリアの前にあり、一般席からはちょっと距離がある。
それもあってか、パドックの近くで出走馬を凝視しているのは2~3人。
つまり、馬券を買う人はほとんど全員、パドックの映像や新聞記事、そしてオッズの数字がその根拠になっているわけだ。
とすれば、2m程度の距離で出走馬の姿を見ている私は、とてつもなく大きなアドバンテージを得ているってこと!?

そのおかげですよ。 マークカードの塗りかたを把握してからは絶好調。
第4レースで54倍の馬連を当て、第5レースは3連単の1着と2着が逆だったものの、18倍の馬連をゲット。
そして最終の第6レースは22倍の馬連と、430倍の3連単が激しく的中!

そうなんですよ。
やっぱり重要なのはパドックで馬から伝わってくる雰囲気を感じることなんですよ!
いや~、せっかく調子よく勝っているのに、6レースでおしまいだなんてもったいない。
よおし、このままの勢いでハシゴするぞ!
と、勢いよく向かった場所は跑狗場(足へんに包)。
つまりドッグレース場でござる。
さあ、ここでもキッチリとパドック診断で勝負!

チェックポイントは「早く走らせろ」というヤル気と、ほかの犬に対して気後れしていないかという精神面と考えてみた。
前者はヒモを持つ人間をひきずるほどの推進力があるかどうか。
後者はシッポの位置を基準にした。
「シッポを巻く」という言葉があるように、「堪忍しておくんなせぇ」という心情になると、尾が後ろ足の間に入るものね。

そしてスタンドから2コーナーのほうを見渡すと、

本犬馬入場

(写真:本犬場入場)

という判断要素で、フルゲート6匹のレースに挑んだのだけれど……
ひとつも当たらん!!!
15分おきに始まるレースにひたすら参加して6連敗。
締め切られて買えなかったレースも、持っていたマークカードはハズレ……。
まだまだパドック診断の修業が足りないってことですか。
クヤシーっ!

水曜日の全日本2歳優駿も、パドックの雰囲気が重要。だってまだ2歳だものねえ。
でもここではパドックを見る前に予想しなければならぬわけで、これを軸にして当日の様子を加減していこう。
しかし6戦6勝のポッドガイが出走取消というのは残念。
となると、南関東所属馬では鎌倉記念でポッドガイの2着に入ったアンサンブルライフに注目できそうだ。
JRA勢からは、前走の内容が優秀だったレガーロを筆頭に指名。
サウンドスカイは兵庫ジュニアグランプリのレースレベルが微妙という感じはするが、それでもダートで3連勝の勢いに要マーク。
祖母がロジータというエネスクも侮れない。

◎レガーロ
○サウンドスカイ
▲エネスク
△スティールキング
△アンサンブルライフ

近年の全日本2歳優駿は、不良馬場で行われた2010年を除くと「当日の馬体重が480㎏以上あった馬」が優勢なんですよ。
ということで、デビュー2連勝中のオーマイガイ、ハイセイコー記念を制したトロヴァオはノーマーク。
さあ、この判断の結果はいかに?


 

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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