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「川原正一騎手、通算5000勝を達成!」
2015年12月28日

南関東では的場文男騎手が「帝王」「レジェンド」として現在も活躍中。
2015年は前年よりも多くの勝ち星を挙げ、通算6800勝も単なる通過点。
佐々木竹見さんの7153勝に向けて、
ご本人は「できるかどうかわからないですが頑張ります」ということで、大きなモチベーションになっている様子だ。

関西にも「帝王」「レジェンド」の騎手がいる。
兵庫所属の川原正一騎手は56歳。
今年で3年連続の年間200勝超えを達成し、的場文男騎手と並ぶ、50代後半においてなお日本のトップを走っている騎手である。
川原騎手は笠松競馬でデビュー。
1997年に初出場したJRAのワールドスーパージョッキーズシリーズで総合優勝を飾ったのが、
のちに兵庫に移籍するきっかけのひとつになったそうだ。
それはJRAで騎乗する機会を増やしたいということ。
JRA認定戦が少ない笠松よりも、兵庫のほうがJRAに遠征できるチャンスが多いという考えだった。
笠松では安藤勝己騎手からリーディングを奪ったことがあるほどの名手。
その安藤騎手はJRAへの移籍という道を選んだが、川原騎手もJRAで通算73勝を挙げている。
笠松所属時は2856勝。
そして今年は兵庫移籍後の通算2000勝を達成し、そして12月24日の第9レースで、通算5000勝の達成となったわけである。

川原騎手5000勝の瞬間

(川原騎手5000勝の瞬間)

この大記録を達成できた要因は、ご本人も語っているとおり「減量に気を遣う必要がない丈夫な体」がもっとも大きなものだろう。
どれだけ技術が長けていても、ケガが多くては好成績を残すことはできない。
無事であることは長く活躍する最大の秘訣であると思わされる。
通算5000勝を達成したレースは特別戦。
ということで表彰式があったのだが、そこで川原騎手にマイクを向けたのが、競馬界の人間国宝といえる吉田勝彦アナウンサー。
78歳の吉田さんと56歳の川原騎手のツーショットは、まさにレジェンドの共演といった趣があった。

川原騎手と吉田アナウンサー

(川原騎手と吉田アナウンサー)

「いやあ、レース前は5000まであと2つだと思っていたんだけどね。
検量に戻ってきて5000だって聞いて『あれ?そうなの?』って感じですよ」
と、川原騎手は苦笑い。
それでも「通過点」と思っているそうで、まだまだ全盛期が続くことになるのだろう。

通算5000勝のサイン色紙

(通算5000勝のサイン色紙)

そう思えば確かに、騎手はプロスポーツ選手のなかでは引退するきっかけが少ない部類かもしれない。
たとえばプロ野球やJリーグなら戦力外通告や契約満了などで、自分以外の判断が引退要因になる。
競輪選手も息は長いが、不振が続くと「不格付け」となって、いわば“足切り”の状態になる。
ボートレースは成績が低迷すると「引退勧告」されるケースがあるらしい。
しかし騎手が引退するときは、ほとんどの場合、自分で決断することになる。
地方競馬の場合は原則として、2年間で60回以上の騎乗がないと免許更新ができないそうだが、
その制度に引っかかる騎手はほとんど見当たらない。
調教師に進む騎手も、ケガや加齢で体が思うように動かなくなってきた騎手も、引退の決断は自分の意思。
つまり「騎手をずっとやっていたい」と思うならば、ずっとできる業種であるともいえる。

現在は40代半ばを過ぎて、しかし調教師になる意思がなさそうなトップジョッキーがたくさんいる。
競馬はほかの競技に比べて経験値やインサイドワークがモノを言う面が多い感があるので、
ベテラン騎手たちがケガをしないようにと祈りたい。
しかしまあ、昨年3月に名古屋競馬場で行われた「東西ジョッキー名人戦」は、本当にシビレる戦いでしたよ。
2戦とも的場文男騎手が勝ち、初戦の2着は内田利雄騎手で、2戦目の2着は鮫島克也騎手。
連対したのは全員50代ですよ!

とくに的場騎手の騎乗は、言ってみれば「四角いコースを丸く乗る」というような感じで、
名古屋競馬場にいた常連のファンもビックリ仰天で口をポカンと開けていた。
名古屋所属のある騎手も「あのコース取りで勝てるのだから、もう尊敬の一言しかないですよ」と言うほどの妙技。
ベテラン勢には末永く、その技術を披露し続けてほしい。
しかし東京大賞典には的場文男騎手は登場せず(涙)。
50代は内田利雄騎手だけだが、さすがにタッチデュールは推奨しにくいなあ(汗)。
続く40代は武豊騎手と岩田康誠騎手と宮崎光行騎手。幸英明騎手は来年1月で40歳……。

◎コパノリッキー
○ホッコータルマエ
▲ハッピースプリント
△サウンドトゥルー
△プレティオラス

コパノリッキーはメンバー的に単騎逃げが可能でJBCクラシックの再現が狙えそう。
ホッコータルマエは前走のチャンピオンズカップを半信半疑で見ていたが、厳しい展開での5着なら内容的に上々だろう。
ハッピースプリントは大井の2000mが歓迎材料とはいいにくいが、流れに乗っての食い込みに警戒したい。
そこに追込み型のサウンドトゥルーとプレティオラスがどのくらい届くかというところ。

ちなみに東京大賞典は2011年以降、3着以内に入った馬はすべて「前走の馬体重が500㎏以上」。
さらに2008年以降の連対馬はすべて「前走の馬体重が500㎏以上」。
そして優勝馬は、2004年から11年連続で「前走の馬体重が500㎏以上」なんですよ奥さん!!
シツコイですが、このレースは「大きい馬が優勢!」(ジャパネットたかた社長の声でぜひ)。
ということは、前走が470㎏前後だったサウンドトゥルーとプレティオラスは3着までが妙味?
となると、サミットストーン、ユーロビート、ケイアイレオーネも押さえておいたほうがいいのかも???


 

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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