
1月20日に高知競馬場で「全日本新人王争覇戦」が行われまして、浦和の見越彬央騎手が優勝を飾りました。
ちなみに「全日本」の読みかたは「ぜんにっぽん」で統一されている模様。
1986年に創設されて、今年が30回目。
以前は一発勝負での王者決定戦だったが、2010年からは2戦の合計ポイント制で争われている。
さて、その1月20日は水曜日。その週は月曜日が関東地方で雪になり、火曜日もけっこう寒かったですね。
大半の騎手は前日のうちに高知競馬場に入って調整ルームで宿泊したそうだが、
JRAから参加の2名と浦和の見越騎手は、当日輸送での参戦だった。
本当に、飛行機が無事に飛んでよかったですよ。
岩手県盛岡市在住の競馬記者、Y川氏は、朝9時すぎに花巻空港を離陸する飛行機で名古屋小牧空港に行き、
そこで高知行きの飛行機に乗り換えて12時過ぎに現地入りするプランで臨んだが、
名古屋小牧行きの飛行機が「名古屋空港が雪」ということで欠航。
花巻空港まではスムーズに行けたそうだが、まさかの展開で断念となってしまった。
私も当日輸送で羽田発の飛行機に乗ったが、こちらは問題なく到着。
とはいえ、月曜日の雪がちょっとズレていたら私の飛行機も欠航になっていたかも。
今後は気をつけねばならんですなあ。
という高知市も火曜日は雪が降り、高知競馬の第9レースが取り止めに。
この時期にナイター開催している競馬場は高知だけで、まさに市場独占状態での開催だから、この1レースの逸失利益はもったいない。
しかしながら火曜日の雪は、
誘導馬のおねえさんが「生まれてからずっと高知におるけど、あんな雪は30年ぐらい前に1回あったなあというぐらいですよ」と言うほどのもの。
首都圏だって北国の人が「なんで?」と思うくらい雪に弱いのだから、高知市民はなおさらだろう。
という雪雲はめでたく彼方に消えて、しかし水曜日の最高気温は8度ぐらいという高知競馬場。
それでも地方競馬代表の8名のうち7名は地方競馬教養センターでの同期生なので、紹介式が始まる前からキャピキャピしていた。
ただ、今年は落馬負傷によって出場騎手2名が入れ替わった。
北海道の石川倭騎手は、期間限定騎乗中の大井で落馬して辞退し、補欠1番手の見越騎手が繰り上がり。
さらに瀧川寿希也騎手も直前の金曜日に落馬して、岩手の鈴木麻優騎手に変更となった。
見越騎手は「ケガした騎手のことを思うとアレなんですが、僕もこれに出られる最終年度ですからね
(デビュー3年目までの騎手に出場資格がある)。チャンスをいかしたいですよ」と、意欲的。
でも「本当は寿希也と一緒に来る予定だったんですけど……」とのことで、同世代が不在という点は、若干さみしそうだった。
(出場騎手)
地方競馬にはポイント制で争われるレースが、
大きいところではJRAの「ワールドオールスタージョッキーズ」への出場権を争う「スーパージョッキーズトライアル」、
川崎記念の前日に行われる「佐々木竹見カップ」、さらに園田競馬場の「ゴールデンジョッキーカップ」がある。
それらの「ジョッキーレース」には私もよく行くのだけれど、馬券が普段以上に当たらない。
前回のゴールデンジョッキーカップは3レースともガチガチだったが、そういったことは稀。
こちらは荒れると思い込んでいるから、それはそれで結局当たらないのだ。
という苦い経験を踏まえて編み出された必勝法?が「単勝全部買い」。
高知でも井上オークス先生が「全部買いました」とキッパリ言い、そして第1戦が13.3倍、第2戦が21.6倍で黒字決算になっておった。
さすがじゃ。
全日本新人王争覇戦が荒れる要因は、まさに騎手。うまいとかヘタとかではなく、不慣れなのだ。
今年は地元の妹尾浩一朗騎手以外、高知が初めて。さらに大半の騎手が「他地区で乗るのが初めて」だった。
そうでなくても基本的にジョッキーレースはペースが上がりがち。
その展開をもっとも味方にしたのが見越騎手だったといえるだろう。
なんてったって、騎乗馬は2頭とも9番人気。2戦目は競走除外が発生したので、ビリ人気である。
先行したくてもできない馬だからこそ流れに乗れて、最後の伸び脚につながったような感じがするのだから面白い。
(第2戦見越騎手)
もう一人、大井の瀬川将輝騎手は、初戦が2着で2戦目が6着。
初戦はインコースでも砂がそれほど深くない場所をうまく立ち回ってきたように見えたが、大外一気の脚に屈してしまった。
続く2戦目は後方のまま。
そのあたりも含めて、今回は補欠繰り上がりから優勝を勝ち取った見越騎手に運が向いていたようだ。
(第1戦瀬川騎手)
この優勝を今後につなげてほしいなあ。
南関東所属で新人王になったのは、2011年の中野省吾騎手以来。
その中野騎手は2015年に一気に飛躍した。
まだまだ南関東には、若い騎手が活躍の場を広げていく、その隙間がたくさんあるはずだ。
(第30代新人王)
という新人王も馬券が難しいが、佐々木竹見カップも難しい。
とくに2100mのヴィクトリーチャレンジは本当に……。
昨年は3連単が6万円で、一昨年は49万円、3年前は24万円で4年前が27万円……。
同じ2100mでも、川崎記念のほうが当てやすい?
◎アムールブリエ
○マイネルバイカ
▲サウンドトゥルー
△ホッコータルマエ
ホッコータルマエは東京大賞典で勝ちに行く競馬をした。
しかし結果は粘れずの2着。
内容的には悪くないと思うのだが、今回も展開的に厳しい感じがする。
それでも川崎記念を連覇しているわけだし、ノーマークにはできぬ。
といいつつも、展開を想像してみるに、どうしても差し脚をいかすタイプのほうが有利かなという画が浮かんでくるのだ。
ということで、好位から長く脚を使えるアムールブリエを中心にしたい。
マイネルバイカは前走で負かしたアスカノロマンがJRA中京の東海ステークスを制したことで、地力が高いという印象が確かなものに。
サウンドトゥルーは差し脚堅実だが、なんとなくコーナー6回の競馬が微妙という気がする。
同じ理由でカゼノコはノーマークに。
名古屋グランプリのときは脚の使いどころを逸してしまった感があった。
今回はそのときよりカーブが2回少ないけれど、今回も届かない可能性のほうが高いとみた。
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。