
ただいま北海道は帯広市にやってきております。
本日の予想最高気温、マイナス3度。
3週間前のソウルで最高気温マイナス10度のなか、市内をウロウロしていたのだけれど、帯広の寒さは大陸系の寒さとは違いますなあ。
大陸は空気が乾燥していて、なんというか「冷え切っている」という感じ。
帯広というか日本の北国の寒さは、雪の影響で空気中の水分が多いから、風が顔や手にあたると「ひんやり」とする。
でもどちらも、太陽が出ていると氷点下という感じがしないところが共通点。
本日も日中は晴天となっている予報なので、がんばっていきましょう!
帯広競馬は、SPAT4では月曜日を中心に発売されている。
ということで馬券を購入されたかたも多いと思うのだが、実際に現地で観たというかたは少ないのでは?
帯広競馬はいわゆる平地の競馬と違って、荷物を載せたソリを曳いて速さを競う競馬。
ゴールまでの間に2つの山があって、そこをいかにスムースに越えさせるかという点がカギとなる、駆け引き重視の競馬である。
かつてはU字型のコースでコース取りも自由だったのだが、出走頭数が増えて騎手のプロ化が進んでくるに従って事故が多発。
ということで現在は水泳のようなセパレートコースで競技が行われている。
出走馬の体重はおよそ1トン。
馬体重が前走よりプラス20㎏とか、そういう数字もわりとひんぱんに出現する。
きのう(2月7日)のメインレースに出走したセンゴクエースがその1頭で、前走からプラス20㎏の1145㎏。
センゴクエースは昨秋のばんえい菊花賞、ばんえいダービーを制した明け4歳馬。
これまで重賞を5勝している世代トップの王者が4歳限定のオープン特別に出るのだから、断然人気になるのは当たり前。
ということで、私もセンゴクエース頭固定の3連単と単勝を購入!
そしてファンファーレが場内に響き始めたところでスタンドの外に出る。
すっかり日が暮れた午後6時だけれど、それほど寒いという感じではないですな(個人差あり)。
しかし私の周りにいた観客の服装は完全防備。
インナー、タートル、ダウンジャケットしか着ていない私とはまるで気合が違っている。
というか私が薄着すぎ?
その人たちは、まず第2障害の前に集まる。
そこで高さ1.6mの難所を越える馬や騎手たちに激励の声を送るのだが、なかには「○○(騎手名)!上げろ!!」などと怒鳴る人もいる。
馬と人とが呼吸を合わせて始動することが、第2障害を一発で越えるためのカギとなるのに、騎手を惑わすようなことを言ってどないすんねん?
(第2障害への挑戦)
実際、あるベテラン騎手にその件を聞くと
「お客さんに上げろって言われたから、ほかの馬が登り始めたかと思ってあわててGOサインを送ったら、まだ全然でさあ(苦笑)」
ということで、どれだけ自分の世界を守れるか、というところも騎手の技術ポイントになるらしい。
ということは、観客席から離れている1番や2番のほうが有利かも?
さて、メインレースは4歳限定戦の白雪賞(はくせつ賞と読みます)。
ファンの期待を一手に集めているセンゴクエースなのだが、第2障害をクリアしたのは10頭のうち4番目。
マジか、先頭からはけっこう差があるけど大丈夫なのか?
と心配になるも、そこから見せた怒涛の追い上げがすごかった。
巨大な馬体がキャンターでぐんぐん加速するのだ。これぞまさにド迫力!
(ド迫力のセンゴクエース)
第2障害のあとはゴールまで観客と馬とが併走するのがばんえい競馬のならわしなのだが、その速いこと速いこと。
あっという間に先頭に立って、そのままゴール。
私の馬券も大的中!
いやあ、久々にばんえい競馬の凄味を体感しましたわ。
3月下旬に行われる、1トンのソリを曳く「ばんえい記念」は、各馬の奮闘に感動して涙する人が続出する十勝の春の風物詩。
でもそれ以外でも、馬の力と人の技が伝わるレースがたくさんあるのだ。
帯広空港に着いて、連絡バスが競馬場前を通るものだから大荷物を持って直行したのだけれど、いやあ、来てよかったわ~!
(戦いが終わった馬の背からは湯気が立ち昇る)
しかし北海道に来ていつも思うのは、この広大な土地を開拓した先人たちのこと。
森の木を1本1本切り倒し、木の根を取り除いて平らな土地を徐々に広げる。
その苦労はいかばかりだったものか。
明治期に本州から開拓団としてやってきた人々は、衣食住もままならぬところからスタートしたわけで、その様子を想像するのはむずかしい。
その人々を支えてくれたのが、大型の馬。切り倒した木を運び、たくさんの荷物や人を運ぶ。
ばんえい競馬の姿は、北海道を切り拓いたその名残を今に残しているものなのだ。
現在は荷物を運んだり田畑を耕したりという仕事はなくなったが、それでも北海道にとって馬は大功労者。
ばんえい競馬は馬の生産頭数が減少傾向にあるという状況だが、観る側にとっての魅力もとても大きい。
北海道を旅する際には、ぜひともその迫力を体感してください!
ちなみにばんえい競馬は重い荷物を曳くのだから、体が大きいほうが有利。
しかし体がデカすぎると、自分の体重が馬場の砂にめりこんでしまうためか、逆にイマイチという感じがする。
アンドレ・ザ・ジャイアントが猪木に投げられただけで大ダメージを負ってしまうように……。
というわけで、大井の金盃も「大きいけれど大きすぎない」という馬を狙ってみたい。
◎プレティオラス
○ジャルディーノ
▲クラバズーカー
△スパイア
△サミットストーン
穴フォーティファイド
前走の馬体重が500㎏以上だった馬が10頭もいて、超大型馬といえる馬もたくさん。
冬の2600mでそれはどうなのよという気がするので、中心には昨年の5着馬、プレティオラスを抜擢。
6戦連続連対中のジャルディーノが強敵だ。
あとの中型馬はちょっと厳しい感じがあるので、3番手以降は大型馬からチョイス。
なかでもクラバズーカーは格下からの挑戦でも長距離大歓迎の血統構成で、52㎏の斤量も魅力的だ。
個人的に東京ダービーのときに本命にした馬でもあるし(汗)。
惑星的存在はスパイア。
2年連続で冬の時期に3連勝している季節巧者という点が不気味に映る。
逆にユーロビートは冬が微妙というイメージ。
それなら56㎏が有利なサミットストーンに狙いが立つ。
穴は昨年3着の11歳馬、フォーティファイド。
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。