コラム”

「フェブラリーSとフジノウェーブ記念」
2016年2月22日

日曜日、東京競馬場に行ってきました。
メインレースはフェブラリーステークス。
心の応援馬はコパノリッキーなのだけれど、馬券は別。
パドックでの各馬の様子をガッツリとチェックして、そこに枠順を加味して、モーニンが勝つ可能性がいちばん高そうと判断。
しかし塗ったと思っていた3着馬を塗っていなかったらしく、結果としてはハズレとなりました……。

コパノリッキーがんばれ

(コパノリッキーがんばれ)

しかしフェブラリーステークスで思い出されるフリオーソの2着から、もう5年も経ったのでありますか。
あのときは、ミルコ・デムーロ騎手とのコンビ。
単勝1番人気はトランセンドで、2番人気がセイクリムズン。
そしてフリオーソは3番人気でも5.5倍だったのだからスゴイ。
地方競馬ファンの気持ちがその数字を押し上げたに違いない。

そしてハラハラドキドキの芝スタート。
ゲートが開いた瞬間、スタンドからでもフリオーソのダッシュがつかなかったのがハッキリとわかった。
今まで逃げ先行がほとんどだった7歳馬のフリオーソ。
これはこのまま惨敗か。アジュディミツオーも芝スタートで流れに乗れなかったしなあ……
とガッカリ半分で見ていたら、最後の直線に入ってからどんどん追い上げてくるではありませんか!
そこからの二十数秒間は、言葉が出てこないほどにボルテージが上昇。
しかし全国数千万人の地方競馬ファンが願う「届け!」の祈りはわずかに届かず、
それでもゴール前では2着に上昇したのだから、これはもう体が震えるくらいの感動だった。

検量室前に行くと、高橋華代子さんが目を真っ赤にして言葉を失っていた。
自分もそうだったが、おそらく気持ちは「悔しい」よりも「まさか2着に来るなんて」という思いのほうが上だったのだろう。
そのときはトランセンドという強敵がいただけの話。
競馬は相手があることだが、フリオーソの2着はその数字以上にレース内容が心に刻まれるものだった。

しかしそれ以降、地方競馬所属馬がJRAの古馬重賞で好走したケースといえば、
2014年12月のカペラステークスで、サトノタイガーが2着に入ったぐらい。
というか、そもそも参戦自体が少なくなっている。
コスモバルクがジャパンカップで2着に入ったのって、なんと12年前ですよ。本当!?
さらにメイセイオペラがフェブラリーSを制したのは1999年。
アブクマポーロが中京の東海ウインターステークスを差し切ったのは1997年。
私が競馬にハマったころは、ジョージモナークとかハシルショウグンなどが、芝でも好勝負していたのになあ。

そのころと今とでは何が違うのかと考えると、まず思い当たるのがデビュー前の育成。
十年ほど前は、馬場で乗り始めるのが、早めデビューを予定している馬でも1歳の11月頃。
それが最近は、9月後半に坂路を登っている1歳馬がそこそこいる。
それを実現可能としたのが、放牧地の質の向上と、普段の食事の進化だろう。
ただ、これはそれぞれの育成場によって差があるように感じる。

輸入サプリメントの種類は多く、どれがいいのかという答えは無い。
育成場の調教方針に育てられる馬のタイプがマッチしているかどうかも、すべては運と縁。
それがハマったときにはものすごい力を発揮するのだろうが、
生育管理の技術が進んだぶん、実力がある馬はJRAへ、というデビュー前の選別も的確になっているように思う。
ところで、フェブラリーSは「ダート1600m」が舞台なのだが、ダートを走るのは1500mちょっと。
ゲートが開いてスピードに乗る、その重要な部分が芝という設定になっている。
その影響があるのか、基本的には外枠有利。
G1になってからの過去19回で、ゼッケン12番から16番の馬が10勝を挙げているのだ。

優勝馬はモーニン

(優勝馬はモーニン)

今年の2着馬、ノンコノユメの7番は、勝利ゼロで2着が3回目。
フルゲート16頭を半分に分けると、1~8番が6勝で、9~16番が13勝。
2着と3着の回数はほとんど互角となっているが、これは予想をする上で頭に入れておく必要があるデータといえる。

入場者数は5万3315人

(入場者数は5万3315人でした)

今週の重賞、フジノウェーブ記念が行われる大井競馬場の1400mも、枠順がとても重要。
地図や航空写真で見ていただければわかるとおり、スタートから最初のカーブまでの距離がかなり近いのだ。
となると、内枠に入った馬にダッシュ力があればいいのだが、
そうでない場合は外から好位置を目指して突進してくる馬に行く手を阻まれることになりがち。
最近の大井1400m戦を見ていると、
なんとなく真ん中あたりの枠に入った馬が厳しい展開に巻き込まれるケースが多いような気がする。

という個人的な印象を、nankankeiba.comの「データBOX」内の「枠番・馬番別成績」でチェックしてみると、1~7番がまずまず良好。
それより外は、10番が上々となっているものの、全体的には数字が大きくなるにしたがって、数字が漸減しているという感じになっている。

◎ソルテ
○リアライズリンクス
▲イセノラヴィソン
△ドレッドノート
△ワールドエンド
△セイントメモリー

昨年は11→8→10番、一昨年は13→3→16番。
前身の東京スプリング盃(1400m)を4連覇したフジノウェーブは、5番、3番、8番、10番で制したが、2着はいずれもゼッケン1~6番の馬だった。
連勝街道バクシン中のソルテは、その名馬に匹敵するほどの実力があるとみて、相手はドレッドノート以外、内枠からチョイス!
そしてついでに豆情報。現在2歳となっているトランセンドとフリオーソの産駒ですが、トランセンド産駒=42頭、フリオーソ産駒=89頭。
フリオーソくん! 勝ってるぞ!!!


 

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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