コラム”

「先入観と決め付けは敵だ!」
2016年4月11日

またまた出張に出ております。
でも、先々週の金曜日に鳥取→岡山→北海道を巡る2泊3日から帰り、土曜日に西武プリンスドーム、
日曜日に千葉の松戸に行ってからは、ほとんど家から出なかったんですけどね。
おかげで春の青春18きっぷが余ってしまい、金曜日の池袋往復で使用しましたわ。
そして4月10日は18きっぷの最終利用日。
早朝の飛行機で福岡空港に到着し、博多駅で18きっぷに日付スタンプを押してもらって電車でGO!

行ったのは、筑後船小屋駅のすぐ横にある「タマホームスタジアム筑後」。
今年の春に完成した福岡ソフトバンクホークスのファーム用の球場で、グラウンドの広さや形はヤフオクドームと同じという話。
しかしスタンドはさすがに小さくて、座席数は3113。
場外ファールが多発する構造だから、試合日に球場の周りを散歩するときは、上空にも注意が必要だ。

タマホームスタジアム筑後

(タマホームスタジアム筑後)

しかしまあ、これだけキレイで立派なファーム専用球場をもっているのはホークスぐらい。
ほかの球団の2軍球場は、1軍との格差を意識させるかのような施設になっている。
例外はナゴヤ球場を使っている中日ドラゴンズぐらいかな。
でも、屋外でグラウンドが土だから、ナゴヤドームとは比べものにならない。
ホークスは2軍3軍が数年前から韓国遠征を実施していて、
私は昨年、ソウルの南東にある利川市で、ホークス3軍対斗山ベアーズ2軍の試合を観戦した。
その2軍球場が1軍にヒケをとらないくらいにキレイなんですよ。
このあたりも参考にして、新しい施設を作ったのかなと思う。

しかしその一方で、整っていない設備で泥まみれになって、それをバネにして大舞台を目指していく……
という日本的な美しいサクセスストーリーが誕生しにくくなるのでは、という気はする。
そうです、いわゆる「根性論」。
いや、私もそういうのは好きだし、実際に「向上心は反骨心から生み出される」とも考えていますからね。
でも、そういうものに頼るのは、自分の心が弱いからなのかもしれない。
ホークスの選手ははたしてどうなのだろう。
キレイな球場、厚い選手層……。
その環境に置かれて、しかし実力的にはあと一歩という場合、上を目指す気持ちを持続させるには、相当な芯の太さが必要だと思える。
私の座右の銘のひとつは「結果が出たときに負けが決まるのではない。あきらめたときに負けが決まるんだ」
(出典:競輪の関優勝選手=ギャンブルレーサー(漫画)より)
なのだが、結果がすべてという世界は本当に厳しい。

競馬も同じで、「途中経過にかかわらず、着順だけが意味をもつ」という側面がある。
競馬は野球よりもたくさんの要素が関係しているが、
それでも最近の競馬、とくに地方競馬は、人間側が「このくらいだろう」と値踏みしている感じが強まっているように思うのだ。
たとえば以前は、地方競馬所属でも「中央の馬を負かすんだ」という気概が感じられる馬がときどき出てきた。
もちろん個々の馬の素質という部分はあるのだろうが、
最近はデビュー前からして「この馬は地方競馬」というような決めつけがあるように感じられて仕方がない。
もちろん、若駒に携わる人々のプロフェッショナル度が増したから、判断の精度が高くなったというのは間違いない。
しかしそれは裏を返すと、隠し持っている才能に気づきにくくなってきた、とは言えないだろうか。

地方競馬でデビューして、JRA古馬重賞で活躍したのは、フリオーソが最後?
うーん、それではなんかさみしい。地方競馬には底力がもっとあるはずでしょ!
なんにせよ「先入観」と「決め付け」は、成功の目を摘む2大巨悪。
そういう心をもたないようにしなければ!
ということを考えながら、野球のあとは佐賀競馬場に突撃。
徹夜明けで頭痛がしていたので馬券はサッパリだったが、
でもメインレースのル・プランタン賞は、パドックを見た瞬間にドンプリムローズ(佐賀)が勝つだろうと直感しましたね。
でも相手がヌケ……。
その馬を頭固定にして、遠征馬4頭に流す3連単12点で8万馬券が取れたのに……。

ル・プランタン賞

(ル・プランタン賞)

これも最近の成績を見て、ダメだろうなあと思って2着馬を消してしまったのが諸悪の根源。
2着のチェリーサミング(兵庫)のパドックでの雰囲気は上々だったのだから。
これを教訓に、今後はできるだけシンプルに考えよう。
そして簡単に値踏みして切り捨てない。
これを念頭に置いてがんばろう。
不惑の歳を越えても、まだまだヒヨッコですわ……。

で、なぜ私が福岡県近辺にいるのかというと、火曜日に2歳馬のセリ市「九州トレーニングセール」があるからなのですよ。
そういえば昨日、佐賀競馬場に船橋の某調教師がいたぞ。
だったら水曜日のマリーンカップは南関東勢を……
と思ったら、11頭のうち2頭だけですか!!!
うーむ、南関東勢はもっと戦えるはずだと思うんだけどなあ。
とはいえ、経済的な側面もあるから仕方がないところはある。
たとえばマリーンカップの4着賞金は210万円。対して、4月7日の大井のA2&B1戦「北極星賞」の2着賞金は204万円。
それを天秤にかけると……
だったらそこは、こういう考えかたもできるはず!

◎ブルーチッパー
○ブチコ
▲ヴィータアレグリア
△ディアマイダーリン
△フォーエバーモア

ブルーチッパーは逃げられればじつにしぶとい。
展開的にも単騎逃げから押し切れる可能性が高いとみての出走だろうし、私も個人的にそう思う。
ちなみにこの馬の父、ボーナスフィーバーは、ケンタッキーダービーを制したフサイチペガサスの半弟だ。
相手筆頭にはブチコを指名。初の地方競馬でも、脚力がある走りなら重賞クラスで通用十分。
今回は最初から出走可能馬にノミネートされていた点も、目標に向かって仕上げていく助けになっただろう。
ヴィータアレグリアは再度の食い込みが狙えるとみて連下に。
ディアマイダーリンは、クイーン賞が2番手追走からの抜け出しという鞍上の誘導が絶妙だった。
しかし今回はその横山典弘騎手が落馬負傷で不在。
加えてマークされる立場になって斤量がクイーン賞より3㎏増しとなるなら、押さえでよさそうという気がする。
フォーエバーモアは実績十分でも、やっぱり距離が微妙かなあ……。
でも、ノーマークにはできない存在だ。



 

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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