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「日韓戦の展望!」
2016年5月23日

昨年までは8月最終週に実施されていた、ソウル競馬場での「日韓交流戦」。
今年は6月5日(日)に実施されることになった。
現地での表記は「第24回SBS杯韓日戦」
韓国では年に8回しか実施されていないG3戦で、距離は1200m。
3歳以上混合(外国産馬も出走できる)で、総賞金額は2億5千万ウォン=およそ2500万円。
1着賞金は総賞金の55%なので、およそ1400万円となる。
同じ日にはG2の「第28回トゥクソム杯」が1400mの5歳以下牝馬限定という条件で行われ、
こちらの総賞金は4億ウォンだから、1着賞金はおよそ2200万円。

こちらにはララベルがエントリーしていたが、体調が整わずとのことで回避。
昨年はJRAのエスメラルディーナが圧勝したのだが、今年は外国からの遠征馬がゼロになってしまった。
しかし「SBS杯韓日戦」には、12頭が特別登録。
そのうち3頭が大井所属馬となっている。

出走を予定しているのは、
○ドレッドノート(セン8・橋本和馬厩舎)
○キモンアヴァロン(牡7・荒山勝徳厩舎)
○ベストウィッシュ(牡7・荒山勝徳厩舎)
ドレッドノートは全7勝を1400m以下で挙げており、1200mでは昨年12月の「クリスマス賞(A2B1混合戦)を勝利している。
キモンアヴァロンは、4月19日のJRA交流メトロポリタンエイプリルカップで、大混戦のゴール前で2着に突っ込んできた。
ベストウィッシュは現在B2クラスで、昨年9月の1200m戦(B1B2混合戦)から勝ち星なし。
ということで、3頭とも条件クラスとなっている。

しかし迎え撃つ韓国馬は、なかなかのメンバー。
昨年のインタラクションカップで来日して4着に入ったチョング(=天狗)が大将格だ。
インタラクションカップ後はソウルに戻って1勝を挙げ、冬場は休養して4月24日の復帰戦が6着。
昨年8月のアジアチャレンジカップでは3着に入って、5着のコウギョウダグラスに0.7秒先着している。
さらに昨年のこのレースの優勝馬、チェガンシラー(=最強シラー)も出走予定。
こちらの前走は2月21日の1800m戦。
今回は休み明けとなるのが心配だ。

前走で1200mのオープン特別を勝ったミレヨンウン(=未来英雄)は、ベロヴィッチ騎手が騎乗する予定。
こちらもスピード的に侮れない。
釜山慶南競馬場からは4頭が遠征する予定。
なかでも注目は前走の釜山日報杯(1200m)を制したカムドンウィパダ(=感動の海)だろう。
通算35戦15勝の7歳牝馬。
トゥクソム杯が5歳以下牝馬という条件になっているように、韓国ではベテランの牝馬には厳しい国だ。
それでも現役で活躍しているのだから、能力を評価されている馬だといえる。
あとの3頭は力量的に見劣る感。
ということで、まずは「韓日戦」の予想からまいりましょう。

◎チョング
○カムドンウィパダ
▲チェガンシラー
△キモンアヴァロン
△ミレヨンウン
△ドレッドノート

この週のソウル競馬場は「アジアウイーク」となっていて、土曜日にJRAトロフィー、マレーシアトロフィー、トルコトロフィーが行われる。
3年前に的場文男騎手がトーセンアーチャーで差し切り勝ちをおさめて感動した、その再現を期待したいものだ。
しかし私は現地に行けないのですけれど……(涙)
その代わりと言ってはナンですが、5月17日に済州島で開催された「国内産馬ブリーズアップセール」を見に行ってきました。

上場予定頭数162頭のところ、16頭欠場で146頭。
騎乗供覧は前日に行われ、当日は朝10時からセリが始まったのだが、これが長いこと長いこと。
すべての馬が2000万ウォンからスタートし、競り上がる馬でも100万ウォンか200万ウォン刻みで進めていくから、時間がかかってしょうがない。
というわけで、セリ終了時刻は夕方5時20分。
120番あたりで進行役が「スピードアップします」と言ったものの、結局それほど変化がなかった……
韓国には日本から種牡馬が何頭か行っていて、このセリにも上場された。

内訳は、
2頭=ビワシンセイキ、イングランディーレ、ニホンピロニール
1頭=アドマイヤドン、イーグルカフェ、フィールドアスカ
このなかで落札されたのが、
イーグルカフェ産駒(3300万ウォン)、アドマイヤドン産駒(3550万ウォン)、イングランディーレ産駒(3500万ウォン)。
アドマイヤドン産駒はセリ会場では売れなかったが、どうやらその後に売買がまとまったらしい。
このセリは再上場がないのでわかりにくいが、
会場の壁には売れなかった馬の番号が貼られ、それがときどき剥がされていたから、つまりそういうことなのだろう。

アドマイヤドン産駒は主取りのあと売買成立

(アドマイヤドン産駒は主取りのあと売買成立)

そしてニホンピロニール産駒は2頭とも落札(2000万ウォンと4000万ウォン)。
なかでも4000万ウォンのほうは、母マゴコロで母の父がグラスワンダーという血統。
南関東でおなじみのグランド牧場産で、
JRA未勝利から門別で2勝を挙げ、サウスヴィグラスの仔がおなかに入っている状態で韓国に渡った繁殖牝馬だ。

こちらのニホンピロニール産駒は2000万ウォンで落札

(こちらのニホンピロニール産駒は2000万ウォンで落札)

そういった馬の今後には注目したいところ。
その前に、6月5日にソウル競馬場に遠征するかたは、大井所属馬に熱い声援を!
そのさらに前に行われる、今週の川崎マイラーズを予想しましょう。
ブルーチッパーは6歳だから、ララベルの代わりにトゥクソムカップに出ることが不可能。
ということならば、ここは前走のうっぷんを晴らす逃げ切りに期待。
岩田康誠騎手が継続して騎乗するのも心強い。

◎ブルーチッパー
○レガルスイ
▲モンサンカノープス
△バーンザワールド

相手筆頭には4戦連続連対中で、川崎では5戦5連対のレガルスイを指名。
モンサンカノープスは超大型でも器用に立ち回れるタイプで、内枠がプラスになりそうだ。
連下には堅実に差を詰めてくるバーンザワールド。
ということで、ここは軸不動の一戦なので、相手は3頭に絞ってみました。
3連単6点!



 

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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