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「スーパージョッキーズトライアル第2ステージ」
2016年7月11日

暑くなってきましたね~。
先週木曜日、七夕の日に私は名古屋競馬場に突撃。

8月27日、28日にJRA札幌競馬場で開催される「ワールドオールスタージョッキーズ」の地方競馬代表を決める
「スーパージョッキーズトライアル」を見に行ってきたわけであります。

名古屋といえば「冬すずしくて、夏あたたかい」という気候。
今年は雪で開催中止があったのだけれど、夏はシャレにならんほど暑い土地なのですよ。
何年か前の8月中旬に、名古屋競馬場の近所にある専門紙「競馬エース」の本社に用事があったとき、
名古屋競馬場前駅に着いたところで先方に電話を入れたら「危険だからそこから動かないで!」
と言われて、車で迎えに来てもらったことがありまして。
その日の最高気温は38度。徒歩3分程度の場所まで車で移動して、
そのあとに競馬場へ行ったら恐ろしいほどの夕立に遭遇して、全身がベトベトになってしまいました……。

競馬場の馬券売場がある3号スタンドの1階は、建物の扉はないのだけれど冷房装置が稼働しているから、
雨で湿った空気が冷やされて湿度100%状態になっていたんですね。
あの日は着替えもなかったし、けっこうキツかったですわ。
そういう厳しい環境で生活している名古屋の人々は、精神的にも肉体的にも強靭なものがあるのかも。
韓国で短期免許を取得して結果を残している日本人騎手は、愛知所属の人が多いですよね。
それはさておき、七夕の日の名古屋競馬場も暑くてたまらんという気候。
最高気温は34度でも太陽光線は気合満点で、レース中なのにスタンド前は閑散という状況でした。

レース中でも人影はまばら

(レース中でも人影はまばら)

でも、第8レース後に行われた出場騎手紹介式では、ウイナーズサークルの周りに人がたくさん。
そして各騎手から優勝への意気込みのアピール!
南関東からは的場文男騎手、矢野貴之騎手、真島大輔騎手、森泰斗騎手が出場。
盛岡競馬場での第1ステージが終了した段階では、第1戦が6着、第2戦が1着だった矢野騎手が26ポイントで第1位となっていました。
しかし第1ステージでは2戦とも5着以内だった騎手がいなかったために、まだ全員に優勝のチャンスがある状況。
ここで波に乗れば、昨年の優勝者、金沢の藤田弘治騎手みたいな大逆転も狙えるわけで、
第1戦が13着、第2戦が7着だった笠松の吉井友彦騎手は「昨年は連勝した騎手がいましたからね!」と、虎視眈々という感じでニヤリ。

12名の出場騎手

(12名の出場騎手)

さあ、12名の騎手の夢を乗せてスタートする第3戦は1400mでのレース。
単勝1番人気は金沢の田知弘久騎手騎乗のトーホウハンター。
しかし個人的にパドックを見たところ、的場騎手と吉井騎手の馬がよさそう。
ということで、その2頭から総流しにする3連単と3連複を購入。
「こういう騎手戦はだいたいハイペースになるんだよなあ」ということを愛知在住の競馬仲間と話していたら、本当にすごいハイペースに!
逃げる田知騎手を矢野騎手がマークして、両者とも引くに引けない形になったため、
3コーナーでは先頭集団と後方集団が分かれるという、名古屋ではあまり見られない展開に。
そしてその2頭は直線でバッタリと失速して最下位とブービー。

代わって上昇してきたのが、赤と青の勝負服!
よっしゃ、そのままなら大的中!と一気に私のテンションが上がったところ、赤い勝負服がもう一人、インコースから伸びてきたぞ。
その赤い服は、高知の永森大智騎手。
内をうまく立ち回った、技ありという感じの1着は「おみごと」という印象でした。
「前に行けないタイプということは聞いていましたが、さすがに1コーナーでは位置取りが後ろすぎかなあと思いましたね」と、永森騎手。
しかしそれが逆に功を奏する形になって勝ったのだから、騎手戦はとても面白い。
1コーナーの位置が後ろから3番目までの3頭が上位を独占したという、極端な結果でもありました。
そういうレースを見せられては、1900mで行われる第4戦は予想してもそのとおりになる気がまったくしない……。
ということで、ここは騎手戦でおなじみの戦法「単勝全部買い!」

運命の第2戦

(運命の第2戦)

単勝10倍未満の馬が4頭いて、そのどれかが勝ったらマイナスになるという買い方だけれど、勝ったのは8番人気の永森騎手!
単勝20.3倍だからプラス決算ですわ。
同じ戦法をとっていた井上オークス先生と津田麻莉奈さんと喜びを分かち合うの巻~
ということで優勝は、文句なしで永森騎手。
第2位は岩手の山本聡哉騎手で第3位は矢野騎手。
昨年に続いて、第2ステージで2勝を挙げる騎手が出たこのシリーズは「時の運」がもっとも重要ということなのかもしれないなあ。

いざ札幌へ!

(いざ札幌へ!)

それにしても、南関東の騎手は今年も優勝できず。
スーパージョッキーズトライアルができてから12年になりますが、優勝したのは2009年の的場騎手だけなんですよ。
毎年、南関東からは4名が出場しているのに……。
ともあれ、永森騎手は世界の舞台への切符をゲット。
その舞台がJRA初騎乗となるのは初の事例ではないかしら。
おそらくすごく緊張するのだろうけれど、その空気を存分に楽しんできてもらいましょう!
緊張感がある舞台は今週の水曜日にも。
愛知の木之前葵騎手は初の大井ナイター参戦でドキドキすることでしょうなあ。

◎バルダッサーレ
○キョウエイギア
▲ゴールドドリーム
△ストロングバローズ

東京ダービーで1番人気だったタービランスが出走取消とは残念!
となれば、その東京ダービーで大マクリを決めたバルダッサーレが最有力と判断。
今回もわりと前に行く馬が多いので、決め脚があるタイプが有利という気がしますねえ。
あとはJRAの有力どころ3頭に注目。
なかでもキョウエイギアは母がエンプレス杯の優勝馬で、私が先週行っていた青森県の出身。
母も差し脚を長く使えるタイプだったし、この馬にも期待します!




 

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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