
わたくしの「南関道中膝栗毛」は基本的に月曜日の夜か火曜日に新作が公開されることになっておりまして、
配信されてくるメールマガジンには「役に立つ情報、まったくそうではない情報など」という紹介がされているわけであります。
でもまあ、世の中にはまったく役に立たない情報というのはほとんどないわけで、
でもなかには「聞かなければよかった~」という、いわゆる知ってしまったのが運のつき、的な情報はあるのは確か。
当コラムの最後に付け加えている予想コーナーをはじめ、世の中に散らばっている競馬予想の数々は、その最たるものかも……
それはさておいて、今回の本文は「まったくそうではない」ネタでございます♪
7月7日、名古屋競馬場でスーパージョッキーズトライアル第2ステージを見届けた私は、最終レース終了後に大阪に移動。
西成区あいりん公共職業安定所の真正面にある定宿で1泊して、翌日の昼の飛行機で釜山に飛んだのであります。
で、釜山で泊まり、9日の土曜日に向かったのは闘牛場!
韓国はいろいろな事情でギャンブル産業の総量規制みたいなものがありまして、
それはつまり、競馬、競輪、競艇、スポーツトトの発売金額に天井が存在するんですね。
といっても、それを突破してしまったら仕方がないという感じにはなっているらしいのですが、
ともかく「ギャンブルは悪」という空気が日本よりも色濃く残っている様子なのです。
ちなみに私は前記の種目をすべて購入済み。
スポーツトトはコンビニでバレーボール券を買い、歩道上にある売店で野球券を買いましたが、まだ未勝利……
で、その総量規制に含まれるのかどうかは不明ながらも、韓国にはもうひとつ、公営競技があるのです。それが闘牛!
主催は「韓国牛事会」で、ちゃんと「牛券」が売られているのだから立派なもの。
私がそれを知ったのは昨年の春先で、シンガポールの競馬場で韓国の馬券を売り始めることになった、
その資料みたいなものを読んでいるときに「シンガポールは韓国の競馬、競輪、闘牛などのなかから競馬を選択した……」
という記述にビックリしたわけですわ。
闘牛!?
それまでおそらく20回ぐらいは韓国に行っているのに、そんなものがあるとはまったく知らなかったでございますよ。
いま改めて、手元にある分厚い韓国のガイドブックを見てみたけれど、まったく載っていなかった……(競艇も競輪も載っていませんでしたが)。
というくらいのマイナー競技。
そしてネットで検索してみたら発見しましたよ、主催者のホームページを!
開催日は毎週土日。
というわけで昨年の5月に突撃したところ、単勝は勝ち負け引き分けの3種類しかないのにあえなくハズレ。
時間の都合で第1試合しか見られなかったため、牛券の有効期間が1年というところに目をつけて、
続く第2試合の牛券も買ったら、そちらもハズレだったという体たらく。
というわけで、今回は何としても当てなければ!という気合で突撃したわけであります!
10時半頃に現地に着くと、第1試合に出る牛と第2試合に出る牛がすでにパドックで待機中。
(第1試合と第2試合の出場牛)
なぜ、第2試合の牛がパドックにいるのかというと、牛券の種類は4つありまして、
1.単勝
2.連続した2つの試合の単勝を両方とも当てる(複勝)
3.勝つ牛と試合時間の両方を当てる(時間単勝)
4.連続した2つの試合の勝つ牛と試合時間の両方を当てる(時間複勝)
というわけなので、次の試合と次の次の試合の牛がパドックに出ているわけなのです。
第1試合は場内をウロウロしていたら締め切りに間に合わなかったので、第2試合からスタート。
ガッツリ儲けたいところではありますが、今回の私は「当てる」ことをメインに置いているため、ここは手堅く単勝を購入~。
(試合開始直後)
闘牛は1対1の勝負なので、単勝のオッズは両方とも1倍台。
そこは長年のパドック診断で体得した技術を活用して、「青」の1点勝負!
ついでに「青が5分以内で勝つ」という目にも投票。
そしたら試合時間2分14秒で青が勝利!!!
いやあ、ついに当てましたよ。単勝1.1倍、時間単勝1.8倍というガチガチ牛券でしたが……。
(牛券的中!)
でもこれで、1年越しの宿願が叶ったことに。
調子に乗って続く試合も買いましょう。
第3試合もパドック診断的には青のほうが強そう。
ということで、青の単勝と「青が5分以内で勝つ」の牛券を買って、しかし締切1分前にオッズを改めて見たら、なんと1番人気は「引き分け」。
たしかに出牛表に掲載されている戦績を見ると、どうもこの2頭はともに決め手不足という感じのキャラ。
マジか……と思いつつ、しかし奇跡的に攻撃が決まって短時間決着になることを祈ると、やっぱり試合は一進一退となっている様子。
これは牛の横でゲキを飛ばしている調教師も大変ですよ。
その後もさしたる変化が見られないまま、試合時間はあっさり20分を経過。
せめて単勝だけでも当たらんかと願って28分あたりから青の牛(牛名はソクチョン)に念を送ったものの……
あえなく30分時間切れ引き分け。
試合終了直後に係員が6人出てきて、両牛を分ける作業にかかったのだけれど、これはすごくデンジャラスですなあ。
牛の角はとがっているし。
でもそこはプロ(?)。
1分ほどで両牛は試合が終わったことを悟り、調教師に曳かれて牛舎に帰っていきました。
(引き分けですよ~)
いやしかし、引き分けは1日に1回あるかないかという感じなのに、単勝の引き分けは1.7倍ですよ。
みんな牛券がうまいなあ。
やっぱり闘牛も競馬と同じく、記憶と推理がモノを言う、アタマのスポーツなんですね!
さあでは、水曜日の準重賞「スパーキングサマーチャレンジ」をアタマのスポーツで読み解いてみましょう。
勢いがある馬と現級実績がある馬のどちらを重視するべきか……
◎トーセンセラヴィ
○ノーキディング
▲サトノアビリティ
△スコペルタ
△ジャーニーマン
△インフォーマー
トーセンセラヴィの母、トーセンジョウオーは、3歳1月にデビュー戦を勝ち、春には関東オークスを制覇。
その後は低迷が続いたものの、4歳6月に船橋のマリーンCを制してからはダートグレードを5勝。
母と同じく左回りで結果を残しているトーセンセラヴィが、ここも通過点にすると見ました。
相手筆頭は赤岡修次騎手が再び騎乗するノーキディング。
サトノアビリティは相手強化でも最内枠なら先行粘り込みに注意が必要でしょう。
あとは善戦タイプのスコペルタ、インフォーマーに、古馬戦でも差し脚が届きそうなジャーニーマンをマーク。
ともかく、今回はトーセンセラヴィに注目です!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。