
9月7日は的場文男騎手の誕生日。
しかも今年は60回目の誕生日!
その記念の日は園田競馬場で迎えることになりました。
通算2000勝以上の騎手だけに出場資格がある「ゴールデンジョッキーカップ」に招待されたということで、
「騎手紹介式のときにチャンチャンコの贈呈とかあるのかなあ?」
「勝負服の星を取ればいいんじゃない?」
「それじゃ山崎誠士騎手になっちゃうやんけ」
などと仲間うちで勝手に盛り上がっていたわけですわ。
ということで、メモリアルバースデーの日に園田競馬場に突撃してまいりました!
今年のゴールデンジョッキーカップの出場騎手は、
東から順に岩手・村上忍騎手、大井・的場文男騎手、愛知・丸野勝虎騎手、笠松・東川公則騎手、
兵庫・川原正一騎手、木村健騎手、田中学騎手、高知・赤岡修次騎手、佐賀・山口勲騎手。
そしてJRAから戸崎圭太騎手、内田博幸騎手、岩田康誠騎手。
以上の12名が距離の違う3つのレースに騎乗して、着順に応じた得点を加算して順位を競います。
その騎手紹介式で進行役を担当するのは、競馬人間国宝(と私が勝手に言っている)吉田勝彦アナウンサー78歳。
例年どおりの名調子でメモを持たずに出場騎手のプロフィールなどを語っていきます。
かつて作家の山口瞳さんが「浜村淳のような」と表現した抒情ある雰囲気は、
吉田さんが10代のころに志したというラジオドラマの声優から来ているのでしょう。
私も吉田さんのように深みがあって、そのなかに熱がこもっているけれども穏やかな語り口ができるようになりたいなあ。
さあ、的場騎手をどうやって紹介するのかな?
「この人は今日、誕生日なんです。でも、年齢のことは言うとかないでおきましょう。還暦です」
すると観客エリア最前列から「言うとるやないけ!」とツッコミが。
いやいや、年齢は言ってないですよ!?
とさらにツッコミたかったが、報道エリアにいた私は黙っていることしかできず(苦笑)。
すると吉田さん、しばらくの間をおいて「言うてしまいました」と自分で笑い、そして「的場文男騎手です」と締めて、還暦ジョッキーが壇上に。
12名の出場ジョッキーのなかでいちばんの歓声でした。さすが!
(騎手紹介式)
今年のゴールデンジョッキーカップは3レースともけっこうなハイペースになって、3レースで3着以内に入った騎手がゼロという大混戦に。
最終結果は、第3戦のゴール直前で的場騎手をアタマ差交わして5着に入った田中学騎手が優勝。
的場騎手は5着に残れれば優勝だったんですが……
「的場さんに空気が読めないヤツだって怒られちゃうかな?」と言いつつ、田中騎手は満面の笑顔。
最終戦の直前に現在の得点状況をチェックして「セコく乗ってこよう」と言い残して馬場に向かった田中騎手の作戦勝ちかな?
それでも的場騎手は総合第2位だからさすがの一言。
実況席では「還暦ジョッキー」と再三再四言われていたが、
ファンもそれは当然のごとくわかっていたようで、表彰式が終わって引き揚げる的場騎手に向かって「サインください!」の大合唱。
的場騎手はその声に応えて差し出された色紙にペンを走らせましたが、その数がビックリするぐらい大量で。
さすがの動員力ですなあ!
(関西のファンにサイン中)
こりゃ来年も的場騎手に出てもらわないと盛り上がりませんよ!
と、園田競馬の広報課長さんに進言すると「出場騎手を選ぶ作業はけっこう大変なんですわ。でも会議のときには言うてみます」とのこと。
たしかに現役の2000勝ジョッキーはたくさんいますからね……。
そしたら最終レースで下原理騎手が地方・JRA合わせての2000勝を達成したではあーりませんか!
(下原理騎手も2000勝ジョッキーの仲間入り=撮影は荘司典子さん)
「来年はゴールデンジョッキーカップに選んでもらいたいなあ」
やっぱり2000勝は騎手になったら誰もがあこがれる勲章のひとつなんですね。
プロ野球は投手なら200勝、野手なら2000本安打。
騎手なら2000勝。
じゃあ、今週の戸塚記念は2000勝つながりを重視するか!
と思ったら、川崎競馬所属の2000勝ジョッキー、今野忠成騎手と森下博騎手は騎乗しないのね(涙)。
◎バルダッサーレ(吉原寛人騎手=1929勝)
○ミスミランダー(森泰斗騎手=1850勝)
▲マテリアメディカ(赤岡修次騎手=3081勝)
△サブノクロヒョウ(的場文男騎手=6911勝)
△ジャーニーマン(真島大輔騎手=1627勝)
△デフィノワール(坂井英光騎手=1913勝)
※記録は9月10日現在で、勝利数は地方・中央・海外の合計
というわけで、たくさん勝っている騎手のボックスで!
そんなテキトーに予想したわけではなくて(一応)、バルダッサーレのように一気に追い上げられる脚質は、カーブがきつい川崎にとても向きそう。
唯一の心配は58㎏だけでしょう。
ミスミランダーは先行してしぶといタイプで、同じ2100mの関東オークス2着以上が狙えそう。
マテリアメディカは徐々に上昇している印象。
黒潮盃ではミスミランダーと同じ54㎏で3着でしたが、今回は1㎏軽い重量で出走。
そして大マクリができる脚と赤岡修次騎手の腕に期待します!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。