
9月19日(月)は敬老の日。
秋分の日と敬老の日が近すぎて、最近はどっちがどっちかと混ざってきて、単に祝日としてしか認識していないのは私だけ?
ともかく世間は大型連休っぽいことになっている模様のようで(汗)。
私のようなサービス業(?)の人間は、盆と正月、そして春の大型連休は業務がいっぱいあるわけで、
それに加えてこの一週間も繁忙期。数えてみたら締切がけっこうありまして、このコラムも木曜日に東京盃があるものだから、
2週連続で週に2本態勢で臨ませていただく次第でございます。
その19日に大井競馬場で行われる重賞は、レディスプレリュード。
もちろん、JBCレディスクラシックへとつながる重賞なのですが、「グランダム・ジャパン古馬シーズン」の最終戦という一面もあります。
といっても馬券を買う側が「グランダム・ジャパン」を意識することは、基本的に皆無ではないかと。
でも馬を送り出す側にとっては、重要なシリーズといえるんです。
「グランダム・ジャパン」は、その別名というか説明文が「世代別牝馬重賞シリーズ」。
地方競馬に所属する、2歳馬と3歳馬、そして古馬の3カテゴリーで、
それぞれの対象レースに出走して得た着順をポイントに置き換えて、その合計でシリーズ女王を競うというものです。
今年の春は、船橋のクラトイトイトイが名古屋や園田に遠征してポイントを獲得して優勝し、
400万円の賞金を獲得(配分率は馬主に9割、調教師に1割)。矢野義幸調教師の作戦がみごとにハマったという優勝でした。
そして「古馬シーズン」は、優勝賞金が1000万円。地方競馬でそのボーナスはかなり大きいですよねえ。
>>>グランダム・ジャパン2016公式サイト
ということでそれを狙う各陣営は、ローテーションがうまいこと行くように計算するわけです。
最終戦に出走する馬には、そのあたりの思惑も含まれるところ。
たとえば2010年に優勝したキーポケット(兵庫)は、最終戦(当時はTCKディスタフ)を完走すれば優勝、という状況だったので、
15着に終わった直後に吉行龍穂調教師に「おめでとうございます」と言いに行きましたよ。
そしたら「いやあ、惨敗でおめでとうって言われてもねえ……」と照れ笑いをされてしまいました。
その吉行厩舎は今年、トーコーヴィーナスで再び優勝を狙うことに。
トーコーヴィーナスの現在のポイント数は26で第2位。トップは28ポイントを獲得している、北海道のジュエルクイーンとなっています。
レディスプレリュードで得られるポイントは、6着以下なら最下位でも同じで2点。
というわけで、トーコーヴィーナスが優勝するには、最低でもここでジュエルクイーンに先着する必要があるわけです。
そのトーコーヴィーナスは、前走が名古屋の秋桜賞(あきざくら賞)で1着。
そのレース直後に吉行師は「そら、大井に行かんとダメでしょう」と宣言しておりました。
(写真:秋桜賞でのトーコーヴィーナス)
ちなみにトーコーヴィーナスは、セレクトセールの1歳部門で、3150万円で取引された馬。
でも兵庫所属では、投資金額を回収するのがなかなか大変。
それでも3歳春に浦和の桜花賞で2着、秋はロジータ記念で2着と着実に稼ぎ、
「もう元は取りましたよ」という状況になったのだからすばらしい!
そうは言っても、そのリスクを負ったオーナーのために、逆転優勝で賞金をゲットしたいところでしょう。
ちなみに第2位だと200万円だから、差がデカい……。
対するジュエルクイーンは、2014年の2歳シーズンを優勝。
しかし昨年は3歳シーズンで5位、古馬シーズンで6位。ならば今年はぜひとも優勝を狙いたいところでしょう。
あと優勝のチャンスがあるのは、高知のディアマルコと、大井のブルーチッパー。
でも、ディアマルコは3着以内かつ、優勝争いをしている馬が6着以下になるのが条件。
ブルーチッパーは同じく2着以内が最低条件だから、ちょっと厳しいかなあ……
いやいや、でも昨年の優勝争いはシビれましたね。
最終戦を前にして、船橋のケンブリッジナイスが逃げ切り態勢。
2位のサンバビーン(北海道)はトップと3点差だったので、5着以内に入らなければ逆転できないという状況だったわけです。
そんな最終戦は、JRA勢が5頭も出てくるレース。
ちょっと厳しいかな……というところ、なんとサンバビーンは後方から流れ込んで5着を拾ったのですよ!
6着のブルーチッパーとの差は3/4馬身。一方のケンブリッジナイスは9着。
サンバビーンが6着だったらケンブリッジナイスが1000万円をゲットしていたのだから、岩橋勇二騎手は大ファインプレイの3/4馬身!
今年も上位争いのドラマとは別に、ポイント争いのドラマも見られるはず。そのあたりもぜひぜひご注目くださいませ!
しかしながら、われわれ馬券のバイヤーに関係するのは3着以内に入る馬だけだから、
グランダム・ジャパンの行方と馬券の予想はベツモノですな。
◎ホワイトフーガ
○タイニーダンサー
▲トーコーヴィーナス
△ブルーチッパー
△ララベル
△ジュエルクイーン
ホワイトフーガは昨年3着。しかしその後は重賞3勝で、前走は58㎏で圧勝。ならば57㎏でも大丈夫なはず。
タイニーダンサーは地方競馬の砂が合うようで、3歳馬でも首位争いが濃厚でしょう。
ブルーチッパーは最近の成績が良好ではあるものの、大井の外回りコースは微妙な気が。
ならば、2番手からでもレースができるトーコーヴィーナスに期待してみます。
ララベルは6月のソウル遠征を回避して休養に入り、今回が5か月ぶりの実戦。
実力的には上位に食い込んでも不思議ではないのですが、超大型馬という点を含めて連下まで。
ジュエルクイーンはどういう作戦で臨むのでしょうか?
ひょっとしたらトーコーヴィーナスを徹底マークして、先着させないように乗るのかも。この争いにも要注目ですぞ!!!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。