コラム”

「交流戦!」
2016年11月14日

JBCの前日、園田競馬場では「第1回西日本ダービー」が実施されまして、現地に突撃してまいりました。
名古屋、笠松、金沢、高知、佐賀、そして兵庫に所属する「移籍経験がない3歳馬」だけに出走資格があるという特殊な条件。
というわけで、西日本地区ではおそらく最強と思われるカツゲキキトキトには出走資格がないんですね。
現在は愛知所属なのですが、デビューからの2戦は笠松所属。
うーん、ちょっと惜しい。

しかしながら、そのへんはタラレバを言っても仕方がないところ。
ただ、個人的にはそういうシバリがあるのはいいことなんじゃないかなと思いますね。
とくに西日本の競馬場は、北海道やJRAからの移籍馬が多く来るところ。
そこに生え抜き馬限定のビッグレースがあれば、その地域のホースマンたちのモチベーションにつながるでしょうから。

という交流重賞は、今回は愛知からの遠征馬が1頭だったので、その分を兵庫所属馬が埋め、ほかは各地区から2頭ずつ参戦。
しかしまあ、ド平日の昼間なのにたくさんのファンが集まったのにはビックリ!
園田競馬場は、ファンエリアに大きなカメラを持った人がたくさんいて、これは南関東の競馬場よりもはるかに多数。
これは、園田競馬場が重賞優勝時の記念写真をファンが撮りやすいように配慮していることが大きいのではないかと。

まずはオフィシャルの写真を4コーナーを背にして撮り、それから馬と人間がそのままぐるっと半回転してスタンドに向く。
ということでお客さんも満足。
JRAも南関東もそうですが、ウィナーズサークルで写真を撮っているその時間は、
なんとなく一般ファンと柵の向こう側との空気がバラバラになっている感じがするんですよね。
ド平日の昼間の園田競馬場にカメラを持ってフェンスに張り付く人が20人も30人もいるのは、
そういう「ファンサービス」が魅力のひとつになっているからなのでしょう。
そしてその人たちは馬券をけっこう買っているところも注目ポイント。
とある私の知り合いは「ディアマルコが出るなら会社は休みますよ」と言って、大きなカメラを肩から下げながらガッツリと馬券を買っていました。

これから転回します

(これから転回します)

そういう私のお目当ては佐賀所属の2頭で、両方とも九州産馬。
ネーブルホープは荒尾市にある片山建治さんの生産馬。
今年の九州トレーニングセールに出ましたが、片山さんの納得する価格まで上がらず、自己所有にすることに。

もう1頭のイザシュツジンは、宮崎県北諸県郡三股町出身で、JRAの橋口弘次郎元調教師の弟さんが生産者。
2歳夏に1勝して、九州産馬による大舞台、ひまわり賞にも出走。
その後にJRA認定戦を勝利するも、屈腱炎を発症して石川県の小松トレーニングセンターで温泉療養。
ようやくこの夏に戦列に復帰して、ここに挑んできました。

という私を含めていろいろな人の思いはあるのでしょうが、「地元デビュー馬限定戦」というシバリがあるだけに力量差は大きく、
結果は1番人気のマイタイザンが逃げ切って、2番人気のディアマルコが2着。
3着も3番人気のアサクサセーラで、3連単は840円という結果でした。
というわけで取ってマイナス……

マイタイザン騎乗の杉浦健太騎手

(マイタイザン騎乗の杉浦健太騎手)

それでも現地ファンの満足度は高かったように感じましたね。
兵庫県馬主協会の池田守会長も「いやあ、実現まで3年かかりましたよ」と、場内の盛り上がりにホッとした様子。
将来的には「西日本」から「全国」に広げる構想もあるそうですが(南関東4場+岩手+北海道で合計12ですからね)、
それはちょっと時期尚早かなとおっしゃっておりました。
うーむ、それはそのとおりかも……(汗)。

ともあれこのレースが各地区の底上げにつながればと思いますね。
次回は佐賀競馬場で実施される予定。
来年も見に行こうかな!?

交流競走といえば、今週火曜日は日韓交流競走ですね。
2013年の第1回は韓国のワッツヴィレッジが勝って、ソウル馬主協会のみなさんと喜びましたわ。
韓国人チームから聞かれた予想も当たってメデタシメデタシ。
しかし第2回は韓国馬がちょっと力量不足。
第3回の昨年は最強クラスのスプリンター、チョングが来たものの、逃げて4着。
さて今年は?

ということで、韓国馬を分析してみましょう。
●オルセ※出走取消になりました。
釜山所属の7歳馬。
35戦13勝で、オープン特別にあたる1級戦を9勝もしているのだから立派なもの。
ただ、重賞では今年5月の釜山日報杯(1200m)の4着が最高着順。
脚質は中団からの差し。
騎乗するオ・ギョンファン騎手はこの馬と初コンビ。
●ウバギ
釜山所属の6歳馬。
ただ、格付け的には2級なんですよね~。
しかも3走前に3級戦を勝って、2級に上がっての2戦はともに10着。
ということで実力的に厳しいかと。
●ビチェワンジャ
ソウル所属の6歳馬ですが、2014年のグランプリ(2300m)で5着などの実績がある中距離ランナー。
前走のKRAカップクラシック(G2・2000m)も差のある6着でしたし、1200mでは流れに乗れなさそう。

ということで、オルセがどこまで?という感じですね。
ただ、今年のメンバーなら?

◎ルックスザットキル
○サトノタイガー
▲オルセ※出走取消
△スウェプトアロー
△ラクテ
△ゴーディー

オルセは実績馬にはかなわないまでも、B級連勝中のスウェプトアローよりは上でしょう、という結論にしてみます。

続く水曜日はハイセイコー記念。
いやはや、メンバーが揃いましたなあ。

◎ティーケーグラス
○ミサイルマン
▲サヴァアルジャン
△エニークラップス
△サマーダイアリー
△ラッキーモンキー
△マルボルクシチー

多くの馬が「あの馬には勝ったけどこの馬には負けた」という状況で、いわば誰が最強かわからないジャンケン状態。
そんななかで一枚上といえる成績を残しているのがティーケーグラスとミサイルマン。
とはいえ、前者は大井が初めてで、後者は距離が初めて。
そういう不安要素があるので、ここはやっぱりボックスかな?




プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

コラム一覧