コラム”

「中津競馬場跡地で痕跡探し」
2016年11月28日

この週末はちょっと用事があって大分県に行っておりました。
目的地は別府で、しかし大分空港から別府までのバスが片道1500円もするので、空港からは48時間で6600円のレンタカーを選択。
ついでに2泊3日の1日目の宿は大分県最北端の中津市にしてみました。
中津市といえば誰もがその顔を知っている、福沢諭吉さまのふるさと。
市内のスーパーには「一万円の里」(中身はせんべい)などのお菓子がお土産として売られております。
そして中津といえば、2001年3月末で廃止になった中津競馬場があったところ。
当時の人口はおよそ5万人で、競馬場の周辺人口は20万人ぐらい。
そういう土地にある競馬場では、娯楽が多様化していく時代にその規模を維持していくのは難しいという状況でした。

中津競馬場には1回だけ行ったことがありまして、それは2001年の4月1日。
当日の朝に山口県内で中津競馬の開催中止を知り、でもとりあえず行ってみようと中津駅まで行ってみたら、
駅前の競馬開催告知の看板に「開催中止になりました」という紙が貼ってあって、それで新聞記事が本当であることを確認。
駅前からバスに乗ったら運転手に「今日は競馬やっとらんよ」と声を掛けられるも、ここで撤退してもしょうがないので現場にゴー。
そうしたら本当に競馬場前には誰もいない……という光景が広がっておりました。
せっかくなので管理事務所に声をかけて、場内を見せていただくことに。
直前まで競馬が開催されていたので、状況的には非開催日という感じでした。

それから数年後、しばらく放置されていた中津競馬場跡地は更地になり、競馬場前の駐車場跡地に大きな体育館が完成。
さらに1~2コーナーには公民館ができ、厩舎地区には立派な野球場が作られました。
話によると、その工費は中津競馬の累積赤字の2倍以上だったそうな……
経営的に厳しかったのは確かでしょうが、それでも中津市に収益金が繰り入れられていた時期があったんですよね。
と、競馬ファンの私は思うのですが、競馬に興味がない人にはそんな情緒なんかないわけでして。
そんなことを書くのはなぜかといいますと、中津競馬場の跡地は「跡地感」がほとんど感じられない開発のされかたをしているのですよ(涙)。
当時の遺構が残っているのは、1~2コーナーの公民館の周りにあるブロック塀と、ファンエリアと本馬場の間に流れている用水路。
あとは3コーナーの外側の道路のカーブがそれっぽくて、厩舎エリアのブロック塀がほんのすこしだけなんですわ。

右がファンエリアで左が本馬場

(右がファンエリアで左が本馬場)

1コーナーのカーブ

(1コーナーのカーブ)

かつて「中津競馬場前」という名前だったバス停は名前が変わり、
競馬場に入る道路は拡幅工事がされたために、「この辺が入場門で……」などと当時の様子を推測するのがむずかしい状況。
かつて厩舎地区の入口横にあった高さ5m以上もある巨大な馬頭観音は台座ごと撤去されており、
残っているのは厩舎地区の塀に沿って並んでいた桜の木だけ。
いや~、中津競馬場は昭和30年以降に廃止された競馬場における「競馬場の香りがしないランキング」でトップを争えますね……。
でも中津市には馬券を買える場所があるのがすばらしいところ。

中津駅から徒歩5分ほどの場所にある「ゆめタウン中津」という3フロアからなるショッピングセンターの1階に
「ドリームなかつ」という場外馬券売場があるのです。
ここはおそらく、商業施設のテナントとして開設された場外馬券売場の第一号ではないかと。
スーパーやら専門店やらが並ぶその奥にある、ほかとはすこし違った空気があるエリアは、よいこのみんなが入れないという雰囲気があります。
壁紙の色も照明も、白く輝くほかのエリアに比べると……(汗)

ドリームなかつ

(ドリームなかつ)

なのですが、1レースの前から常連とおぼしきオジサマたちが椅子に座っていて、それなりの賑わいがある様子。
なるほど、1階はオトナのゲームセンターなんですな。
こういうテナントさんがうちの近所にある空き店舗たくさんの大型スーパーにあればいいのになあ、と思いましたね。

ちなみに東京都にも廃競馬場がいくつかありまして、
大井競馬場の前身である八王子競馬場(昭和24年廃止→その後は八王子牧場として使用→昭和40年に千葉の小林牧場に移転)は、
前述の「競馬場の香りがしないランキング」で上位争いができるところ。
現在は完全に住宅地になっているので、こりゃもう仕方がないことですが。
ちなみに八王子競馬場は左回り。
それが大井に移ったときに右回りに変更されたんですね。
ビックリ!

という大井競馬場で水曜日に実施されるのは勝島王冠。
2010年は高知でこのレースの馬券を買ったら、3連単が171万馬券で大ハズレ。
2014年は自宅で馬券を買ったら3連単が144万馬券で大ハズレ。
その2回の共通点は、追い込みタイプが勝ったということ。
今年も荒れるならそのパターン!?

◎コンドルダンス
○クラージュドール
▲センティグレード
△セイスコーピオン
△ケイアイレオーネ

勝島王冠が重賞になってからの過去7回には共通点がありまして、「当日の馬体重が500㎏以上の馬が3着以内に1~2頭入っている」のです。
つまり500㎏以上の大型馬が上位を独占していないという歴史ですな。
ということで中心には、おそらく500㎏未満で出てくる追い込みタイプのコンドルダンスを指名。
あとは大型馬にワイドで流せばデータ的には万全!





プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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