コラム”

「第31回全日本新人王争覇戦!」
2017年1月30日

今年も行ってきましたよ。
高知競馬場で1月24日に行われた全日本新人王争覇戦!

第31回となる今回は地方競馬から8名、JRAから2名が参戦。
南関東からは西啓太騎手(大井)、藤本現暉騎手(大井)、髙橋昭平騎手(大井)、林健佑騎手(船橋)が選ばれました。

このレースは騎手免許を取得してから3年以内の騎手に出場資格があるので、かつては出られない騎手がたくさん。
現在はその当時より騎手のなり手が減っているわけですが、それでも今年は船橋の臼井健太郎騎手と塚本弘隆騎手、佐賀の山口以和騎手、
北海道の山本咲希到騎手が「補欠」となりました。

ちなみに塚本騎手は平成26年に免許を取得したので、来年は「新人王」に出場できないのよね。
ほかの3名は来年がラストチャンス。
高知に呼ばれることを期待しましょう!

今年の10名は、西騎手と髙橋騎手が平成26年デビューで、そのほかの8名は平成27年デビュー。
プロスポーツ界は若手だろうがベテランだろうが戦う条件は同じなのですが、
騎手は「減量」という特典がある点がほかの種目とは違うところですね。

それでもトップジョッキーを目指すための道のりはとても険しいものがあるわけで、
今年の出場騎手のほとんどは早朝の仕事を終えてから高知競馬場に当日輸送。
そして大半の騎手がその日のうちに帰るとのことで、そのあたりからも気を抜けない雰囲気が垣間見えてきました。

例外といえるのが、岩手所属の小林凌騎手。
「水沢の開催が終わってから厩舎作業しかしていませんから、今日は人間が休み明け(笑)。
久しぶりの乗馬が実戦だと、脚がプルプルしちゃうかも」
と笑顔。

一方、現在は笠松で修業中の髙橋昭平騎手は「明日もレースですから速攻で帰ります」とのことで、
高知の夜の街で同期会というわけにはいかない様子。
昨年は夜10時頃に高知の飲み屋街をウロつく騎手軍団と遭遇したんだけどなあ。
今年のメンバーは昨年とはひと味違うのかも?

新人王争覇の出場騎手

(新人王争覇の出場騎手)

しかしながら、2戦しての合計ポイント数で優勝者が決まる「新人王」が波乱の連続となるのは相変わらずでした。
こういったジョッキーレースでは、井上オークス先生が開発した「単勝全部買い」でプラス決算となるケースが多いのですが、
今年の第1戦は最低人気馬でも20倍ちょっと。
前日の時点では個人的に「単勝10点買いで各1000円」とか考えていたんですけど、このオッズじゃとても無理ですわ。

騎手紹介式

(騎手紹介式)

さらに、地元の常連さんが「こんなメンバーじゃ予想できん」というほど、成績がイマイチすぎる馬を集めた10頭立て。
そこに高知競馬が初めてという騎手が8名というのでは、どの馬が勝ってもおかしくないですよね……。
完全にナンバーズ状態。

というわけでいつもどおり、3連複7頭ボックスでチャレンジ!
と思って馬券を買ったら、マークカードの塗り間違いで6頭ボックスになってました。
しかし結果は買う予定がなかった馬が1着。
オヨヨ、1500円儲かった!

第1戦を制したのは「高知で乗ったことがあるというアドバンテージがいきましたね」という林騎手。
2着には後方待機策から大外を回って突っ込んできた藤本騎手で、3着は先行策から流れに乗った小林騎手となりました。

しかし勝ち時計は1400mで1分36秒6と、メチャメチャ遅くてかなりビックリ。
勝ったコウザンバニーの上がり3ハロンの推定タイムは42秒7とのこと。
最下級のC3クラスとはいえ、遅すぎでしょ!

そんなレースを見て、競馬歴が長いワタクシではありますが、新たに気づかされたことがありました。
「スローペースで溜めて行っても、差し脚を発揮できないことがある」
もともと足が遅いのだから、つまり瞬発力も……なわけですよね。
第2戦も同じようなC3クラスのメンバーだったのに、勝ち時計は1分34秒2で、勝ち馬の上がり3ハロンの推定タイムは40秒8。
なんですか、この違いようは!!

つまりは「下級条件のレースではスタートから同じようなペースで走って、徐々にスピードが落ちていく」ということなのではないかと。
自分に置き換えれば、高校時代の持久走と似たような感覚かなあ。
「道中の流れはどうであれ、最後は結局バテバテに」

だから「差し脚が決まった」と見えるレースも、
じつは「スピードの減少幅が少ない走りをしていたら、前にいた馬が失速した」と言い換えられるケースがあるのかも。
もしかしたら「この馬は末脚が鋭い」と思っている馬でも、本当は「たまたま勝つ展開になった印象が残っている」だけだったりして!?

そういう見かけと中身の違いにダマされていたケースはけっこうあったかも。
川崎記念の出走馬も、見かけと中身は相違がないのか、しっかりと確認しなければ!

◎7.ミツバ
○8.ケイティブレイブ
▲12.サウンドトゥルー
△9.オールブラッシュ
△11.バスタータイプ

ケイアイレオーネが地方所属馬のなかでは期待を集めるのでしょうけど、
どうしても走破時計を見る限りは微妙という結論にならざるをえないかなあ。
地方推しの私でもここは白旗で、シルシは全部JRA勢。
なかでもミツバは自在の脚が魅力的。
生産牧場と馬主さんのコンビといえば、スターリングローズが思い出されますねえ。

ケイティブレイブは2番手に。
カメラが止まったあとに乱入した「すぱっと的中大作戦」の会場で名古屋グランプリのときの話をしましたが、
金沢より浦和より名古屋よりカーブがきつい川崎競馬場は歓迎といえない気がするんですよ。
という点を考慮して2番手に。

サウンドトゥルーも川崎コースは微妙でしょうが、昨年2着、JBCクラシック3着なら無視できません。
あとはオールブラッシュ@村山明厩舎、バスタータイプ@佐藤正雄厩舎という、
ダート中距離的な香りがするプロフィールをもつ2頭を3連勝式の候補で押さえておきます。

あっ、そういえば「新人王」の結果に触れていなかった!
優勝したのは2戦とも2着の藤本騎手。
2位は初戦1着の林騎手で、3位は2戦目が1着だった加藤祥太騎手(JRA)。
来年度は「ヤングジョッキーズシリーズ」が各地の競馬場で開催されることになっていますから、若手騎手が顔を合わせる機会が増えますね。
トライアルラウンドを経てのファイナルラウンドは、大井が12月27日で、JRA中山が12月28日。
「単勝全部買い」が大きく炸裂するシーンがあるかも!

優勝は藤本騎手

(優勝は藤本騎手)

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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