コラム”

「[乖離]をうまく使いたい!」
2017年4月3日

先日から「乖離」について、ちょっと考えているのですよ。
このコラムでも紹介したことがある証券業界や実業界の格言「人の行く 裏に道あり 花の山」。
高度成長期が過ぎてこれだけ社会が成熟してくると、そこにちょっとした隙間をみつけてその穴をいかにして大きくできるか、
ということが成功への大きなポイントだと個人的には思っているわけです。

しかし世の中の全体像としては、どうしても王道を目指したいと思う人が多いようで、それはたとえば就職活動で大企業志向が強いとか、
そういったあたりにも表れているような気がします。
そこは決して否定するわけではないのですが、だからこそ逆に「これまでも過小評価されていたものが、さらに過小評価される傾向にあるのでは」
と感じているのです。

ということを先週、浦河から千歳空港に帰るレンタカーのなかで、某有名競馬評論家のかたに話したところ、
確かに競馬界にもそういう面がある、とのこと。

たとえばローテーション。
馬主さんにはいろいろなタイプのかたがいますが、ほとんどは人生設計に余裕があるという人々。
ビンボー人の私は「東京ダービーで5着に入るのはすごく大変なのに、賞金額は210万円。
翌日に組まれている3歳限定の若竹賞(1着賞金320万円=昨年実績)のほうが、賞金をゲットできる可能性がはるかに高いのに」
と思うのですが、そこはまあなんというか、馬主様は私なんぞとは考えかたがスタート地点からして違うわけですわ(汗)。

でも世の中の趨勢がそれならば、冒頭に記した格言がいきてくる余地がより大きくなってくると思うのですよ。
JRAはさらにその傾向が強いようで、たとえば夏の函館競馬の開幕週はメチャメチャ出走頭数が多いのに、2週目になると激減するのも毎年の恒例。
なんで初めから2週目を目標にしないのかと某調教師に聞いてみたら「そうなんですけど、そこはいろいろとあるんですよ……」とのこと。
大人の事情ってむずかしいのね。

目指せ大舞台

(目指せ大舞台)

逆に言うと、そこも冒頭の格言のとおり。
「いろいろとある」を突破できる厩舎は勝利を得る確率が高くなるということになるのかも。
前出の某調教師は出走想定をつぶさに見て、メンバーが弱そうなところを選んで出馬投票をして好成績を上げている人なのですが、
それでも思いどおりにいかないケースは多いようです。

馬券にしてもそういう面があると思います。
まして最近は全国各地からのネット投票が主流になっている時代。
そうなると逆に、現地にいる人間はとてつもないアドバンテージを得ていると思うんです。

たとえば先月の高知競馬。
とあるA2戦で重賞勝ち馬が出走したのですが、現地の専門紙の感触としては微妙という感じ。
それでも全国の競馬ファンはやはりネームバリューに流されてしまうようで、その馬に人気が集中。
その結果は6着でした。

このあたりの空気感は現地にいた者、もしくはダウンロードなどで現地の専門紙をゲットしていた人だけが感じられたことだと思います。
そういった「人気が過剰になっていく」「それに反応して人気が過少になっていく」というところを突くのは、
まさに「スキマ産業」だと思うのです。
そこをキッチリと開拓して正しく判断していけば、ほぼ負けることはないのではと!

このレースも宝の山?

(このレースも宝の山?)

レンタカーのなかで話した人は馬を見る目がすごくあるので「香港に移住したら馬券だけで食っていけますよ」とおすすめしてみました。
だって私ごときでも香港なら、パドック診断だけでそこそこ当たりますもん。
冬毛ボーボーで前脚の出が悪い馬が、モレイラ騎手に乗り替わったというだけで1番人気になるような面がある香港競馬。
新聞には日本のようなシルシがないですし、現地のファンもアドリブで買っているというイメージですから、
そこも「世の中の大多数がモレイラを買うなら逆にオイシイ」という可能性があるのです。
実際、それで万馬券を何回か当てましたから!

先週の桜花賞はうまいこと6番人気のグラスサファイヤを本命にして的中させることができましたが、
それも過去のデータ的に「ユングフラウ賞の連対馬がともに7枠というのは怪しい」が考えかたのスタート地点。
ただ、その2頭を○と▲にしたところは自分の弱いところだったなあ……と反省しております(笑)。

それはともかく、間違いなく言えることは「世の中の高評価には付和雷同的なものがくっついている」ということと、
「馬券はパドックを見てから買うほうがベター」ということ。

しかしクラウンカップは高確率で想定外の馬が飛び込んでくるんだよなあ。
一昨年は11番人気→12番人気→3番人気の順で入って3連単が600万円オーバー。
10番人気だった4着馬が3着に食い込んでいたら、どんなことになっていたのかしら。
そんな難しい一戦ですが、なんとなくこんなことに気づいちゃったのよ!

◎ローズジュレップ
○クラールハーモニー
▲ナルカミ
△パッショノン
△マルボルクシチー
△バンドオンザラン

シルシをつけたこの6頭、共通点は「5走前までに『4着』がある」ということ!
過去5年のクラウンカップでは「3着以内に入った馬のうち2頭以上は、5走前までの成績に4着がある」というデータを見つけてしまったのです。
てことは、上記6頭のワイドボックスを買ったら最低でもひとつは的中するはず。
ま、それでプラスになるかは微妙ですが……。
おそらくローズジュレップが断然人気に推されるでしょうが、その点を考慮しながら買い目を構築したい一戦です。
おお、なんかヤル気が湧いてきたぞ~!!!





プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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