コラム”

「縁の下の力持ちに感謝!」
2017年4月10日

まだ2歳馬たちの取材活動は続いておりまして、先週は火曜日が鳥取県米子市の近くにある大山ヒルズで写真撮影&取材。
そして水曜日はひと山越えて、岡山県真庭市にあるEISHIN STABLEにて写真撮影&取材。
しかしまあ、多くの人には理解してもらえないと思うのですけれど、どうやって行こうかと考えるのが悩みの種なのですわ。

昨年は鳥取県&岡山県で取材したあと関西空港に移動して、ビジネスコーナーで夜明かししつつ原稿を書き、
翌朝の飛行機で北海道に移動して写真撮影&取材をこなし、夜のバニラエアで成田に帰還と、けっこうハードになりました。
でも今年は単純に行って帰ってくるだけの行程。
それでも結局、帰りの予定は立てないままでの出発になりました。

その理由としては、
●飛行機利用のパッケージツアーを利用すると、取材が雨天延期になったときに困る
●個人的な理由で、新幹線にはあまり乗りたくない
ということから。

往路は前泊して臨むのがベターなのですが、スケジュールの関係でちょっと無理。
ということで3列シートの夜行バスで岡山に行き、そこからレンタカーで本州を縦断するというコースを選択。
午後2時前には牧場に着かねばならぬので、これがいろんな意味で楽なのです。
という行程で臨んだ取材は、2日間とも晴れまたは曇りで無事に終了。

さて、これから埼玉県に帰るわけですが、ワタクシ的な選択肢は2つありました。
●岡山駅から関西空港に移動して夜明かしをして、そこからLCCで成田に行く
●行きと同じく夜行バスに乗って東京駅まで行く

出発前までは関空ルートにする気分だったのですが、そこにはひとつ問題がありました。
それは、写真撮影用のカメラがけっこうデカいので、手荷物の重量制限(ピーチの場合は10㎏)を超えてしまう、ということ。
10㎏以上ある場合は荷物を預けることになって、追加料金が発生してしまいます。

となると、航空運賃は総額で8千円ほどに。
私は「ふるさと納税」を泉佐野市にしたおかげでピーチの航空券を1万円分買える権利を持っているのですが、
岡山から関空に行く交通費も含めて考えると、ちょっと微妙に思えてきたのです。

というわけで水曜日の朝、その日の夜に出発する岡山発東京行きの夜行バスのチケットを購入。
ちなみにお値段は4950円でした。
……決して安さだけを求めているわけではないんですけどね(汗)。

でもあちこちに行く業務があってスケジュールは自分次第という環境にいると、行路作成のスキルが身についてくるのは確かです。
はるか昔の会社員時代も出張がけっこうありましたが、その当時はネットで交通機関やホテルの予約をするなんて想像もできなかった頃。
だからおとなしく新幹線に乗っていたのですが、そこから比べると本当に旅行しやすくになりました。

ちなみになぜ「新幹線にあまり乗りたくない」のかというと、とくに夜の東京行きがそうなんですが、
大半の乗客が『疲れてます……』という香りを出していて、自分もなんか疲れた気分になってしまうから。
名古屋大阪方面もビジネス客が多くて、なんかウキウキ感に欠けるイメージがあるんですよね。
ついでに名古屋に行くときは「寝過ごせないぞ!」という緊張感もあるし。
まあなんというか、いわゆる思い込みではあるのですが。

それでもそんな前提条件があるわけなので、今回の「往復とも夜行バス」というのは自分自身で納得しているので問題なし。
バスは21時発だというのに21時半には消灯するという、小学校の林間学校的なタイムスケジュールを運転手さんから言い渡されたので、
素直に早寝早起きができました。

という道のりを経て臨んだ取材。
改めて、牧場や育成場で働いているみなさんには感謝しなければならないなと感じましたね。
もう10年ほど前から競走馬業界は人手不足。
とくに乗り手不足には厳しいものがあります。

北海道などには豪州やフィリピンなどからジョッキーライセンスを持った人が来ていますし、なかにはモンゴル人を雇用している牧場も。
日本人の若者にも馬の仕事を志す人はいますが、時代の変化があるせいか、以前よりも減ってきている感じがします。
そして若者の多くは、牧場で働く期間が数年。JRA競馬学校の厩務員過程の受験資格がある28歳までに、ほとんどが去ってしまいます。
人手不足が慢性化している理由のひとつには、平均的に牧場従業員の給料水準が低い、ということがあると思います。


牧場のスタッフさんたちに感謝

(牧場のスタッフさんたちに感謝 注:写真と本文は関係ありません)

社宅が提供されるという牧場だと、支給される給料は若手職員だと月額15万円前後というケースが多い様子。
勤務時間は競馬場より長く、危険度も競馬場より大きく、しかし給料は安い……というのでは、
徐々に将来が不安になってくるのは当たり前でしょう。

そういった状況でも、育てた馬が競馬場で活躍してくれるのを心の支えにして、日々の労働にいそしんでいる人たちはいるのです。
しかしながら育てた馬が勝ったとしても、基本的にそういう人たちに進上金は回りません。
そういった縁の下の力持ちに、日本の競馬界は甘えすぎているのではないかしら。
牧場取材を通して、改めてそう思ったことでした。私の立場では感謝することしかできないのがちょっともどかしい!

もちろん、仕事はお金のためだけにするわけではないのですけれどね。
私も気持ちで仕事をするタイプ。
でもちょっとねえ、という面は感じてしまいます。
もしかして交流重賞で遠征してくる地方競馬所属馬のスタッフは、遠征がモチベーションのひとつになっているのかも?

◎6.ワンミリオンス
○11.ホワイトフーガ
▲2.パールコード
△8.リンダリンダ
△10.タイニーダンサー

でも、マリーンカップはJRA勢が上位。
なかでも上昇度が著しいワンミリオンスが中心でしょう。
ホワイトフーガは初の船橋ですが、ジワジワと伸びてくるタイプだけに、船橋のコース形態が合っていそう。
パールコードはダートがどうよ、という気はしますが、内枠から逃げの手に出れば残り目があるとみて3番手に据えます。
リンダリンダはひと押しが課題でも引き続き善戦の可能性が十分。
タイニーダンサーは気温が上がってきたことで体調もアップしてくるとみて、連下の穴として押さえておきます。



プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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