
今年は羽田盃が5月の大型連休後なんですね。
個人的には4月下旬というイメージが強いんですけどね。
それは2010年頃まで、その時期は北海道での2歳馬取材があって、
千歳市のホテルに泊まって夜食の買い出しがてらAiba千歳に行き、そこで勝負するのが定番だったという個人的な記憶から。
当時は馬券の裏が黒かったころ。
そこで払い戻しをしないと大変なことになるので、ついつい最終レースまでやってしまうのもまた、定番でした。
それが今年は大型連休後。
年明け早々のニューイヤーカップのあたりでは「今年の3歳馬は全体のボーダーラインが高いですよ」なんて話していたのに、
羽田盃に通算5戦1勝のエスプリロブも出られる状況になったのはなんでだろ~?
おまけに5月4日の東京湾カップから中5日で出走する馬が4頭。
そういう点も、例年とはちょっと違う感じがします。
(写真:東京湾カップ翌日のかしわ記念デー)
羽田盃は、地方競馬所属馬だけが出られる重賞としては、日本で2番目に1着賞金が高いレース。
しかしながら南関東の重賞は、ほかの多くのレースと違って4着賞金が1着の10%、5着賞金が同じく5%となっています。
「そのほかの多くのレース」は4着が15%で5着が10%だから、もしかしたらその辺に要因があるのかもしれないなあ。
でもこれが東京ダービーになると『出るだけでも名誉』という感じに変わってくるのが、さすがダービーというところ。
東京ダービーは平成になって以降、すべて14頭以上で争われています。
騎手にとってもダービーは別モノという意識がある様子。
たとえば佐賀でも、九州ダービーを2勝している長田進仁(ながた・ゆきひと)騎手も4勝している鮫島克也騎手も
「やっぱりダービーはまた獲りたいねえ」と話していました。
とはいえ、羽田盃もかなり価値が高いレース。
いわゆる良血馬がひしめき合う芝の王道路線を目指して厚い壁に挑むよりも、こういう方面に注力するのもひとつの道だと思います。
フィガロ産駒で2頭の東京ダービー馬を出したサンシャイン牧場は、昨年のバルダッサーレで3勝目。
まさに私がよく使っている格言「人の行く 裏に道あり 花の山」を実践している感じがします。
そして最近になって以前よりも活躍が目立っているのが、グランド牧場出身の馬たちと、浦河の山口ステーブルで育成された馬たち。
グランド牧場は生産頭数が多く、マーケットブリーダーでありオーナーブリーダーであるという牧場。
しかし最近はそのキャラクターがさらにダート寄りになってきた感がありますね。
ラブミーチャンやトウホクビジンなど、全国区で注目されるダートホースが出ているところも、さらにその印象を濃くしています。
山口ステーブルからは、インサイドザパーク、ラッキープリンスの2頭が東京ダービーを制覇。
今年も羽田盃に育成馬を送り込んできました。
そういった意味では、門別にある倉見牧場もそういったキャラ。
「クラ」冠名の馬はたくさんいますが、なかでも北海優駿を制したクラシャトル(牝)、クラキングオー(牡)、
そしてその2頭の間にうまれたクラキンコ、この3頭の存在がひときわ光ります。
家族経営の牧場が進めてきたオーナーブリーダーの道は、今年の羽田盃に出走馬を送り出すことにつながりました。
いやしかし改めて思うに、南関クラシックの賞金はデカいですよ。
私が一口もっているマルボルクシチーは距離適性と「名より実を取る」作戦から、
優駿スプリント方面を目指して5月5日の第10レース(1000m)に出ましたが(7着)、羽田盃に出たらちょっとはワクワクしますものね。
(写真:大型連休の開催も終わっちゃったなあ)
そう考えると、まだまだこの路線は開拓の余地が大きいといえるのかも。
今年はそのあたりを加味して予想してみました。
◎ヒガシウィルウィン
○クラキングス
▲キャプテンキング
☆ミサイルマン
△サヴァアルジャン
中心はグランド牧場のヒガシウィルウィンで、相手筆頭には倉見牧場のクラキングス。
と、予想に入る前にあれこれと能書きを垂れましたが、重要視したのは
「最近5年の羽田盃では、連対馬が内枠または外枠に片寄っている」というデータ。
どうにも気になってしょうがないので、3番手も最内枠のキャプテンキングを指名します。
でも連下の筆頭は、大外枠のミサイルマン。
この馬は順調さには欠けているものの、持っている素質はかなりのもの。
長休明け2戦目での変わり身に警戒します。
穴は追い込みタイプのサヴァアルジャン。
ボンネビルレコードみたいに、だんだんとその個性に磨きがかかってきている感じがあるような!?
続いて木曜日の東京プリンセス賞は、最内枠のグラッブユアダイヤが出走を取り消して12頭立てに。
こちらは南関東牝馬三冠路線の2つめになりますが、ここから東京ダービーを目指したいという馬がきっといるはず!
◎ピンクドッグウッド
○アップトゥユー
▲シェアハッピー
△グラスサファイヤ
△ステップオブダンス
こちらも中心はグランド牧場うまれのピンクドッグウッド。
相手筆頭にもグランド牧場うまれのアップトゥユーを指名します。
シェアハッピーは馬主さんが兵庫の元ジョッキーで、現在は育成牧場を経営。
このあたりも育てかたの違いにつながっていることでしょう。
あとは桜花賞のときにお世話になったグラスサファイヤと、
桜花賞では展開が合わなかったステップオブダンスをマーク。
馬券の基本はボックスでも、上位2頭の馬連ワイドは厚めに押さえておこうかな!?
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。