
昨年は的場文男騎手が還暦を迎えた日に実施された、園田競馬場のゴールデンジョッキーカップ。
そして今年もなんと、的場騎手の誕生日にゴールデンジョッキーカップが行われることになりました。
ちなみに昨年は水曜日で今年は木曜日。
これって、的場騎手ありきで設定されたスケジュールだったりして???
しかしながら、「還暦」が連発された昨年に比べると、
実況席から聞こえてくるアナウンスに「61歳」というキーワードはあまり含まれていなかったですね。
でも的場騎手が関西圏にその姿を見せることはほとんどないわけで、当日の騎手紹介式のときにはさすがの集客力を見せていました。
ちなみに昨年はメチャメチャ暑いなかでの開催。
本馬場での騎手紹介式が終わると「暑すぎる」「拷問やわ」などと言いながら小走りで引き揚げていました。
しかし今年は朝から豪快な雨が降ったり止んだり。
第1レースが良馬場、第2レースがやや重、第3レースが重と、一気に砂が水でヒタヒタになって、馬場の中央より外は水たまりが多数。
騎手紹介式は昨年まで本馬場の上で行われていましたが、
今年からゴール地点と1コーナーの間にある「西ウイナーズサークル」に変更されていましたが、これは結果オーライでしたね。
なお、騎手紹介式の司会進行役は、競馬人間国宝の吉田勝彦アナウンサーから、竹之上次男アナウンサーにバトンタッチされていました。
吉田さんの名調子を聞けないというのは、ちょっとさみしい……。
(写真:騎手紹介セレモニー)
でも、通算2000勝以上の実績を残している騎手たちが戦う3つのレースが白熱するのは例年どおり。
今年は30代が吉原寛人騎手(34歳)と戸崎圭太騎手(37歳)だけで、あとの10名は40歳以上。
昨年の9月7日に通算2000勝(地方競馬とJRAの合計)を達成した下原理騎手は、9月3日が40歳の誕生日。
ほかに今年40歳になった騎手は、岡部誠騎手、赤岡修次騎手となっていて、ゴールデンジョッキー界も徐々に高齢化が進んでいるような気がします。
しかし好成績を残したベテランだけが持つ騎乗技術は間違いなくあって、今年の3つのレースはすべて流れがスロー。
馬場状態が影響してか、前半戦から前残りが多発する馬場だったこともあり、後方から勝負する馬はなかなか上位まで来られないという状況でした。
(写真:雨でドロドロの馬場が舞台)
そのためか、今年は単勝1番人気馬が3戦とも3着以内を確保。
2戦目と3戦目は3番人気以内の馬が3着までを独占したので、ボックス作戦の私にとっては厳しい結果になりました。
でも2戦目では的場騎手が魅せてくれましたね!
最後の直線で赤岡騎手との一騎打ちになって、残り100m地点から見ていた私には、赤岡騎手の勢いが優位に見えたんですよ。
しかしそこから的場スペシャルが発動!
兵庫所属騎手にも的場騎手のような気合追いをする人はいますが、やはり的場騎手のアクションはベツモノ。
刺激を受けたディナミック号は闘志に火をつけられて、
ゴール地点ではほんのわずか、判定写真を見る限りでは2~3㎝くらい、差し返していたのです!
これには園田競馬場に来ていた常連さんたちも大喜び。
「誕生日に勝ちよった」とか「よおあれで粘らせたな」といった声が聞こえてきました。
こりゃ来年も的場騎手をご招待しないと、ファンが黙っていないかもですね。
(写真:的場騎手の誕生日馬券)
という気合の勝利があったものの、的場騎手は今年も総合成績としては第2位。
優勝したのは5→6→1着と堅実にまとめた田中学騎手でした。
的場騎手は1ポイント差。そして第3位は山口勲騎手と赤岡騎手が同点で、
「同点の人のなかで上の着順があった人が優先」というルールによって、第1戦で勝利していた山口騎手が3位になりました。
ちなみに第3位の賞金は30万円で、第4位はゼロ。
この差は切ないほどに大きい……
「的場さんに負けた第2戦が1着だったら、2位だったんですよ(賞金50万円)。
あのハナ差は本当にデカいわ~」と、赤岡騎手も苦笑いしか出てこないという状況。
とても声をかけられる雰囲気ではありませんでした。
しかしそれでも最終レース後に行われた恒例の騎手懇親会では、的場騎手の誕生会を兼ねて盛り上がっていた様子。
当人は6時半の飛行機に乗るために5時にタクシーを呼んでいたのに、5時20分になっても「もうちょっといさせて」と言っていたとのこと。
私も6時55分発の飛行機だったもので、その後の行く末を見ずに競馬場を後にしましたが、
普段はレースが終わったら速攻で撤収するJRAの騎手も、的場さんより先に帰るわけにはいかないという様子でした。
しかし改めて、実績ある騎手による対抗戦は面白い!
現在は「ゴールデンジョッキーカップ」と「スーパージョッキーズトライアル」と「佐々木竹見ジョッキーズグランプリ」が
地方競馬での名手競演が見られるイベントですが、もうひとつぐらい「名人戦」があってもいいと思うんですよね。
45歳以上限定戦とか。そしてこういった騎手戦に、もっとファンの注目が集まってもらいたいものです。
水曜日の東京記念も騎手の技術がモノを言う一戦!
なんてったって2400mですからね。
先週の戸塚記念も、騎手の判断力と技術が結果に大きく作用したように感じました。
ならばここも!
◎5.ユーロビート
○3.ウマノジョー
▲4.バルダッサーレ
△1.カツゲキキトキト
△12.グルームアイランド
△11.ジャーニーマン
ユーロビートは8歳の休み明けとなりますが、昨年も3ヶ月弱の休み明けで勝っているのだから、3度目の東京記念制覇に期待大。
同じ厩舎のウマノジョーは大井の長距離で安定していますから、今回も首位争いが可能とみます。
単穴には昨年11月以来のバルダッサーレを抜擢。
鞍上の御神本騎手は通算2000勝まであと少し。
馬自身も東京ダービー以来の勝利を狙いたいところでしょう。
この一戦への叩き台だった前走がハナ差2着だったカツゲキキトキトにも要注意。
グルームアイランドは、今年は体調面の不安が少ない様子で、本来の実力発揮で上位が十分。
あとは先週50万円を稼ぎ損ねた赤岡騎手の立ち回りに警戒しておきます。
今週こそ当てたい!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。