
フランスでは5日連続で馬券勝負をしましたが、勝負するにあたってけっこうな戸惑いがあったんです。
まず初日のサンクルー競馬場。
単勝8.5倍が的中するなどでソコソコのプラスになったのですが、しかしですよ。
競馬場内に払い戻しの表示がひとつもないんですよ!
そのレースが終わったあと、競馬場内で出会った岐阜県在住のカメラマンさんに「これ何倍ついたんですかね?」と聞くと、
「僕もそれがぜんぜんわからないんですよ。払い戻しの表示って出てないですよね?」
と言うからビックリ。
その人は12年連続で凱旋門賞の撮影に来ているというのに、そんな基本中の基本に疑問符がつくとは!
だからそのあと2人で競馬場のすべてのモニター画面をチェックしましたよ。
しかし画面はすべて、サンクルーの映像と他場発売の映像……。
その次のレース後に5画面ほどが一望できる場所で映像の推移をガッツリと観察しましたが、
レースリプレイが出ただけで払い戻しのお知らせはテロップを含めて出ませんでした。
もちろん、場内に「今日の結果一覧」みたいなものもナシ。
当然、着順確定のお知らせもないわけで、馬券を何回か機械に入れては「これは有効ではありません」の表示を見ることに。
なんて客に対してやさしくないんでしょう!
つまりフランス競馬には「わーいわーい当たった当たった~」→「なんぼついたかな。おっ、○倍か」→
「てことは○○くらいプラスだわ」→「よっしゃ、払い戻しに行こ」
という胸躍るプロセスがごそっと欠落しているのです。
だから当たっても機械に馬券を入れて、戻ってきた金券(バウチャー)の数字から割り算をして、
「そうっすか、今のは○倍だったのね」となる仕組み。
そんなんでいいのかフランス競馬!!
さらに徹底しているなと感じさせるのが、フランス競馬の統括機関である「フランスギャロ」のホームページ。
着順は載っているのに、払い戻しについてはまったく触れられていないんです。
これでフランスの馬券オヤジたちは文句ないんかい!!
でもこの地ではこれが「普通」なのかしら。
払い戻しについては競馬情報サイトのなかで見つけましたが、
てことは日本の定型句である「主催者発表のものとご確認、ご照合をお願いします」が存在しないということですよね。
本当?
土曜日曜のシャンティイ競馬場でも、払い戻し画面の表示は一度も見ず。
フランスに何回も来ている友人知人に聞いても「そういえばないですね」という反応でした。
……まじっすか。
でもそれがフランススタイルということならば従うしかありません。
月曜日はメゾンラフィット競馬場に行く予定でしたが、城めぐりをしていたら時間がなくなり、
シャンティイ競馬場から持ち帰ったバウチャーを街なかのバー兼場外馬券売場でユーロに変換。
そのあと駅に行ったら電車が30分ほどなかったので、駅前の立ち飲み屋兼馬券売場でもうひと勝負することにしました。
(写真:馬券発売機が置いてあるバー)
そしたらそこでも罠が……
サイフのなかの小銭を整理しようと馬券発売機に入れ、それで馬券を買わずバウチャーにしたのがダメだったようです。
そのバウチャーで買った馬券がハズレて、
今日はもうやめとくかと思って残額があるバウチャーをレジに持っていったら「お金にはできないよ」だって!
なんじゃそりゃ。
なめとんのか!
(写真:確かに現金で返金不可と書いてある……)
と思っても店のオヤジには逆らえません。
ならば的中馬券なら現金にできるだろ!
と意を決して1時間に2本しかない電車を見送り、もう一丁。
次のレースはエンゲン競馬場の繋駕速歩15頭立て。
新聞も持っていないし繋駕速歩の馬券を買うのは初めてだしでサッパリわからんのですが、
ウォーミングアップ時の脚さばきから4番と9番の単複を購入。
2875mのレースは馬場を3周するレースで、4番は好スタートから2番手をキープ!
(写真:インコースの白い馬が4番がんばれ)
しかし、4番のお馬さんは残り400mくらいのところで小走りになってしまい失格。
そうなのです。
繋駕速歩=つまり人間界でいう「競歩」なので、走ったらダメなのです。
ガックシ。
でも失格なら買戻しがあるでしょ?
と思って機械に馬券を入れると「有効ではありません」の表示……
速歩の失格は、競艇のフライング&出遅れと同じ扱いじゃないんかい!
速歩の馬を走らせるのはわりと簡単っぽく見えるから、いわゆる不正の温床になりそうな気がするんですけど。
プンプン!
ならば次はいわゆる普通の競馬で勝負したろやないかい。
メゾンラフィットの第5レース、ブドー騎手の複勝に全額投入!
ということで7.5ユーロの馬券を買おうとしたら、7ユーロ分しか買えませんでした。
「0.5」の単位は指定できないの?
(6ユーロと1.5ユーロ(=最低購入単位)に分けて買えばよかったのね)
レースは無事にブドー騎手が1位入線。
その馬券をバウチャーに変換しないでレジに持っていったら「5分待て」と、立ち飲み屋のオヤジ。
んなわけないだろ、もうレースが終わってから10分以上経ってるぞ!
でもそう言われたら引き下がるしかないので発売機の前に戻って馬券を見たら、券面に「10月3日から有効」と書いてある!
(写真:10月2日に買ったのに)
まじっすか。
現金に換えられない券で買った馬券は、当日の払い戻しができないんですか(涙)
ちなみにこのレース、ブドー騎手は1位入線から2着に降着になっていました。
店内のテレビではレースリプレイを見ましたが、そんな重要事項に気がついたのは、宿に着いて競馬サイトで結果を確認したとき……。
うー、なんかいろいろハラたつー!
もうこうなったら絶対にこの紙切れを現金にしなければ気が済まぬ!
ということで翌朝、電車に乗って別の場外に行って払い戻し完了(サイトには1.1倍と出ていたのに、もらったお金は1.3倍相当だったのも謎)。
残った0.5ユーロのバウチャーも使おうと1ユーロを追加して馬券を買い、1.5倍の複勝を当てて2.25ユーロに増やしましたよ。
60日間有効の有価証券を持って帰るハメにならなくてめでたし!
(写真:ショッピングセンター内の場外で払い戻し完了)
いやしかし、こんな苦境を経て実感する日本の投票環境のすばらしさ。
日本にうまれてよかったー!!!
というありがたみをかみしめながら鎌倉記念。
なんかねえ、日本はハズレても詳細が簡単にわかるから健康的ですわ(笑)。
◎11.シェーンリート
○7.ゴールドパテック
▲9.ダモンデ
△6.マッドドッグ
△4.パパドプロス
△13.トミノカモン
鎌倉記念はなぜか10番か11番がよく来るレース。
じゃあ10番を狙えばええやんという話なのですが、ユニバーサルライトは時計的に微妙な気が。
ということで圧勝続きの11番、シェーンリートを中心に。
ゴールドパテックは2走前がひと息入った影響があった印象で度外視して、ここまで4戦3勝の実績に期待します。
ダモンデは過去がすべて逃げでもタイプ的に距離延長で新しい面が出ると考えて3番手にマーク。
デビュー戦の走りが好印象だったマッドドッグも押さえます。
パパドプロスはスミマセン、私が過去に出資していた馬の妹なので連下に。
初戦の走りがよかったトミノカモンにも警戒しておきます。
でも混戦模様なので、やっぱり馬券はボックスで!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。