
今週水曜日には浦和競馬場で「ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド浦和」が行われます。
4月の高知からスタートしたこのシリーズは、12月27日の大井競馬場、
28日の中山競馬場で行われるファイナルラウンドへの出場権をかけた予選リーグみたいなもの。
参加騎手にとって魅力的なのは、なんといっても最終戦の中山競馬場。
地方競馬の騎手にとって、JRAの芝コースで乗れる機会はなかなかないのが現状ですから、
このチャンスは誰もがモノにしたいところです。
ところでこの「トライアルラウンド」は、通常のジョッキーレースとはちょっと違う点があります。
それは“着順に応じて獲得したポイントを騎乗数で割って、平均値を出す”というところ。
南関東所属騎手の場合は、今年デビューの人はちょっと少なめ。
ということはつまり「騎乗数が少ないと、平均点が下がるリスクも少ない」という面もあります。
それを最大限に活かしたのが、今年デビューの笠松・渡邊竜也騎手。
4戦のうち2戦で勝利を挙げ、平均得点(トライアルラウンドポイントという名称)は18.00。
2位の愛知・加藤聡一騎手が1勝、2着3回でも10着以下が2回で平均点を下げる形になったのとは対照的です。
渡邊騎手は今年4月26日に初勝利を挙げ、2勝目が5月10日のヤングジョッキーズシリーズ。
そのときは“なんで勝ったのかわかりません”という感じでしたが、先週までで通算30勝をマーク。
8月に話を聞いたときは「前は位置取りが後ろすぎて怒られましたが、
今は前に行きすぎて怒られます(笑)」と、短い間でもレース慣れして積極性が出てきたように感じられました。
さて、南関東はまだ結果が確定していない状況。
現在のところは船橋の臼井健太郎騎手がトップですが、
仮に2戦とも10着以下になると、ほかの騎手の着順次第ではファイナルへの出場が怪しくなるところ。
最初の2戦がともに最下位だった浦和の赤津和希騎手は、連勝するようなら2位以内の可能性が高くなります。
ということで、多くの騎手が一発を狙うレースをすることになりそう。
その反面、トップの臼井騎手と2位の中越琉世騎手(川崎)は、大きい着順を取らないように乗ることでしょう。
JRA所属騎手も6名が加わりますが、気合の入りかたがデカいのは間違いなく南関東ジョッキーズ。
騎手戦は荒れるケースが多いのは定説ですが、今回の浦和は輪をかけて大混戦になりそうです。
ちなみに先週の園田では、佐賀の山口以和騎手と高知の松木大地騎手が3位以内を狙える位置。
「どういう着順なら3位以内か、確認してきましたよ」と、両騎手はレース前に話していました。
そのあたりがどのくらいレースに影響したのかはわかりませんが、
第1戦は2→4→7番人気の順で入って、1番人気の山口騎手は4着。7番人気の松木騎手が3着に食い込みました。
その結果、3連単は33870円。
第2戦はJRA所属騎手が3着までを独占して、3→2→5番人気の順。
4番人気の山口騎手は4着、8番人気の松木騎手は9着でした。
というわけで2戦連続1番人気馬が4着以下で、第2戦の3連単は21840円でした。
(写真:園田での出場騎手紹介)
というかですよ。
ここまでで20レースが行われたトライアルラウンドで、
単勝1番人気馬が勝利したのは高知、川崎、名古屋、佐賀、盛岡、金沢での6回だけ。
3連単が4桁配当だったのは、笠松と佐賀と金沢と門別2戦の計5回なんですよ!
そりゃそうですよ。
その競馬場でのセオリーとか勝負どころとか、さらにコンビを組む馬のこともよくわからないままでハイ実戦、
となるわけですから、馬の実力を100%出すことができないケースが多くなるのは当たり前。
だから客もそれを前提にして考えないとイカンのです。
まっとうに考えるのはハッキリ言ってムダ。
さらに南関東ではもっとも小回りの浦和コースですから、荒れて当然と考えるべき!
つまりこれはボックスで網を張るのが最適。
面白いじゃあーりませんか。
その第1戦は、水曜日の13時05分が発走予定の第6レース。
騎手の名前は敬称略でいきますよ。
◎12.櫻井光輔
○11.横山武史
▲9.保園翔也
△7.中越琉世
△1.臼井健太郎
△4.赤津和希
木幡初也騎手のゴールドキャストが先行力上位かなと思いますが、高確率で競られそう。
となるとオーバーペースで後方からなんでも届いちゃう的な結末を想定してみました。
大荒れ前提!
第2戦は14時15分発走予定の第8レース。
◎12.木幡巧也
○5.中越琉世
▲6.岡村健司
△2.保園翔也
△7.井上敏樹
△1.藤田凌
ここは逆にペースが落ち着くと予測。
となると、大外枠から流れに乗れそうな木幡巧也騎手が有利になると考えました。
中越騎手も岡村騎手も先行できそうな馬。
穴は南関東に戻ってきたオヤジノハナミチ(井上騎手)ですね。
本来のスピードを発揮できれば圧勝まで考えられるタイプです。
そして木曜日はビッグレース、浦和記念。
南関所属馬が3着以内を独占した3年前の再現に期待しつつ……
◎4.ヒガシウィルウィン
○9.グランディオーソ
▲5.クリノスターオー
△11.オールブラッシュ
△6.エンパイアペガサス
昨年も3歳馬のケイティブレイブが勝ったことだし、
古馬相手で同じ負担重量でも、ヒガシウィルウィンの実績ならば中心とみていいでしょう。
相手筆頭には3年前の2着馬、グランディオーソを指名。
差し脚を長く使えるタイプで、展開的にも合いそうな気がします。
クリノスターオーは2番手からレースを進めることになりそう。
そうなるとしぶといことは過去の戦歴からも十分。
となると、逃げ粘りを狙うオールブラッシュにも要マークとなります。
エンパイアペガサスは前走の絆カップが度外視可能でも、ちょっとここでは厳しそう。
それでも挑戦してきたことへの敬意を含めて、3連勝式の一角候補として挙げておきます。
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。