コラム”

「ヤングジョッキーズシリーズ」
2017年12月29日

地方競馬はいわゆるゴールデンウイークと、お盆と年末年始が超繁忙期。
ということで私もそのオコボレにあずかり、27日は園田競馬場に行き、28日は中山競馬場へと行っておりました。

というわけで、27日に行われた「ヤングジョッキーズシリーズ・ファイナルラウンド大井」は結果だけを拝見。
おお、2レースとも単勝1番人気馬が勝利して、2着は伏兵チックな馬ですか。
両レースとも1番人気馬は明らかに力量上位でしたから、第1戦目を勝った臼井健太郎騎手、
第2戦目を勝った保園翔也騎手はともに、落ち着いて乗れたということでしょう。

しかし中山競馬場は完全なアウェー。
出場する14名のなかには、JRA所属でも森裕太朗騎手のように「中山は競馬学校時代の模擬レース以来です」という人もいるわけで、
これはきっとスゴイ結果になるんだろうなと考えておりました。

そうしたら私の予想を超える結果。
もう参りましたよ~。


騎手紹介式の前の様子

(騎手紹介式の前の様子)

まず、ペースがどうなるのかがまったく読めず。
まして岩手の鈴木祐騎手以外は「芝が初めて」という騎手が多いのですから、第1戦の芝2000mは予想するだけムダ!

しかしながら、荻野極騎手が騎乗する馬は成績が一枚抜けていて、しかも状態がよさそう。
普段は2倍を切る馬の単勝は買わないことにしているのですが、この1.8倍はつきすぎだろうということで、ガッツリと買い込んでみました。

スローになるのかハイペースなのか、その答えはハイペースでした。
中山でのヤングジョッキーズシリーズは2戦とも、近走の成績が低迷している馬が大半。
それは確かに理解できるところで、ワールドでオールスターなジョッキーが乗るなら勝利間近の馬をエントリーしてもいいでしょうが、
若手騎手限定戦にそういう馬を出すのは、馬主さん的には微妙かも。
そんな背景もありますから、第1戦も第2戦も高配当になったのは当然だと思います。

第1戦は、速い流れについていけなかった馬たちが上位に入線。
前が止まったことで浮上したという、完全なタナボタでした。

第2戦はダート1800m。
大井で勝利を挙げた臼井騎手と保園騎手は「今の得点状況ってどんな感じですか」と、気になっている様子。
しかし検量室前に陣取るマスコミ陣は「次の結果次第」としか答えられませんでした。
しかも第1戦で1着だった荻野騎手と2着だった横山武史騎手が第2戦で乗る馬は、単勝1番人気と2番人気。
「荻野騎手に勝たれたら終わりですよね」と、臼井騎手は心配していました。

そういう思惑も含めてのレースは淀みなく流れ、またしても後方からの馬が上位に来やすい展開になり、道中は後方だった馬が1着と2着。
そのなかで3番手からレースを進めて3着に粘り込んだ川崎の中越琉世騎手は、いい騎乗をしたなあと思いました。
しかし中越騎手は、
「いえいえ、反省ばかりです。コースロスもありましたし……」
と、満足していない様子。
ならばこの経験が今後の糧になることでしょう。

このようないわゆる「ジョッキーレース」で好成績を収めるためには、運がいいかどうかも大きな要素。
その意味で最も「持っていた」騎手は、間違いなく船橋の臼井健太郎騎手でしょう。

大井の第1戦で断然人気の馬が当たったクジ運、
そして中山では第1戦も第2戦も力量的に劣勢という馬を流れに乗せて7着、4着に連れてこられた運。
そして最終的に、わずか1ポイント差で優勝をつかんだという運。

仮に、どれか1レースで着順が1つ悪かったら、または第2戦で僅差2着だった岩崎翼騎手が差し切っていたら、優勝できてなかったのですから。


表彰式で田中将大選手から花束を受け取る臼井騎手

(表彰式で田中将大選手から花束を受け取る臼井騎手)

そう考えると、本当に“運”。
臼井騎手はこれを単なる確率変動で終わらせず、“常に持っている男”として活躍してくれることを期待したいものです。

しかしいつも心にしていることですが、競馬に必要なものは“運”と“縁”。
どれだけ実力があっても、その2つが欠けると実績を残すことはできません。

波乱の歴史がある年末の牝馬重賞2連戦も「その時の運」を持っていそうな馬に注目したいもの。
といっても、それが分かれば苦労はしないんですけどね……。

でも“持っていそうな”馬のニオイをかぎ分けるべくチャレンジしてみますか。
まずは東京シンデレラマイルから。

◎13.ラインハート
○2.プリンセスバリュー
▲16.ステップオブダンス
△8.シェアハッピー
△9.ファイトユアソング
△1.パーティードレス

内回りの1600mで逃げたそうな馬がアップトゥユーだけ。
こういうときは、好位勢がわりと早めに動き始めて、その後ろからレースを進めた馬が最後にまとめて先行勢を飲み込む……

ケースが多いような気がするんですよね。
という前提で、連続3着の内容が光るラインハートを中心視。
正直な話、JBCの3着は恵まれたものだと感じたので、クイーン賞では無印が妙味と思っていたのですよ。
しかし結果はまたしても3着。
そうなると、もう無視することはできません。

プリンセスバリューは笠松遠征が馬体減でしたが、地元戦なら大丈夫なはず。
脚質的にも向くとみて2番手に指名します。
ステップオブダンスは前走の反動が心配ですが、素質的に無視できない存在。
以下3頭も差し・追い込みタイプから選んでみます。

大晦日の東京2歳優駿牝馬は逆に、逃げたそうな馬が多数。
そうなると、差し優勢とみるのが妥当でしょう。

◎5.ゴールドパテック
○14.オールパスレル
▲3.ストロングハート
△15.ビジネスライク
△16.クレイジーアクセル
△13.ヴィブラビ

ゴールドパテックは2走前の鎌倉記念3着の末脚が優秀。
そして続く前走が重賞勝利ですから、ここは逆らわないほうがよさげとみます。
オールパスレルは前走がいまひとつでも長く使える差し脚に注目。
ストロングハートは、個人的に考えている“逃げ先行馬が多数のときは1頭だけ残る”という法則に合致しそうな馬として挙げてみました。

ところで今回のヤングジョッキーズシリーズ・ファイナルラウンド。
第1戦で単勝を当てたのはいいのですが、個人的にメチャメチャ反省してしまいました。
それは、
「なぜ、3連複1頭軸→総流し→総流し」を買わなかったのかということ!

絶対に波乱になるという確信があって、でも軸不動と確信した馬がいたのだから、単勝を買っている場合じゃないでしょ!

だって14頭立ての1頭軸で相手13頭ボックスの3連複って、買い目は78点なんですよ。
それで案の定、人気薄2頭が2着3着。
配当は10万円オーバーだったのだから……。

次の機会は絶対にそれをやってやる!

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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