
今年も3月下旬に5日間、4月上旬に5日間と北海道を巡りました。
初日の3月19日に雪が降り、翌朝は苫小牧市内の道路が真っ白になっているのを見たときには大丈夫かと思いましたが、
それ以降の天候はおおむね良好。
例年はズボン下とGパンを履いて、さらにその上にジャージで完全武装をしていたのに、
今年はジャージの必要がなく、曇っても風が吹いてもあまり寒さを感じない日々でした。
牧場の人たちに聞いてみても、今年の馬産地方面はときどきマイナス20度くらいになることはあっても、
全体的に気温が高かったという話。
私が2月初旬に帯広に行ったときも、下がってマイナス12度くらいでしたから、
気合の極寒体験を楽しみにしていた私としてはちょっと拍子抜けでした。
というわけで、この冬の北海道は全体的に気温が高め。
ということはつまり、上空に南からやってきた空気の影響があるということですね。
(写真:先週木曜日の取材もいい天気)
いつもの冬の北海道は、シベリア方面からやってきた冷たくて乾いた空気に覆われますが、
南からの空気の影響があると、降水量が多くなる傾向が現れます。
そのせいか、海岸線からちょっと山のほうに入ったところにある牧場では
「放牧地で雪が馬のヒザより上まで積もって、そこを歩く馬の姿は『八甲田山』みたい」になったことがあったそう。
また、別の育成場では「1日が雪かきで終わることが何回かあって、乗り込みが例年よりはちょっと不足ぎみ」という話もありました。
また「馬場の除雪が追い付かなくて、仕方がないから角馬場での運動を入念にすることで埋め合わせをしました」という牧場も。
その一方で「ウチは坂路に屋根があるので例年と同じ。これってアドバンテージになりませんかね?」と期待を持っている育成場もありました。
しかしながら馬の育成は、それが正解なのかどうかわからないのが難しいところ。
とある育成場では
「人手が足りなくて、やむを得ず以前の週6日の調教が週4日くらいになってしまったんですけれど、意外と競馬での成績がいいんですよね」
という話を聞きました。
個人的には以前から、若駒はとにかく鍛えればいいというわけではないと思っているんですよね。
鍛えまくることで特色を出している育成場はありますが、そこにはメリットがある一方で、デメリットもあるのではないかと感じます。
そんなふうに10年以上も春の馬産地をウロウロして定点観測的な知見を持っている私から見ると、
今年の2歳馬は「全体的にみると例年より仕上がりが遅め」と映ります。
それが影響しているのか、3月15日に門別で最初に行われた能力試験に臨んだのは72頭で、
2週目の3月22日が29頭、3月29日が59頭で、いつもの年よりもちょっと少ないという印象。
ちなみに3月中に行われた能力試験(800m)で50秒を切った馬はゼロで、
4月4日に1頭だけ、49秒9で走った馬が出ました(シェリーアモール・牝・父グラスワンダー)。
という状況で4月18日、つまり今週水曜日に今年の門別競馬が開幕するわけですが、
その当日に行われる“その年の日本で最初に行われる2歳戦”である「スーパーフレッシュチャレンジ競走」に予備投票したのは8頭だけ。
そのほか、月末までには3つの「フレッシュチャレンジ競走」が予定されていて、
そこには合計で78頭が登録していますが、実際には少ない頭数でのレースになるような気がします。
このあたりにも、例年とは違う気候の影響が出ているのかも。
門別競馬場の坂路には屋根がありますが、全部の馬が最初から門別競馬場で育成されているわけではないですからね。
(写真:門別競馬場にある屋根付き坂路)
その影響は南関東にもあるようで、4月5日の浦和での能試を受けた2歳馬は6頭だけ。
4月6日の川崎では3頭だけでした。
昨年は4月21日に大井で新馬戦(7頭立て)が行われましたが、そのときの出走馬は3月のうちに能力試験を合格。
しかし今年は4月15日現在、大井で能力試験を合格した2歳馬は2月24日に走った4頭だけで、しかも全員の冠名が「トーセン」!
さて、今年の南関東は新馬戦のスタートがいつになるのかしら?
新馬戦は力量がバラバラの馬が一緒に走るので個人的には当てやすいと思うのですが、
今年は北海道の気候を考慮して予想を立てると、さらに当たりやすくなるような気がします。
しかし春のうちにデビューする馬が例年より少なめとなると、その分が秋以降の混雑度につながって、
来春の3歳重賞戦線はけっこうハードな状況になるのかも?
その南関東三冠路線のスタートとなる羽田盃は、昨年も今年も5月の大型連休明け。
今週は火曜日にS3のブリリアントカップが組まれているので、その予想からしていきましょう。
オヨヨ、16頭立てですか!
◎2.リッカルド
○12.タービランス
▲16.ディアドムス
△7.クラージュドール
△5.トロヴァオ
△6.ウマノジョー
南関東に移ってから1800mと1400mで完勝しているリッカルド。
先行力があって折り合いがつくタイプなら、2000mも問題ないでしょう。
相手筆頭には復活を遂げた感があるタービランスを指名。
ディアドムスは圧勝だった勝島王冠を考えると、ここでも注目可能です。
伏兵陣が多い感じはしますが、連下にはクラージュドール、トロヴァオ、ウマノジョーを選択。
いずれもしぶとい差し脚に期待します。
続いて水曜日の東京スプリント。オヨヨ、こちらも16頭立てですか!
◎4.ブルドッグボス
○9.アピア
▲16.ニシケンモノノフ
△13.ネロ
△15.ラブバレット
△3.グレイスフルリープ
△6.エイシンスパルタン
こちらもなかなか悩ましいですね。
でも大井の短距離で内枠なら、ブルドッグボスが有利に運べるとみて中心視。
アピアは一気の相手強化になりますが、大井の1200mで10戦9勝、3着1回というスピードに期待します。
ニシケンモノノフは強敵ですが、負担重量と大外枠を割り引いて3番手。
あとはバラバラと並べましたが、基本的に先行力がある馬に注目するシルシになっています!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。