コラム”

「先行者利益を狙うべし!」
2018年5月14日

先週日曜日、5月13日はグリーンチャンネルの「地方競馬中継」のゲストとして呼んでいただきまして、これがじつに1年1か月ぶり。
久々だったのでスタジオワークの感覚がよくわからず不安でしたが、番組がスタートしてしまえば問題なし。
1時間半もあっという間でした。

今回の放送対象は、佐賀競馬の11レースと12レース。
11レースが17時35分発走で、12レースは18時10分発走です。

ということは、JRAの馬券で闘った人たちは、最終レースからおよそ1時間のインターバルがある形。
それでも最近はスポーツ紙に地方競馬のわりとしっかりした出馬表が掲載されるケースが多くなっていますから、
多くの人はそのままスムーズに「第13レース、第14レース」へと入っていけるようになりました。

いやしかし、ほんの5年前はこんな時代が来るなんてまったく想像していませんでしたよ。
日曜日の夜にばんえい競馬や高知競馬を楽しむ人は、なんというかいわゆる「マニア層」。
そのコアな人々が徐々に増えているように感じます。
例えるならば、一部の「濃い」人たちに支えられてきたアイドルがだんだんメジャーになっていく、そんな感じかしら?

ただ、アイドルには「旬」があって、そして年齢との戦いがあるのが難しいところ。
しかし競馬にはそれがないから、今後は広がっていくだけでしょう。


佐賀競馬場

(写真:佐賀競馬場)

それを実感したのが2月の日曜日に東京競馬場へ行った帰り。
京王電車で私の隣の吊革につかまっていた兄ちゃんが、スマホを見ながら「すげえ雪ふってんじゃん」と独り言。
何のことかと思ったら、スマホで佐賀競馬場の映像を見ていたんですね。
その数分後、電車のなかで「シアワセクル、シアワセクル」と唸っているではありませんか!

兄ちゃんが見ていたレースに出ていた馬、シアワセクルが後方から追い込んできていたんですね。
電車のなかで「シアワセクル」と連呼するのって、いわゆるアブナイ人ですよ。

でもスマホの兄ちゃんは自分の世界にドップリ。
そして明大前駅付近で、となりにいた友人とおぼしき人に「うわ~、安いほうが来ちゃったよ」と話して苦笑いしていました。
よかった、独り言じゃなくて。

でもそこで、改めてスマホのチカラを実感しましたね。
グリーンチャンネルの地方競馬中継も放送回数が増えたので、「ついウッカリ」参加してしまう人が増えていくことでしょう。

とはいえ、市場規模としてはまだまだ。
ヴィクトリアマイルの売り上げが153億円余りだったのに対し、5月2日のかしわ記念は13億円弱ですからね。
つまり、JRAしか眼中にない競馬ファンが現状でもメチャメチャ多いわけです。


中継おつかれさまでした

(写真:中継おつかれさまでした)

先月末、関西のウインズ前などで、
大型連休中の地方競馬の情報チラシを配布してきたというかたの話によれば「受け取ってくれる人が少なくて……」とのこと。
私も関東のJRA施設で地方競馬のチラシなどを配った経験がありますからよくわかります。
JRAのお客さんの大半は、この世にJRA以外の競馬があることを知らないんですよ!

ホンマカイナと思うかもしれませんが、本当なんです。
でも、この状況はつまり、まだまだ商機拡大の余地が十分すぎるくらいにあるということ。
ちなみに5月13日の佐賀12レース、佐賀スプリングカップの総売り上げは1億394万9800円でした。

私は佐賀競馬場に、1日まるごとの売り上げが7千万円台だった日に行ったことがありますが、
そのときの佐賀競馬の事務所、そして場内は「どよーん」とした空気に包まれていました。
当時のC2クラスの1着賞金は10万円。
それじゃあ騎手だって、危険を冒して勝負に出る気持ちにはなりにくいですよねえ……

でも昨年以降は、メインレースだけの売り上げだけでかつての1日分を超えることがたびたび。
しかしながら、JRAに比べると経済規模はまだまだです。
5月13日の佐賀11レースの売り上げは4129万1300円。
同じ日の新潟競馬の最終レースが7億4千万円あまりだったことを考えると、もっと売れてもおかしくないはず!

さてこの状況で、私たちが考えるべきこと。
それは
『先行者利益』

だって「競馬歴がソコソコあっても地方競馬に関しては初心者」という人たちが、まだまだ流入してくるんですよ。
つまりそういう人たちは、たとえば佐賀だと山口勲騎手が「ミスターほとんどパーフェクト」(実況の中島さんが命名)であることとか、
●●騎手はインを狙う傾向があるとか、よくわかっていないわけです。

だからたいていの人は新聞のシルシを頼りに馬券を買うわけで、それで当たることもあるでしょうが、
でもそこに人気が集中する傾向が出てきます。

そうなると、人気と実際に乖離が生じる可能性も大。
すでに地方競馬を知っているわれわれは、スタート地点から有利なのです!

個人的にそのことを強く感じたのが2010年のかしわ記念。
単勝1.1倍のエスポワールシチーが勝ち、フリオーソが2着でアドマイヤスバルが3着。
これで3連単が126.5倍もついたんですよ!

つくづく「世の中の競馬ファンはJRAの馬ばかり見ているんだなあ」と思わされましたね。
8年前でソレですから、今はもっとその傾向が強くなっていることでしょう。
さあ川崎マイラーズでも、われわれ南関ファンは『先行者利益』を享受できるチャーンス!

◎5.ウェイトアンドシー
○4.ジャーニーマン
▲13.セイスコーピオン
△12.ムサシキングオー
△10.ラインハート
△14.オウマタイム

過去の傾向から、内枠の先行馬が強い傾向。
ということで、A2クラスでも前走の時計が優秀だったウェイトアンドシーを主軸に取ります。
ジャーニーマンも先行策からの粘り込みに期待。
セイスコーピオンはJRA時代を含めて休み明けの成績が良好ですから、ここでも実力が発揮できそう。
あとは流れに乗ってこれそうなタイプを押さえます。

ポイントブランクは元JRAで前走1着、そして吉原寛人騎手で人気になると思うんですが、川崎の急カーブは合わない気が……。
その不安感が現実となれば、それはまさに『先行者利益』につながりますよね。
ただ、本当に利益を得るためには、着順と買い目が一致しなければならないんですよ。
いつもそこで失敗するとです……(ヒロシ風)

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

コラム一覧