コラム”

「2018地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ!」
2018年7月16日

今年もいわゆる“ジョッキーレース”が始まっていまして、11月までの長いスパンで行われるのが「ヤングジョッキーズシリーズ」。
こちらは所属している競馬場以外での騎乗経験が少ない騎手たちによる戦いですから、レースが崩れることが多め。

今年はすでに船橋と笠松で実施されて、まだ大波乱という配当は出ていないところですが、
7月16日の高知、そしてそのあとのレースではスゴイ配当が出る可能性が高いのではないかと、個人的に期待しております。

ヤングジョッキーズシリーズの高知と同じ7月16日には、盛岡競馬場で「ジャパンジョッキーズカップ」が行われます。
こちらは各地のトップジョッキー8名とJRA所属の4名が集まって、
チームWEST、チームEAST、チームJRAという形での団体戦で争われる、イベント的な要素があるレースとなります。


ジャパンジョッキーズカップの出場騎手

(ジャパンジョッキーズカップの出場騎手)

というわけで、遠征してくる騎手たちはわりとリラックスしているムード。
西日本所属の某騎手は「盛岡だとその日のうちに地元に戻れないですからね」と、レース後に飲む気マンマン。
というか、そっちのほうを楽しみにしているような感じ。
各地区でリーディングを取るとこういったイベントに呼ばれるケースが多くなりますから、
2番手以降の騎手のみなさんはこれもトップを狙うモチベーションにしてもらいたいなと思います。


ジャパンジョッキーズカップ個人優勝は内田博幸騎手

(ジャパンジョッキーズカップ個人優勝は内田博幸騎手)

そして各地区のトップジョッキーの最大のモチベーションというか目標になるのは、
年に一度の大イベント、札幌競馬場で行われる『ワールドオールスタージョッキーズ』

昨年は中野省吾騎手が、神が降臨していたかのような騎乗ぶりで、第4戦までの結果で争われるのに第3戦で優勝決定。
しかしそれは例外中の例外で、だいたいは第4戦の着順次第で優勝者が決まり、そしてそのポイント差がわずかになることがほとんどです。

以前は各騎手が勝ちたいと思いすぎるためにハイペースになって、人気薄の馬が直線一気を決めるということも多くありましたが、
最近はそうなるケースは少なくなったかなという印象。
何度も出場していることで、このシリーズでの戦いかたが頭に入っている騎手が増えてきたためかもしれません。

そうなんです。
このシリーズのコツは「どれだけ大きい着順を取らないか」なのです。
それを忠実に守り、シリーズ未勝利で総合優勝を飾った騎手がたくさん。
しかしですよ、今年からポイントの配分が変わったのです!

もしかしたら主催者側に、今までのような善戦狙いをしにくくするという考えがあるのかも。
ちなみに昨年は
1着=20ポイント、2着=15ポイント、3着=13ポイント、4着=11ポイント、5着=10ポイントでした。

それが今年は
1着=30ポイント、2着=20ポイント、3着=15ポイント、4着=12ポイント、5着=10ポイントになったのです。

つまりひとつ勝つとかなり有利。
実際、6月3日に盛岡競馬場で行われた第1ステージでは、4着と1着だった桑村真明騎手が42ポイント獲得でトップ。
1着と6着だった繁田健一騎手が38ポイントで第2位になっています。

ただ「大きい着順を取らない」という必勝法はまだ併存していて、第1ステージで第5位までに入った騎手はすべて、2戦とも1ケタ着順でした。
2ケタ着順は1ポイントしかもらえないので、負けるにしても大きくは負けないことは重要なことだといえます。

でもそうなると、勝ちを狙ってギャンブルするか、それとも冒険しないで5着以内を狙うのか、そこは各騎手にとって悩ましいところ。
それを考えながら予想するべきなのが、水曜日の浦和競馬場で行われる第2ステージなのです!

浦和競馬場は南関東の4つの競馬場のなかではもっとも最後の直線が短いところ。
となると、浦和での経験値が低い騎手が揃うと『前に行かなきゃ』という意識が強く出ることになるかもしれません。

加えて浦和は左回り。
吉原寛人騎手と岡部誠騎手を除く西日本の所属騎手は左回りの経験値も低いわけですから、そこも考慮に入れる必要があるかもしれません。

さて現在のポイントですが、第3位は山口勲騎手で26ポイント。
第4位は藤田弘治騎手で22ポイント。
第5位は吉原寛人騎手が17ポイントで、第6位の矢野貴之騎手は16ポイントと接近しています。

そこで、第2ステージを迎えるにあたっての騎手心理を予想すると……
●第1戦も第2戦も善戦を狙いたい
 →桑村騎手、繁田騎手
●どちらか勝ちたいけれど、勝負に行って大敗するのは避けたい
 →山口騎手、藤田騎手
●勝機がありそうな馬だったら仕掛けたい
 →吉原騎手、矢野騎手
●イチかバチかで乗るしかない
 →佐藤友則騎手、山本聡哉騎手、岡部誠騎手、村上忍騎手、瀧川寿希也騎手、下原理騎手

という前提条件で、水曜日の浦和競馬の第10レース、ジョッキーズチャンピオンシップ第2ステージ第1戦から予想してみます。

◎10.下原理騎手
○1.瀧川寿希也騎手
▲11.岡部誠騎手
△12.山本聡哉騎手
△5.吉原寛人騎手
穴8.藤田弘治騎手

第1戦は最終戦に望みをつなぎたいという騎手たちが壮絶に仕掛けていくレースになると予想。
ということで展開次第で結果が変わることになるでしょうから、馬券はやっぱりボックスかな。
しかしこの組み合わせで決まると、あまりつかないかも(汗)

続く第11レースは、その前のレースの結果が騎手心理に影響する部分がありますから予想しにくいところはありますが、
おそらく第1戦で善戦すると思われる騎手が最後に決めにかかる。
という前提で!

◎10.桑村真明騎手
○9.繁田健一騎手
▲1.山口勲騎手
△6.山本聡哉騎手
△8.藤田弘治騎手
△7.村上忍騎手

過去には第2ステージを連勝してJRAへの切符を手にした的場文男騎手、藤田弘治騎手、永森大智騎手という前例がありますから、
第2ステージはその日の感性という点も重要な要素となります。
それが誰なのか、パドックで各騎手の姿を観察して、ある種のオーラみたいなものがにじみ出ている人を探してみるのも面白いかも!?

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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