コラム”

「新記録!」
2018年8月13日

8月12日の第5レースで、的場文男騎手が地方競馬通算での最多勝利記録を達成しました。
おめでとうございます。

浦和競馬でタイ記録に持ち込んで、その後は船橋開催を休んで満を持して臨んだ大井開催の初日。
7回の騎乗機会がありましたが“確勝級”といえる馬はいないかもと思っていましたが、
第5レースの3歳未受賞戦での騎乗馬は勝てそうな雰囲気がありました。

というわけでそのレースは画面を通して観戦し、そして記録達成の瞬間を(ほぼ)リアルタイムで見ることができました。
現場にいた知り合いによると、場内から湧き上がる拍手はなかなかの音量だったようです。

しかし日曜日は間違いなく、的場特需がありましたね。
午後3時20分に「どんなもんかな~」と思ってオッズを見たら、どえらいことになっていてちょっとビックリ。
こんなあからさまに的場騎手の単勝が買われているとは!

3R=ヨットマン 1.3倍
5R=シルヴェーヌ 1.1倍
6R=フレンドプラチナ 1.4倍
7R=ヴァンクラッセ 2.0倍
8R=アメリカンマックス 1.6倍
9R=マホウジン 2.8倍
10R=クールアオイ 2.0倍

知り合いにも的場騎手の単勝を全レース買った人がいましたが、それはすべて100円ずつ。
しかしながら第1レース発走前で売り上げが多くない時間帯とはいえ、その積み重ねがこんな数字になって現れたんですからね。
スゴイことです。


新記録達成に向けて

(新記録達成に向けて)

ちなみに記録を達成したあとの的場騎手は、すべて最終的に5番人気以下になっていましたから、
まさに“特需”だったことがわかります。
ちなみに第8レースは的場騎手の騎乗馬が競走除外になりましたが、返還された単勝馬券は35万円余りでした。

この35万円の大半は応援馬券ですよね……。
ということは、仮に全員が100円ずつで買っていたとすると、
3000人くらいが「的場騎手の新記録達成の記念馬券」を狙っていたことになるわけかしら。
それはなかなかスゴイ数字ですよ!


新記録達成後は即セレモニー

(新記録達成後は即セレモニー)

でもそういうときには「逆張りしよう」という考えが発生するもの。
個人的にそれでもっとも盛り上がったのが、2004年3月22日。
高知競馬場でハルウララに武豊騎手が乗ったときでした。

その日は北海道苫小牧市の場外発売所にいましたが、場内は苫小牧にしてはかなりの混雑。
ちょうど居合わせたシシャモ屋の社長が
「ハルウララの単勝を100枚買ったよ。従業員へのプレゼント用なんだけど、マークカードを塗りすぎて手が疲れたよ~」と言いながら、
馬券の束を見せてくれました。
おそらく全国にそういう人がたくさんいたんだろうなあ。
当たらないから交通安全のお守りになるとか言って。

その日の高知競馬は黒船賞がメインレース。
ハルウララが出る最終レースの「YSダービージョッキー特別」も全国発売対象レースになっていました。
となれば、ここは逆張りするしかないでしょう。
だって、絶対に勝たない馬が単勝1番人気になっているんですよ!

だから必死になって勝つ馬を推理。
しかし高知競馬の最下級は比較がメチャメチャ難しい……

それでも前走5着のシルクコンバットか、転入2走目のフアストバウンスだろうと踏んで単勝2点で勝負したら、
みごとにフアストバウンスが逃げ切り。
レースは某牧場の事務所でテレビ観戦しましたが、オッズがたったの4.0倍でガックリでした。
みんな同じことを考えてたんだなあ。

でもやはり「人の行く 裏に道あり 花の山」は、常に頭に入れておきたい有名な格言。
日曜日の大井競馬に的場文男騎手への応援投票が含まれているのが明らかならば、そこには妙味も含まれているはず!

というわけで、第9レースの「大井のSPAT4プレミアムポイント賞」は、的場騎手を完全に外した馬券を買ってみました。

メンバー的に単騎逃げが見込めそうなモンサンアルナイルを軸にして、
相手はガーデンズキュー、サノマル、トルナベントを選んで3連単と3連複。
的場騎手の馬は7番人気(18.9倍)になっていましたが、多少は前売り分が入っているはず。

しかしモンサンアルナイルは逃げ粘れずクビ差で2着。
1番人気の3連複だけ的中という結果でした。
でも1360円もついたなら、まあまあ妙味を受けられたかな?

ただ、最終レース後に1日を振り返ってみたところ、
この日の正解はどうやら「的場騎手が新記録を達成したレースの単勝をドカンと買う」だったようですね。
SPAT4は単勝でもポイントがつきますし、パドックの雰囲気とメンバー構成から考えると、1.5倍でも十分だったような気がします。
こういう機会はなかなか巡ってこないものですが、次はあとから考えたときに正解だったという立ち回りをしたいものです。

さて、めでたく日本一になった的場文男騎手は、黒潮盃でクリスタルシルバーに騎乗。
東京ダービーのときは大変お世話になりました!

◎5.クリスタルシルバー
○8.クロスケ
▲9.ステラライト
△15.トミケンジョメルト
△10.ミスマンマミーア
△1.デイジーカーニバル

受けた恩は忘れないという意味を含めて、クリスタルシルバーを中心視。

そして黒潮盃には「ゼッケン1~5番の馬が強く、ゼッケン7~9番が好相性」というデータがあるのです。
最近4年はすべて、1着馬と2着馬がその組み合わせ。
という流れに乗っかりまして、クリスタルシルバーからゼッケン8番と9番に流し(7番のスプリングマンはさすがに厳しいかと……)、
白三角の3頭は3連勝式の候補というフォーメーションです。

このシルシには、昨年の反省も含まれているんです。
昨年の黒潮盃はSPAT4の北海道ツアーの帰りに大井競馬場で見ましたが、
的場文男騎手のブラウンレガート(ゼッケン1番)が完勝して、2着がゼッケン8番のカンムル(11番人気)。

私の3連単には3着のソッサスブレイ(ゼッケン15番・7番人気)も4着のクラキングス(ゼッケン12番・8番人気)もあったのに、
カンムルだけがヌケ……

同じ過ちは繰り返さぬぞと心に誓い、これで勝負する所存です!


昨年の黒潮盃

(昨年の黒潮盃)

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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