コラム”

「大幅馬体減から学んだこと」
2018年8月27日

日曜日に水沢競馬場で行われたビューチフルドリーマーカップ。
結果は単勝1番人気のジュエルクイーンが勝ち、2番人気のステップオブダンスが2着で馬複が130円というガチガチ配当(ちなみに枠複は150円)。
その2頭のワイドが110円。
パドックの映像を見るまでは「こりゃこの2頭で堅いでしょ」と思っていたんですが、わたくしは締切直前に勝負するのを回避してしまいました。

その理由は、ジュエルクイーンの馬体重がマイナス20kgだったから。

20kgですよ、20kg。
ジュエルクイーンは、中年デブ化が進みつつある私のおよそ7倍の重量なので、単純計算で自分に置き換えると3kg程度の減少。
あのですね、私は6月くらいから「3kgは減らさないとイカンなあ」と思っているのに、逆に1kgくらい増加しているんですよ。
それなのにジュエルクイーンは20kg減でしょ。
そりゃ心配になりますよ。
急にそんなにやせたら「病気でもしたの?」と言われそう。

ましてジュエルクイーンは、これから全速力で走らねばならぬという状況。
それが単勝1倍台という数字を示しているのですから、これは疑ったほうがよさげだよなあと思った次第です。

さらに私は10日ほど前に、苫小牧から八戸までのカーフェリーに乗っていまして、まあまあ揺れたなあという印象。
だったら台風の影響があった先週末は、海がけっこう荒れたはず。
ジュエルクイーンが乗ったのは函館発青森行きかもしれませんが、どちらの船もサイズとしては中型。
となると、船酔いで体重が減った可能性も……


八戸行きフェリーの窓から

(八戸行きフェリーの窓から)

そこまで考えが行ってしまったら「やめとこう」となるのが必然。
しかしながら、結局のところは読んで字のごとく、信じた者が儲かったのでした。

という結果を受けていろいろと思い返してみれば、重賞での大幅馬体減はさほど気にしなくてもいいのだろう、という結論に至ったのです。

先月、園田競馬場で行われた兵庫サマークイーン賞では、高知から遠征のディアマルコがマイナス18kgで快勝。
ただ、それは前走の地元戦が余裕ある体つきだっただけで、昨年の兵庫サマークイーン賞と比べれば2kg増でした。
ジュエルクイーンも同じで、昨年のビューチフルドリーマーカップとの比較は2kg増。
このレースの3連覇はすべて、496~500kgの範囲におさまっているのです。

それをちゃんと把握していれば、SPAT4にログインまでしておいて、
しかし買うのをやめる必要はなかったんじゃないか、というのが現在の心境。
これからはマイナス体重を過剰に不安視するのは止めようと思います。

というか、私のような体脂肪も水分も多い体つきと、アスリートであるサラブレッドを同列で考えることがそもそもの間違いなんですよね。

アスリートは本番に向かって体を絞り込んでいくのが本能ですが、デブの急激なダイエットは体に毒になることも。
それにサラブレッドはライオンに襲われたときの対処方法が“逃げる”の一択ですから、
そういう緊張感がある場面に遭遇するとお尻からボトボトと体内にある不要物を落として体を軽くするDNAが刻まれているように思うんです。

ならば体重減はむしろポジティブな材料として考えるべき。
ちなみにかなり昔にJRAの某厩舎にて、体重が500kgの馬の1回分のウ○コの重さを量ってみたところ、1.6kgありました。
てことは、たとえばパドックで2kg減と表示されていた馬を「絞れた」と思うのも間違いではないかと?

ただ、この件は上でも書いたとおり、重賞クラスでの話かなと思います。
一般戦でコンスタントに出走している馬がガッツリと体重を減らしていたら、これは体調がイマイチなのではと疑うべきでしょう。

そう考えると、今年のビューチフルドリーマーカップは馬券的妙味があったといえそう。
どう考えても力量的に上の2頭がワンツーを決めて、それで1.3倍もついたのだから。

とはいえ、このあたりは「モノは考えよう」で、“そのオッズなら回避”するのも判断としては正解ですし、
“銀行の金利を考えたらメチャつくやんけ”と考えるのも正解。
その都度その都度の判断には瞬発力が必要ですが、的確に判断するためには経験値も必要。
個人としては、今年のビューチフルドリーマーカップでひと回り大きくなれたような気がします。
てゆーか、アンタ馬券を買い始めて何年たってんのよ……

でも、これもデータの一種として考えることができるはず。
私はわりと「データ」を多用するタイプですので、水曜日の大井メインのアフター5スター賞もその方向性でシルシを打ってみましょう!

◎11.プリサイスキング
○13.アピア
▲12.キタサンミカヅキ
△7.サマーダイアリー
△2.ゴーディー
△5.クルセイズスピリツ

3連単が447万馬券と恐ろしく荒れた2015年を除いた最近4回をみると、「前走で1200mのレースを勝っていた」という馬が、
3着以内に“1頭だけ”入っているというのがアフター5スター賞のデータ。
大荒れだった年も、4着だったカイロスがこのデータの該当馬でした。

ということならば、メンバー中で唯一の該当馬、プリサイスキングに期待していいでしょう!?

加えてプリサイスキングは、7月から9月までの成績が9戦8勝で2着が1回。
つまり暑い時期が稼ぎ時なのです。
よく使われる“暑さに強い”というのは言葉のアヤで、個人的には「暑さに対するヘバリ度が少ない」と捉えているのですが、
いずれにしてもデータ派にとっては心強いデータ。
ということで今回はプリサイスキングを「軸」として考えたいと思います。

あとは短距離実績がある馬をチョイス。
馬券の選択は3連複かな?

いやしかし、まだまだ暑い日々が続きますね。
この「南関道中膝栗毛」を作成している場所は羽田空港。
JRA宮崎育成牧場で開催された「馬に親しむ日」のイベントから帰ってきたところなのです。
日曜日の宮崎は暑かったですが、それでも最高気温は32度くらい。
それが羽田空港に着陸したら「ただいまの気温は36度」というアナウンスが聞こえてきたではありませんか。

なんかもう、その言葉だけでやんなっちゃいましたが、でも大井競馬場に寄ってから帰ります!


ジョッキーベイビーズ九州地区予選の表彰式

(ジョッキーベイビーズ九州地区予選の表彰式)

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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