コラム”

「タイの奥地で日本産馬」
2019年1月21日

1月11日からのタイ旅行は現地4泊で帰りが夜行便という日程で、そのうち2泊が首都のバンコク。
ここは交通渋滞が恐ろしいことになっていて、それによる大気汚染が深刻。
バスターミナルではタイ国軍の兵隊さんが通行人にマスクを配っていましたが、
どうやらその日は非常事態宣言が出されたようでした。
という事実は日本に帰ってきてから知ったこと。
現地では20円とか30円で乗れる扇風機しかないバスにばかり乗っていたもので、
その影響からか現在でもノド荒れがひどくてセキが出るという状況になっております。


窓開けて走る20円バス

(窓開けて走る20円バス)

安いバスは床が板張りでエンジン音がうるさいという、車齢50年はあろうかという古いもの。
さらに恐ろしい数のミニバイクが走り回っているものだから、有害物質の量は半端ないものがありそう。
実際、外を歩き回ると肌がザラついてきます。
といっても、そんな状況になっているのは都心だけ。
それ以外の場所ではきれいな空が広がっています。

そんなバンコクを離れて1泊したのは、ラオスとの国境に近いウドンタニという都市。
ここには競馬場があるのです。
タイの競馬はバンコクで開催しているのが「ロイヤル」という名前が付くとおり、王室がかかわっているメジャーなもの。
しかしそれ以外にチェンマイ、ナコンラーチャシーマ、コーンケン、そしてウドンタニにも競馬があるのです。
しかしまあ、場所はわかっていても開催日がわからないのがタイ競馬の困るところ。
ウドンタニ競馬にはホームページがあるのですが、なんとそこに開催日程が掲載されていないのです。
さらにはトップページのレース写真がフランスとおぼしき右回り。
ウドンタニ競馬場は左回りのダートコースなんですけど……。

そんな状況なので、もしかしたらやってないかもと身構えつつのウドンタニ。
日曜日の昼すぎに到着し、
バスターミナルから時速80kmで爆走するバイクタクシーでおよそ10分、幹線道路からウドンタニ競馬場への路地に入りました。
すると、道路わきのサンシャインパドックで馬が日光浴してる!
でも、そのあたりの人の気配はゼロ。
うーむ、これはどう見ても開催していないな。
調べたところによると、毎週日曜日に開催されているはずなんだけど……。

入場ゲートをバイクのまま通過して、スタンドに着いたら完全に無人。
どうやら今週は土曜日に開催されていたようでした。
惜しい(涙)。
苦笑いする私にバイクタクシーのオジサンが「戻る?」と聞いてきましたが、そんなすぐ帰るわけないやんけ。
ということでバイクタクシー代100バーツを払って、誰もいないスタンドに向かったのでした。
次回に備えての下見をしようじゃないかいな!
まずスタンドの馬券売場をチェック。
すると、こんな表示が。


買い目は20種類

(買い目は20種類)

どうやらウドンタニ競馬はフルゲート5頭
(同一馬主の出走馬は1頭にまとめるので、6~7頭立てになることはあります)で、馬単しか売っていない模様。
つまり全部で20通りとなります。
馬券を買うときは、窓口で買い目を言うのではなく、買いたい組み合わせの番号を言うシステムらしいのです。
場内で拾ったこの馬券は、1月12日の第7レース、7番(つまり2→4)を20バーツということですな。
ちなみに結果は5→1だったので、的中は17番。逆にややこしくないか!?
でも地元の馬券オヤジの頭にはすべてが刷り込まれているんでしょうな。
我々が山手線と京浜東北線が併走しているとき、反射的に「4-6」と思うように。


ウドンタニ競馬場の馬券

(ウドンタニ競馬場の馬券)

スタンドは小さくて、1000人くらいで大入り満員という感じ。
食堂や売店もたくさんあるようで、うーむ、やっぱり開催日に来たかったなあ。
でもこれで予習ができたから、次はスンナリ行けるはず。
でもまずは主催者に開催日を問い合わせてからにしましょう(汗)。


スタンド内部

(スタンド内部)

場内はキレイでも、紙のゴミはいくつか。
そんななかに競馬新聞があったので拾っておきました。
タイ語はぜんぜん読めないけれど、英語で書かれているのは出走馬の父っぽいですな。
えーと、むむむ?
5レースに出ている3番の馬は、スペシャルウィーク産駒なの?
さらに6レースの1番はブラックタイド産駒。
さらに8レースの2番はジャングルポケット産駒!


スペシャルウィーク産駒が出走

(スペシャルウィーク産駒が出走)

日本産馬がシンガポール、オーストラリアなどに渡って、
そこからタイに流れ着くという話は聞いたことがありますが、この馬たちはどういうルートを経てきたのかしら?
そんなことを知ってしまったら、なおさら開催日に来たくなるやん!
というわけで、それが私の“2019年の実現させたいことリスト”に加わりました。
そのリストには「出資馬の勝利をナマで見る」も入っていまして、でもこれは自分の力ではどうにもならないこと。
ひたすら信じて現地に行くことに努めるだけです!

◎6.ラビットラン
○10.ブランシェクール
▲13.アイアンテーラー
△3.エイシンセラード
△11.アルティマウェポン

だったらリアル出資馬のブランシェクールを本命にしろよ、
というご意見はあろうかとは思いますが、ここは冷静に実力と実績を考えてラビットラン。
それでもブランシェクールは昨年2着、レディスプレリュードも2着で、今回は大歓迎の外枠をゲットしましたからねえ。
ということで、逆転の期待を込めた対抗にします。
アイアンテーラーは同型の存在が気になるので3番手。
エイシンセラードは3連勝の勢いに魅力はあっても、前走の走破時計では連下までが妥当でしょう。
あとは追い込みタイプのアルティマウェポンにも警戒しておきます。
一昨年の覇者ワンミリオンスは、調教時計を見る限りではちょっと微妙。
ということで、今回は無印が妙味かな?
というシルシにしましたが、心の本命はブランシェクールです!

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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