
先週月曜日は熊本駅の近くに泊まりまして、その翌日は大雨。それでもめげずにレンタカーで佐賀競馬場に向かいました。
しかしカーナビを“高速道路を使わないプラン”にして設定したら、荒尾競馬場の前を通るルートではないですか。
おお、だったら荒尾にも寄ろうじゃないの!
というわけで、2019円で借りた車で海岸沿いを進むことおよそ1時間半。荒尾競馬場に無事到着!
荒尾競馬場は2011年12月23日をもって廃止されてしまいまして、
その後は各地の地方競馬の馬券を発売する「BAOO荒尾」として営業を継続しています。
3階建てのスタンドは耐震強度の関係で取り壊されるという話を数年前に聞いたのですが、
それはガセだったのかどうか、その姿は変わることなく現在に至っています。
しかしまあスタンドはいいのですけれど、馬場はまったく有効活用されないまま。
廃止されてから2年ほどは、馬がいないのに本馬場をハロー掛けの車が周回しているという、まったく意味不明なことをしていました。
そして馬場整備をやめてからは、砂が流れていくばかり。
一昨年、井上オークス先生と馬券対決の番組で訪問した際には、あまりの惨状にオークス先生の目に涙が浮かんでおりました。
(荒尾競馬場のスタンドは当時のまま)
それでもいろいろアイディアはあったらしいんですよ。まずは、馬場をそのまま使って育成牧場にしようというプラン。
荒尾競馬場の敷地の大半は市有地なので、借地料という観点からも実現性がありそうな考えでした。
高崎競馬場の境町トレセンがその好例で、県有地のトレセンをそのまま居抜きで借りて、今でも競走馬が走っていますものね。
でも荒尾では話が具体化せずに終了。続いてのプランは「福岡ソフトバンクホークスのファーム施設を誘致する」でした。
これはさすがにライバル多数で、九州新幹線の筑後船小屋駅前を提示した筑後市に敗退。
(ホークスベースボールパーク筑後)
そしてその次のプランは「メガソーラー」。
船橋競馬場の内馬場にも大量のソーラーパネルがありますが、荒尾競馬場跡地なら船橋の3倍以上のパネルが置けるはず。
パネルの向きには人家がまったくないから説明会も補償も不要だし、これなら晴れ1日で○○万円以上の売電収入がありますな。
しかしこれも実現には至りませんでした。理由は不明。
さらには市民病院の移転計画も頓挫して、その結果が単なる荒れ地。
それではオークス先生が涙するのも当然ですよ。まったくもって、なんのために廃止したのかと。
ちなみに廃止される年の荒尾競馬は基本的に火曜水曜の開催で、馬券売上額は佐賀と同程度。
といっても2011年は全国的に馬券売上がどん底の時期で、土曜日の佐賀競馬は7千万円台の売り上げということもしばしばでした。
その当時の佐賀競馬に行ったら、全体的に空気がどよーんとしていたなあ(涙)。
しかしその時代を経て、今では業績が急回復。佐賀競馬の2月17日(日)の売り上げは3億円以上もありました。
荒尾競馬場も競馬事業を続けていれば、おそらく今ごろは黒字経営を実現できていたのでは?
とまあ、内馬場はそんなふうにしてほったらかされていたわけですが、ついに人間の手が入りました。その活用方法とは……
(スタンドから内馬場を望む)
駐車場。
もうね、脱力ですよ。プロ野球がポシャリ、メガソーラーで現金収入も生み出さず、できたものが駐車場!?
しかもその駐車場、馬場に大量の土砂を入れて50cmくらいかさ上げされていたのが謎。もともとマッタイラな土地なのに?
荒尾競馬場はJRAの発売施設も併設しているので、有馬記念とか日本ダービーとかの日には相当な人が来るのでしょう。
だからキレイなものを作ったのだろうとは思うのですが、それでもこれはオーバースペックっぽい……
(超大型の駐車場)
そんなモヤモヤ感があるなか、火曜日の正午すぎにスタンドに入場。その風景は、一昨年とほとんど変わっていないようでした。
「でも炭鉱がなくなってからは、人口が減るばかりですよ」
と教えてくれたのは、食堂のおじさん。やはりそうですよね。現在の荒尾市の人口はおよそ5万人、隣接する福岡県大牟田市の人口は11万人。
ちなみに荒尾競馬が廃止された2011年12月と、今年1月の荒尾市の人口を比較すると、およそ3千人の減少となっております。
競馬を楽しんでいるオジサンたちの姿を見ても、1年に平均年齢が1つ上がっている感じ。
地方都市が衰退する現状を、図らずも感じてしまいました。
私は荒尾には競馬でしか来たことがなくて、でも万田坑とか三井化学の貨物専用線とか、観光したいポイントがあるですよね。
荒尾競馬場の近くにあるグリーンランドにかつて存在した「ウルトラマンランド」にも行ってみたかった……
しかし今回も目的地は佐賀競馬場なので、荒尾市内での滞在は1時間ほど。
再び一般道で1時間ほど走り、午後2時すぎに佐賀競馬場に到着しました。
この日のメインイベントは、九州うまれの3歳馬限定戦、たんぽぽ賞!
勝ったのは単勝1番人気、熊本県熊本市出身のエリーバラード。JRAブリーズアップセールで取引された馬で、牧場のみなさんは大喜びでした。
(優勝馬を生産した本田土寿さん)
しかしながら佐賀競馬場も、一時は廃止したほうがいいんじゃないかという議論が出たらしいんですよね。
それもそのはず、わずか3年前、いちばん下のクラスの1着賞金は11万円。よくそれでみんな頑張ったと思います。でもそれが現在は21万円。
出走手当も倍くらいになりました。そんな数字を見ると、荒尾競馬の廃止はもったいなかったと、どうしても思えてしまいます……。
ともあれ、これ以上の競馬場の減少は勘弁してほしいところ。
川崎競馬場も赤字が続く時期があったようですが、最近は「売上レコード」のお知らせがよく来るようになりました。
エンプレス杯もたくさん売れるかな?
◎7.プリンシアコメータ
○4.アルティマウェポン
▲1.クロスウィンド
△9.ビスカリア
△2.ミッシングリンク
△3.キンショーユキヒメ
△5.ブランシェクール
ちょっと、今年はかなりの混戦模様じゃありませんか!
これなら善戦止まりのアルティマウェポンだって実績的に劣勢のクロスウィンドだって、間に合う可能性があるのでは?
だったら、これがおそらく引退レースとなるブランシェクールにもチャンスがあったりして(希望)。
ともかく、このメンバー構成なら絶対に「流すなボックス」だっ!!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。