コラム”

「馬券の売りかたについての考察」
2019年3月4日

2月最後の日曜日は広島県尾道市で飲み会があり、その翌日は広島空港から羽田空港経由でNARグランプリに出席。
それからまだ1週間しか経っていないのですが、けっこう前の出来事のような感じがしています。これって自分の調子がイマイチということかしら?
なので、広島空港に着陸して最初に行ったところが「BAOO東広島」だったのもかなりの過去だったように思えて、
膝栗毛で触れるのを忘れるところでした。

というわけで「ぶらり場外馬券場」。
広島空港から広島市方面に向かって車で5分とかからない場所に、BAOO東広島があります。


BAOO東広島

(BAOO東広島)

空港に迎えに来てくれた尾道市民にリクエストして、まずは視察。日曜日の正午前で駐車場に止まっていた車は数台。
いくらJRAの発売がないとはいえ、これはちょっと……。ということで施設内の人も少ないのは当然で、先客はたったの4人でした。
あとは案内所に1人、警備員1人が見えただけ……

これはちょっと経営的に厳しいでしょ。この日の発売箇所は佐賀と帯広で、ちょうど佐賀1レースが締め切られるところ。
というわけで売り上げに協力しましたよ。ただ、メンバーもオッズも見る時間がなかったので、長田騎手の複勝を100円だけ。
しかしその馬はまったく見せ場なく大敗。
ただでさえ静かな場内で、さらに大ハズレではさみしさがつのるので、ハズレ確定でも残り100m付近で「長田!」と叫んでみました。
すると警備員さんが苦笑い。


場内は静か

(場内は静か)

そのあと20代前半とおぼしき若者が2名入ってきましたが、出馬表を取ってテーブルに置いて、
マークカードと鉛筆を手にしたところで「どーやって買うの?」みたいな空気感。
そういう人に「専門紙を買え」と案内したら、速攻で帰るだろうしおそらく二度と来ないでしょうね。

同じ広島県のDASH呉に行ったときにも思いましたが、競馬場から遠く離れた場所にある入場人員が少ない場外発売所は、
専門紙を「売る」から「配る」に切り替えるべき。
後半のレースはスポーツ新聞に詳しく掲載されていることがありますが、前半のレースでは望み薄。
だったら買い切りにして施設内に“壁新聞”として掲示すれば、お客さんのノリが違ってくると思うんですよ。
でも現在の状況では、馬券発売機に近づく人は限定的。4人いた先客で、佐賀の第1レースを買っていた人はゼロだったようでした。
中継画面をちゃんと見ていた人は私だけだったし、2→1→3番人気の順で入ったのに払い戻した人もゼロだったし!
せっかく施設を作ったのに、これでは本当にもったいない。そんな知見を得てから尾道観光に向かいました。

そういえば、BAOOで買った複勝馬券には、騎手の名前が入らないんですね。
だとすると、2月19日に佐賀競馬で行われた「たんぽぽ賞」の馬券は、それほど多くは売れなかったのかも?


BAOOの馬券

(BAOOの馬券)

そうなんです。今年のたんぽぽ賞は平日なのに大混雑。
その理由のすべては、藤田菜七子騎手が参戦するから、でした。
パドックの周囲は佐賀記念並みかそれ以上の群衆。そしてそのうちのかなりがスマホまたはカメラを向けていました。
ついでに佐賀テレビのカメラまで来ているし、レース後は勝っても負けても囲み取材があるとのこと。


藤田騎手にカメラの放列

(藤田騎手にカメラの放列)

個人的に知る限り、こういうシーンを目の当たりにするのは2人目。
1人目は金沢競馬場の白山大賞典で、このときは「武豊騎手」が来たのが理由でした。
スシ詰めのパドックで私の隣の兄ちゃんが「ウチの母ちゃんが武豊を見たいって言うからさあ」と電話していましたからね。

私は白山大賞典を現地で3回以上見ていますが、そんなに混雑したのはその年だけ。
その点からも、藤田騎手は「客を呼べる騎手」なんだなと思います。
だいたい、藤田騎手が乗ったカシノウィングは時計的に劣勢。なのに単勝がけっこう売れていましたからね!
馬券を買い終えてスタンドに行くと、私の前に座っていた2人組の兄ちゃんが「おお、名前が入ってる」と声を出していました。
もしかしてキミたち、JRAの馬券しか買ったことなかったん!?


私も買っちゃいました

(私も買っちゃいました)

ちなみに「たんぽぽ賞」の売り上げは、1億23万8900円。
藤田騎手の単勝は最終的に6.4倍=3番人気になりましたが、このオッズの要因には
「藤田騎手が異様に売れているから、別の馬の単勝を買い足そう」という票数も入っていることでしょう。
実際、私がそのうちの1人(笑)。

ちなみに前年のたんぽぽ賞は、レディスヴィクトリーラウンドと同じ日に行われましたが、女性騎手の騎乗はゼロ。
売り上げは5874万4900円でした。単勝は昨年が403万3400円で、今年は598万6100円。
地方競馬において馬券の売り上げを増やす特効薬は「藤田騎手に来てもらう」なのだと実感できました。
でもそれは、めったにないことだからこそ。
今年も「ヤングジョッキーズシリーズ」が開催されますが、藤田騎手は西日本地区の競馬場に行きませんからね。
その意味でも「佐賀競馬場の藤田菜七子騎手」は貴重だったといえるでしょう。

そのヤングジョッキーズシリーズに向けては新たな変更が。南関東での「減量騎手」の規定が4月1日から変わることになりました。
これまでは通算で50勝(または3年を経過)すると減量騎手を卒業する決まりでしたが、新年度からは101勝(または5年を経過)に変更。
となると昨年、総合優勝を飾った櫻井光輔騎手(3月1日現在で48勝)は、もうしばらくの間、減量騎手!
となると、ヤングジョッキーズシリーズの出場者が増えることになりそう。これで減量が復活する騎手もいますからね。
そのあたりは今後の楽しみにしつつ、今週水曜日はフジノウェーブ記念。16名の騎手はすべて通算100勝以上を挙げています。

◎8.リコーワルサー
○2.キャンドルグラス
▲6.ショコラブラン
△11.クリスタルシルバー
△10.ノブワイルド
△7.アルタイル
△14.キャプテンキング

これはなかなか難しい!
枠順と脚質を考えてリコーワルサーを本命にしましたが、このレースはボックス向きでしょう。網を張るときはなるべく広く!

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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