
今年のマリーンカップは8頭立て。
ま、これには仕方がない面がありまして、たとえば私のリアル出資馬であるブランシェクールは、今年2月のエンプレス杯がラストラン。
キャロットクラブでは「牝馬は6歳の3月末までに引退する」という規定になっているためです。
正直なところ、現役を続行していたらマリーンカップを勝つ可能性は200%あったと思います(笑)。
でもいわゆる一口クラブの会員ですから、この件に関しては納得済みでございます。
ブランシェクールの仔が募集されたら出資しようかな~♪(無限ループ)
しかし過去のマリーンカップはソコソコの頭数で実施されていて、出走頭数が1ケタというのは1999年以来だから20年ぶり。
あの年は初ダートのエアデジャヴーが出て1番人気に支持され、しかし勝負どころで失速してブービーに。
勝ったのはファストフレンドで、このレースがダート女王への道のスタートでした。
さらに今年のマリーンカップは、南関東とJRA以外からの出走馬がゼロ。
これは2002年以来となります。
これはどういうことなんでしょう?
その理由を推察すると、大きな要因のひとつとして、南関東以外の競馬場の賞金額が上昇したことが挙げられます。
つい7年前、2012年4月の高知競馬は、牝馬限定のオープン特別の1着賞金が18万円。
福永洋一記念の優勝賞金はちょっと高くて50万円。
高知の皐月賞とダービーは、1着賞金が27万円でした。
それなら地元で走るよりも、輸送補助金が出て出走手当が高い遠征競馬のほうが、たとえビリケツでも実入りは上。
でも現在の高知は、オープン特別の1着賞金が70~80万円、準重賞で100万円ですから、遠路はるばる小銭を取りに行くぞ~!
というモチベーションに至りにくいのではないかと思います。
もうひとつの心当たりは、あちらこちらの業界で聞かれるようになった「人手不足」。
遠征競馬になると担当の厩務員さんが帯同しますから、そのほかの担当馬は誰かにカイバつけや馬房掃除などを頼まなければならなくなります。
それが1頭ならなんとかなるのでしょうが、3頭や4頭になると、協力するにも限界があります。
(産地馬体検査の取材中)
賞金額が減らされていたころは、厩舎側も最低限の人数で運営せざるをえませんでした。
しかし賞金額の増加に伴って在厩頭数が増えても、人間の数はなかなか簡単には増やせません。
これは北海道の牧場での話ですが「馬房掃除とカイバ付け専業の仕事を時給1500円で出しても応募が来ないんですよ」とのこと。
厩舎界隈もそういう状況に近いのでは?
だとすると、この構造的問題は慢性的なものになる可能性が大。
先週は日曜日から木曜日まで北海道の馬産地にいましたが、日高地方、とりわけ静内や浦河では東南アジア系の人が多く見られました。
その状況に対応するために、今後は「外国人のための日本の牧場仕事の入門講座」というプログラムの設置が検討されている模様。
それを含めて、競馬の現場をとりまく人間の状況が変わっていくことになるのでしょう。
(今回の日高路で唯一の外食)
それに関連して、ふと思い出したのが東京ディズニーランド。
じつはわたくし、30年前に半年だけアトラクションで勤務していたことがありまして、
その当時は開園から間もないこともあって、社員もアルバイトも若者ばかり。
しかし入園者は増えるわディズニーシーができるわで、
だんだんと現場から要求される人数を運営側が用意できなくなってきているようなのです。
そこで活用し始めたのが、シニア世代。
定年後のオジサンなどからの応募が増えたようで、パーク内を歩いての印象は、以前よりもアルバイトの平均年齢が上がったように感じます。
私が某アトラクションにいたころは、アルバイト歴20年というオジサン1人以外はみんな10代か20代だったんですけど。
でもそうやって変えていかないと厳しくなると思うんです。
厩務員さんも馬房掃除をアウトソーシングできれば、誰か1人が遠征に出てもカバーできる余裕が出ます。
有給休暇も取りやすくなるでしょう。
預託料は上がるかもしれませんが、そこは馬主さんも理解してくれるでしょう。
となると、ある程度の馬房数がある厩舎のほうが有利。
今後はさらにリーディング上位の厩舎による勝ち星の寡占化が進むかも?
そういう状況ではありますが、ホースマンの皆さまにおかれましてはチャレンジする気持ちを忘れないでいただきたいなと思います。
そして関係機関のみなさまには、それを支える仕組みの整備を進めていただきたいものです。
(「POGの達人」の編集現場も人手不足が顕著)
しかしまあ、今年のマリーンカップのメンバーなら、たとえば高知のディアマルコが出てきたらソコソコの人気になったはず。
そういうメンバー構成なら、攻める予想でもOK牧場?
◎6.ラーゴブルー
○8.リエノテソーロ
▲7.アイアンテーラー
△3.オウケンビリーヴ
昨年12月のクイーン賞ではアイアンテーラーが逃げ切りましたが、今回は距離が1600m。
スタート直後のペースは速くなりがちで、
とにかく前に行きたいチークスがいることで、アイアンテーラーは前半に少し無理をすることになると予想。
そこをマークしながら進められるラーゴブルーが有利とみて、中心に据えます。
リエノテソーロは最近2戦が度外視可能で、休み明けで大野騎手と初コンビでも首位争いに期待。
アイアンテーラーは3番手にして、距離に不安があるオウケンビリーヴを押さえておきます。
というわけで、マリーンカップはこの4頭に集約。
でも、挙げた4頭とも前走が2か月以上前ですから、ここはやっぱりボックスで!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。