
年号が変わっての初日は門別競馬場で過ごし、その後は佐賀競馬場で取材活動。
しかし佐賀で買った馬券は、JRAの1レースと佐賀の後半2レースだけで、そのほかの時間はひたすら取材で動き回っておりました。
というわけで、バスで帰るころにはもうヘトヘト。
鳥栖駅に着いて近くにある大型スーパーの飲食店街で何か食べようと思ったところ「1㎏ナポリタン」というメニューがチョー魅力的。
しかし今の私は戦えるテンションじゃないと判断して、食品売り場で半額シールが貼られた九州っぽいお弁当を買って博多の宿に帰りました。
その翌日は10連休の最終日。
「南関道中膝栗毛」をお昼前に仕上げたところでいざ外出。
目指すは雁ノ巣球場!
この日は年に数回しかない、雁ノ巣でのホークスの2軍戦があるのです。
いつもは博多から電車で40分ほどの場所にある「ホークスタウン・筑後」での試合。
それが博多から10km圏内にある場所で試合を実施するのなら、そりゃ行くしかないでしょ!
ということで鹿児島本線と香椎線を乗り継いでローカルムードが漂う雁ノ巣駅で下車。
そこから歩いて10分弱で、雁ノ巣球場に到着です。
わたくし、南海の時代からホークスファンをやっておりますが、福岡ダイエーホークスになって2軍の本拠地になった雁ノ巣球場に来るのは初めて。
数々の名選手を生み出した育成場は、どんな雰囲気なのかな?
と楽しみにしていましたが、着いてみたらどこの自治体にもあるような古びたスタンド。
これなら埼玉県の川口市民球場や浦和球場のほうが立派だぞ!
(当日券で入場)
しかしまあ“2軍の待遇を良くしすぎるとハングリー精神が養われない”という話もありますからね。
現在の2軍球場は豪華ですが、ヤフオクドームとフィールドのサイズと仕様がまったく同じなので、
それが上昇へのモチベーションなっていると思われます。
さっそくチケットを買って球場内に入ったのは試合開始5分前。
しかし予想以上に客が多く、立ち見の場所を確保できたのは3塁側、中日ドラゴンズサイドでした。
ということで周囲は青い人だらけ。
(陣取ったのは3塁側)
ということでホークスファンということを悟られないように静かに観戦。
試合は6対6の引き分けでしたが、ホークスは勝てる試合を落としましたね。
というのも、1回の表にドラゴンズが取った2点は、記録はタイムリーヒットでも実質はショートの打球反応が悪かったための凡ミスと、
レフトフライからのタッチアップで2塁ランナーがホームまで帰ってきた、というものでした。
1軍と2軍の違いって、こういうところなのだろうなあ。
プロの世界に入れたのだから、間違いなく野球が上手、そして身体能力が高い人。
しかしトップレベルで活躍できるのは、選手全体から考えるとわずかです。
素質はあるのにそれを開花させられないのは、ひとつひとつのプレイに対する“精度”が不足しているからという気がしました。
競走馬にも同じことがいえるように思います。
素質はあるのに結果が出ないというタイプ。
実力の発揮を阻んでいる要因が除去されるかどうか、そこには人間の助けと“運”が必要です。
その馬のよさが発揮できる環境にあるのかどうかですね。
ワイルドな性格に管理された教育は合いませんし、ナマケ癖があるタイプに自由気ままな環境は堕落への道。
そのマッチングがうまくいくかどうかは、完全に“運”でしょう。
その一例が、JRAから船橋に移って開花したキタサンミカヅキやルースリンドなど。
しかしながら、その2頭が最初から船橋にいたらと仮定すると、同等以上の活躍ができたかどうか、微妙という気もします。
そこは本当に紙一重。
でもそのラインはなかなかの厚みを持っているようで、人間社会も競走馬社会も共通するところですね。
九州から帰ってきて、同じ週にもう1試合を観戦。
こんどはいわゆる独立リーグで、栃木ゴールデンブレーブス対茨城アストロプラネッツです。
結果は20対2で栃木の圧勝。
力の差がハッキリとわかる内容でした。
(後攻の栃木が圧勝)
しかしながら、全体的に目立ったのが“精度”の不足。
なんというか“雑”なプレイが多いのです。
でもそこは独立リーグの難しいところで、
同じチームに「野球をやりたいからやっている」選手と「NPBを目指している」選手が混ざっていますからね。
それでも高い能力を持った集団はより強くなり、そうでない集団は現状維持が精々というのは、この世界でも同じでしょう。
この日の試合を見た限りでは、栃木の選手はいわば門別競馬の2歳馬たち(西岡剛選手は除く)。
ここから大きい舞台に飛び立っていけそうな選手が何名かいました。
(西岡選手の動きは別格)
そうしたらなんと、栃木所属の北方悠誠投手がロサンゼルス・ドジャースと契約合意に至ったというではありませんか!
北方投手は豪速球を投げられてもコントロールがボロボロ。
そのためドラフト会議で指名されるも落ちこぼれ、独立リーグを転々としていたわけですが、なんのキッカケがあったか弱点が改善。
そして渡米するチャンスを得られたのです。
とてつもない回り道を経て飛躍への第一歩を踏み出したわけですが、才能を開花させられる人は一握り。
独立リーグで小柄な選手を見ると、この人が若い時に競馬を知っていたら騎手で活躍できたかも……などと思ってしまいます。
いろいろな意味で、運と縁はとても重要。
川崎マイラーズも人と馬とのマッチングを考えながらシルシを付けましょう。
◎2.キャプテンキング
○5.ベンテンコゾウ
▲9.ゴールデンバローズ
△1.トキノパイレーツ
△4.バンドオンザラン
△12.クリスタルシルバー
キャプテンキングはJRAから大井に移籍。
もともとのポテンシャルも高いと思いますが、適材適所がハマったという感じもありますね。
ベンテンコゾウは目標にされる形になったダービーグランプリ以外は3着以内を確保。
今回は初コースですが、タイプ的に問題なしと判断します。
ゴールデンバローズはJRA所属時から春の時期と好相性。
最近2戦はいまひとつですが、転入初戦を制した川崎コースに替わる点をプラス材料と捉えます。
トキノパイレーツは実績的に微妙でも、流れ込みなら狙えそう。
3年連続で6月に勝利を挙げているバンドオンザランを、まだ5月でも警戒しておきます。
クリスタルシルバーは、実績十分でも初の川崎コースがちょっと心配、ということで押さえまで。
でも3連複はボックスで!
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。