コラム”

「鹿児島から青森へ」
2019年7月3日

いやしかし、先週はホント、馬券のセンスがまったくありませんでした。
だって、優駿スプリントで「2走前までに4~6着があった馬が、3着以内に1~2頭入っている」と書いて、該当馬は3頭とも書きました。
それなのにですよ、アジュディカグラとカンゲキのどちらかは3着以内に入るでしょうと予告したら、
名前を挙げなかった該当馬のナガタブラックが勝つのだからやんなっちゃう。
ドヘタクソ……(涙)

帝王賞はチュウワウィザードを本命にして2着だったからまあいいですけれど、ノンコノユメをヌケにしていたのは残念至極。
ノンコノユメがセン馬になった理由は「まともに曳き運動もできないくらい」(加藤征弘調教師)という気性の悪さ。
それが大井に移籍して、ゲートでスタートを切る瞬間まで厩舎スタッフが尾っぽを引っ張ることができるのならば好走する確率が高い
(JRAではゲートイン後に騎手以外が馬にさわるのは禁止)、ってことに気がつかないとダメでしょう!

実際、ノンコノユメは地方競馬のレースでは帝王賞の前まで7戦して、すべて4着以内に入っているわけなのだから。
そんなハズレの山ができているところから、肉体的および精神的な疲れで感性が鈍っているのだな、と自覚しているところです。
ああ、放牧に行きたい~!
じつは鹿児島の競走馬市場でお仕事を終えたあと、放牧にいくつもりでした。
帝王賞の日、ソウル行きの航空券をオール込み3200円で買っておりまして、鹿児島の帰りに韓国に寄って気分転換する予定だったのです。


使わなかった航空券

(使わなかった航空券)

しかし諸般の事情で急遽とりやめ。
鹿児島からサイタマへと帰ってきたわけでありました。
使わなかった航空券はもったいないけど、3200円だからまあいいか……


インティの父、ケイムホームは鹿児島県にお住まい

(インティの父、ケイムホームは鹿児島県にお住まい)

その後は粛々と埼玉県と東京都を往復する日々で、その期間中は得意のはずの高知競馬を含めて馬券が当たらず。
そんな私にとって魔の(?)6月が終わりまして、7月2日(火)は青森県の八戸市場にレッツゴー!
八戸市場は本州で唯一となった1歳馬のセリ市場。
かつては3桁の上場頭数がありましたが、最近は40頭弱という数字が続いております。
でもここのところ、かなり売れているんですよ!
要因のひとつは、北海道のセリ市場に比べると価格が安いこと。
もちろん、翌週のセレクトセールに比べると、はるか下の価格帯でございます。


八戸市場の上場馬比較展示

(八戸市場の上場馬比較展示)

もうひとつの要因は、北海道でのセリシーズンが始まる前に実施されるため、どんなもんかなと見に来るお客様が多いこと。
今年も以前に比べると倍くらいの購買登録者数がありました。
もちろん“見学”に徹するお客様もいるわけですが、なかには「買うつもりがなかったのに買っちゃったよ~」という人も。
販売成績が低迷していた時期でもお客様に来ていただこうと奮闘していた、八戸市場の名物鑑定人、
松橋康彦さん(昨年8月に亡くなりました)の功績が、そういうところに現れているのだと感じます。

そのあとを引き継いで、八戸のセリ市場をさらに発展させることが、私を含めた市場関係者たちの使命。
お客様には元気にあいさつをして、セリ市で楽しい時間を過ごしていただいて、できれば楽しくお買い物をしていただく。
その気持ちを念頭にした結果、昨年よりは売却率と売却総額は若干下がったものの、数字的には好成績といえるものを残すことができました。
南関東の調教師さんも何人かいらしていました。
青森の馬は丈夫という傾向がありますから、今年の1歳馬も長く走ってくれることでしょう。


青森在住の注目種牡馬はウインバリアシオン

(青森在住の注目種牡馬はウインバリアシオン)

そして今年は、これまで八戸市場で馬を買ったことがない人たちの落札が多くありました。
馬主資格を取得する人が過去にない勢いで増加しているのが昨今の情勢なのですが、
そういう人たちは調教師との関係を構築するところが大きなハードル。
セリ市場に来ていた若い世代の調教師たちが、そこに対応しているという感じがありました。
この「南関道中」を読んでくださっている人のなかにも、馬主資格を取得しようと検討している人が多いことでしょう。

現在は、馬の値段がそれほど高くなく、
それでケガなく元気に走ってくれれば、たとえ勝ち星が少なくても大損はしないという状況になっています。
それでもこの時期に1歳馬を買うというのは大変なこと。
すべての馬がデビューするためにはたくさんの人の手がかかっていること、
そしてデビューしたあともたくさんの人がその馬を支えていることを改めて頭に入れて、レースを見たいと思います。

ちなみに今後のセリ市場は、来週からは北海道が舞台。
セレクトセール、セレクションセール、サマーセールなどと続いていきます。
馬の価格と素質は正比例しないのが難しいところですが、セリ市場の結果にもご注目ください!
さて今週は、南関東の重賞開催が木曜日。
スパーキングレディ―カップは、おそらく重馬場が舞台になるでしょう。

◎3.ラーゴブルー
○11.ゴールドクイーン
▲4.ファッショニスタ
△7.ミッシングリンク
△1.マドラスチェック

内枠の先行タイプが有利になるとみて、好位差しの形が取れそうなラーゴブルーを中心視してみます。
ゴールドクイーンは4コーナー奥からのスタートなら逃げの手が狙えそうで押し切りに期待。
ファッショニスタは距離延長も問題なさそうで、上昇の勢いに注目します。
そこに割って入る可能性がありそうなのが、転入2走目のミッシングリンク。
3歳馬のマドラスチェックも力量的に通用する可能性があるとみて押さえておきます。
ところで昨年のこのレース、私は川崎競馬場に出資馬のブランシェクールを見に行っていたんですね。
過去の成績を見て気がつきましたわ(汗)。


プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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