
みなさんはフェデリコ・ボッサという騎手を覚えていますでしょうか?
2016年2月22日から3月21日まで、川崎競馬に所属したイタリア人騎手。
期間中は68戦2勝、2着6回、3着6回という成績でしたが、
短期免許期間中の川崎開催が1回だけだったわりには、多く騎乗できたのではないかと思います。
日本で初騎乗を果たした川崎競馬の5日間で31戦。
1日あたり6~7回は乗ったのですから、最初としては上々。
そこで2勝を挙げたあとは船橋と大井で37戦して、2着1回、3着2回という結果でした。
恥ずかしながらわたくし、ボッサ騎手という名前は記憶していましたが、その姿についてはまったく記憶にございません……
でもですよ。そのボッサ騎手に助けられたのですよ!
私の現在地はイタリアの北西部。
けっこうな山奥です。
そんなところでも日本の地方競馬情報を簡単に調べられるインターネットってスゴイというか、仕組みがイマイチわからない(汗)。
それはともかく、先週の水曜日だから2月12日。
イタリアのミラノ・マルペンサ国際空港に現地時間の早朝に到着しまして、
ミラノから電車で北に1時間ほどの場所にあるヴァレーゼ競馬場に向かいました。
ヨーロッパの競馬はだいたい、開催日がポツンポツンという感じ。
この日に平地競馬が開催されていたのはヴァレーゼだけで、
その翌日はピサ、その翌日はローマ、その翌日はシラクーサ(イタリアの南端近く)、その翌日はピサ……といったあんばい。
ヴァレーゼで競馬が開催されるのは、1週間後の水曜日となっております。
そのヴァレーゼ競馬場に着いたらビックリ。
1コーナー付近にある開けっ放しの入場口を入ると駐車場には車が停まっているけれど、
その周囲にもスタンド方向にも人の香りがしないではないですか!
これは廃競馬場ではないのかと思ったほどでしたが、スタンドの方向に歩いていくと、人間の姿が見えてきました。
でも200人いるかいないかというところ……
(水曜日の昼間だとしてもガラガラ)
着いたのは第1レースが終わったところで、第2レースの出走馬がパドックに出てきました。
そのパドックは馬が歩くと砂ぼこりが舞い上がる粗末なもので、その形はかなりの縦長。
というか、パドックやらスタンドやらすべてを含めて、廃止された益田競馬や上山競馬よりかなりヘボいぞ!
(パドックの地面は土)
そしてパドックに出てきた出走馬たちがみんな小さくてまたビックリ。
見た感じの雰囲気では、第2レースの出走馬は全員、400kg未満じゃないかしら?
うーむ、このレースで勝つ馬って、いないんじゃないのか?
そして騎手が乗ったら、馬がますます小さく見える……
そんななか、2つあるスタンドのゴール近くのほうでやっと出馬表をゲットして
(日本みたいに入場口に出馬表は用意されていません。しかもすぐに品切れになります)、
出走馬のラインナップを見てみると、騎手のところに「F.Bossa」という表記が。
これはもしや、川崎で乗っていたフェデリコ・ボッサ騎手では!?
ボッサ騎手が乗る馬は、パドック診断では歩様がけっこう怪しかったのですが、単勝オッズは断然人気。
ならばイタリアの馬券オヤジの民意を尊重しようじゃないか!
というわけで単勝を買ったら、あら、ボッサ騎手が圧勝したわ!
(ボッサ騎手の単勝が的中!)
次のレースにもボッサ騎手が乗っているので、再びボッサ騎手の単勝と複勝で勝負。
そしたらまたまたボッサ騎手が快勝!
検量室はパドックの奥にあるので、本馬場から引き揚げてきたところで声をかけてみよう。
これで本物のボッサ騎手かどうか分かるはず。
「おめでとう!」
「アリガトゴザイマース!」
おお、これは本物だ。
ならば次の第4レースもボッサ騎手を買わねば。
(ボッサ騎手)
第4レースのボッサ騎手は3番人気くらい。
でももう迷う必要はありません。
単勝と、JRAで短期免許を受けたことがあるニコラ・ピンナ騎手との馬連&ワイドを買ったらまたまたボッサ騎手が勝利(ピンナ騎手は3着)!
この日のヴァレーゼは全6レースというプログラムで、そのうち1つがアマチュア騎手戦。
ボッサ騎手は4レースに騎乗して、そのうち3つで1着ですよ。
これってかなりスゴイんじゃない?
(ボッサ騎手が3連勝)
その反面、イタリア競馬の状況が心配になってしまいました。
この日は第2レースがいちばん賞金が高くて、1着になると4995ユーロ(およそ60万円)。
最終の第6レースは2220ユーロ(およそ27万円)。
それでやっていけるのか?????
その翌日のボッサ騎手は、ヴァレーゼから500kmくらい離れたピサ競馬場で騎乗。
人間の長距離輸送が響いたためか、ピサでの結果はイマイチでした。
いちおう応援馬券を買ったんだけどなあ。
ちなみにピンナ騎手はピサ競馬場で1鞍の騎乗予定がありましたが、ジョッキー変更になっていました(笑)。
でもですよ。
そんなイタリアと比較すると、日本の騎手は恵まれすぎ!
ボッサ騎手はもちろん、
ダリオ・バルジュー騎手(ピサ競馬場でたくさん騎乗していました)などが日本で乗りたいと思うのは当然のことだと思います。
ボッサ騎手がまた日本に来ることがあるなら、こんどはそれより上の成績が残せるはずでしょうし。
競馬を観ている側としては、一所懸命に頑張って結果を出している人を応援したいもの。
水曜日のユングフラウ賞もそういう観点を含めて予想してみましょ!
◎3.レイチェルウーズ
○7.アンジュエトワール
▲9.テーオーブルベリー
△1.アクアリーブル
△8.エンジェルパイロ
△5.ボンボンショコラ
レイチェルウーズは東京2歳優駿牝馬で完勝。
あの姿を見てしまったら、ここでも注目するしかありません。
アンジュエトワールも連勝中。
トレーニングセールでの取引馬でも鍛えなおして11月にデビュー。
浦和コースで3勝している点がアドバンテージになりそうです。
テーオーブルベリーは昨秋に門別から園田と笠松へ2往復。
3往復目の東京2歳優駿牝馬でも2着に頑張りました。
大井に移籍して移動距離が格段に短くなるのはプラス材料といえるでしょう。
アクアリーブルとエンジェルパイロは活躍馬の産駒。
ボンボンショコラは移籍初戦でも先手主張からの粘り込みに警戒しておきます。
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。