コラム”

「レディスヴィクトリーラウンド名古屋」
2020年3月23日

無観客での競馬開催が続くことになりまして、心配になるのは競馬場内の飲食店や売店。
そりゃ大丈夫じゃないのは間違いないのですが、はたして競馬ファンが競馬場に入れますよ、となったところで戻ってこられるのでしょうか。

南関東の飲食店や売店は入場人員が多いぶん、なんとかなるかもしれませんが、それ以外の競馬場は本当に心配。
私は地方競馬全国協会のホームページ(keiba.go.jp)で競馬場内の食べ物を紹介する「馬美味行脚」を月に1回書いていますが、
前に紹介した店舗が次に行ったら閉まっているかもしれません(泣)

私が佐賀競馬場で常連になっている「亭謝馬」は、店主が平日はホテルのレストランで調理をして、週末だけ競馬場で開けている食堂。
それならまだなんとかなるのかなとは思うのですが、競馬場の食堂が本業というお店にとっては、まさに死活問題ですよ。

それがすでに表面化しているのが、競馬新聞の発行元。
そりゃ競馬場も場外も無観客なら、新聞が売れるわけないよねえ……。
それでもコンビニのプリントサービスで新聞は発売しているので、仕事はいつもと変わらないとのこと。
3月12日に行った名古屋競馬場では「馬主席には入れるので、そのために少しだけ印刷しているんですけど……」と、
専門紙「競馬エース」の某社員さんがボヤいていました。

どうやらこの日に売れたのは5部程度だった模様です……
しかしまあ、経済が回っていないことはいろんなところで実感できますね。
3月12日の朝7時12分に東京駅を出発したのぞみ号の6号車は、発車時点で私を含めて7人だけ。
品川駅と新横浜駅で乗車がありましたが、それでも私の前後の列は無人でした。
高知往復の飛行機に続いて、空席が多すぎて逆にショックでした。

ガラガラの新幹線

(ガラガラの新幹線)

名古屋駅から乗り換えた「あおなみ線」もガラガラ。
普段は半分以上の席が埋まっているのに、この日は7人掛けの1列に1人か2人でした。
名古屋駅は普段とあまり変わらない感じだったのに……

名古屋競馬場前駅で降りて、競馬場に入ったのは午前10時ちょっと前。
通常でも開門前なので、通用門から入ります。
場内にはパイロンで通れる場所が区切られていて、食堂街は当然ですがシャッター街になっていました。

しかし取材陣の人数は通常の5倍以上。
私の任務は名古屋大賞典のリポートでしたが、その前後に「レディスヴィクトリーラウンド」が組まれているのです。
このため、名古屋競馬場では見たことがない報道関係者が多数。
それでもパドックの近くとスタンド前のファンエリアが立ち入り禁止になっていただけで、あとはいつもと同じ形で取材できました。

さあ、それではさっそく、第1レースの「ポイント10倍!SPAT4賞」で勝負しようじゃないですか!
しかしここで誤算。
報道陣が多すぎて、インターネットのルーターが満員になっている!
在席していない人のパソコンから勝手にLANケーブルを抜くのはアレなので、仕方がないからスマホで買おう。
しかし私のスマホはwifi専用。
なので名古屋競馬場の正門前にあるコンビニから流れ出る電波をキャッチして、強風に耐えながら買いました。

しかし勝ったのは8頭立てで6番人気のロミロミでノーマーク。
関本玲花騎手が逃げ切るとは考えもしなかった……
この結果に「あんなに頑張って馬券を買ったのに報われなかった」というショックで戦意喪失。
というわけで第3レースが終わったところで競馬場の近くにあるラーメン屋さんに行きました。
食べ終わって競馬場に戻るところで目に入ったのが、名古屋競馬場のモニュメント。

名古屋競馬場

(名古屋競馬場)

道路を走るクルマは多いのに、ここは時が止まっているような感覚。
なんとも言えない雰囲気ですなあ……
しかしレディスヴィクトリーラウンドは盛り上がりましたよ。
第1戦はミカエル・ミシェル騎手が普通の名古屋ではあまり見られない、馬場の真ん中あたりを通っての差し切り勝ち!

第1戦

(第1戦)

第2戦は2番人気馬に騎乗した加藤聡一騎手が勝ち、1番人気馬に騎乗した丸野勝虎騎手が3着。
その間の2着に食い込んだのは、後方から差を詰めてきた浦和の中島良美騎手!
中島騎手は高知ラウンドがケガのため欠場で、佐賀と名古屋だけで得たポイントながら、総合第2位に入るという大健闘でした。
そして第1位は、佐賀所属の岩永千明騎手!
第1戦で2着に入り、最終戦の8番人気馬でインを回って4着に粘るという、いい騎乗を見せてくれました。

出場騎手

(出場騎手)

でも岩永騎手、第1戦でうまく乗れなかったという思いがあって、かなりヘコんでいたんです。
でも2戦目が終わって総合優勝と知らされて、第1戦のあとに続いて涙を浮かべていました。
2016年3月に落馬して、およそ3年のブランクを経て昨年6月に復帰。
レディスヴィクトリーラウンドにまた参加したいという思いが強く復帰を後押ししたそうです。
こちらもその経緯を知っているからもらい泣き。
これからもケガに気をつけて、来年もまたいい競馬を見せてくれることを期待しましょう。

さらに今年は4月に浦和と笠松で女性騎手がデビューする予定なので、来年は8名でできる可能性が大。
さらに高知の別府真衣騎手が休養から復帰したら9名。
となれば、久々に女性騎手だけでレースが組めそう。

さらに表彰式のとき、ミカエル・ミシェル騎手が「来年もまた会いたいです」と話したものだから、もしかしたら10名?
それにしてもミシェル騎手は、世界的にみて特殊といえる高知競馬場で勝ち(4番人気)、
名古屋でも勝った(5番人気)のだから、馬を動かす技術を持っているのは確かといってよさそう。
これまで個人的には「人気になるからむしろ敬遠」というスタンスで考えていたのですが、次回の短期免許取得時には改める必要がありそうです。
そのミシェル騎手は桜花賞での騎乗予定はありません。
でも3歳牝馬の戦いはアツくなりそう!

◎6.レイチェルウーズ
○5.アクアリーブル
▲1.スティローザ
☆9.トキノノゾミ
△7.アンジュエトワール
△4.テーオーブルベリー
△3.ボンボンショコラ
△2.ルイドフィーネ

えーとですね、過去10回の桜花賞では、2016年を除いて「3~5走前に6~8着があった馬が1頭以上連対する」という謎データがあるのです。
今年の該当馬はというと、○と▲の2頭とトキノノゾミだけ。
レイチェルウーズには逆らわないほうがいいでしょうから、謎データの3頭を2着に付けて、あとは3着候補という買い目で勝負します!

プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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