コラム”

「距離変更」
2022年1月17日

南関東の競馬を愛するみなさまには、気づいておられるかたもいらっしゃると思います。
去年(2021年)から浦和競馬場の「1,600m」のレースがビックリするほど少なくなっていることを。

3コーナーからスタートするコースは、最初のカーブ(つまり4コーナー)までの距離が100m程度という設定。
だから浦和の1,600mでは内枠を狙うのが基本中の基本で、それだけでけっこうな馬券が獲れたことが多くありました。
コース形態からも一目瞭然ですが、外枠に入るとショボーンとなる案件。

以前から「浦和の1,600mはダメだろ」という意見があったと聞いていましたが、
いよいよそれが本格的に運用されることになった模様です。

しかし私の体内時計には「ニューイヤーカップといえば1,600m」が刻み込まれているから困っちゃう。
今年は1,500mですからね、気をつけなくては。

そして浦和の1,600mといえば「桜花賞」ですが、こちらもすでに、来年(2023年)は1,500mで実施されることが発表されています。
ということは、浦和の1,600m戦を見られるのは、今年の桜花賞が最後かも???

3コーナーの奥がスタート地点

(3コーナーの奥がスタート地点)

ニューイヤーカップといえば、たとえば2016年は現地に行って、ゼッケン2番のタービランスが2着。
勝ったのはゼッケン1番のモリデンルンバと、内枠を買っておけば当たるよね♪状態で大的中。

2014年は高知競馬場でニューイヤーカップを買って、
2番(8番人気)→3番(1番人気)→7番(4番人気)で決まって63.6倍の3連複をゲット。
しかし10万3,000円の3連単を獲れなくて、ド平日でほとんど人影がない高知競馬場で悶々とした記憶があります……

といった感じで、馬券を買う側にはとてもやさしい浦和の1,600m。
でも、競馬をする側にとっては「そりゃねーだろー」みたいなコースだったことと思います。
実際にスタート地点から4コーナーを見たことがありますが、メッチャ近かったですもんね……

しかしながら、昔はそういうコースがほかにもありまして、
私がナマで見たなかで「こりゃスゲエなあ」と思ったのが、宇都宮競馬場の1,600m。

3~4コーナーの中間点がスタート地点で、たしかゲートは外ラチに寄せて設置していました。
こりゃ浦和の1,600mなんてメじゃないほどの内枠有利ですな(汗)

一方、浦和の1,500mの内枠は有利かどうかビミョーなところ。
内枠でも先手を取れればいいのですが、一直線にホームストレッチを目指せる外枠のほうが気持ち的に有利という気がします。

そのほかにも「こりゃスゲエ」と思わせたのが、荒尾競馬場の1,640m。
その舞台でのレースは見たことがないですが、コースが広いぶん、宇都宮よりはマシかも。

荒尾競馬場のコース図

(荒尾競馬場のコース図)

同じく旧・盛岡競馬場の1,420mも実際に見たことはないですが、
今の川崎競馬場よりも急カーブという細長いコースなので「外枠は買わなくても大丈夫」
(岩手競馬の生き字引=松尾康司さん)だったとのこと。

旧・盛岡競馬場の跡地で「ここが1,420mのスタート地点か……」と感慨にふけったことがありますが、
いくらフルゲートが8頭でも、不利どうこうじゃなくて危険でしょ!

1,420mのスタート地点跡地

(1,420mのスタート地点跡地)

なんというか、当時の競馬はわりと「おおざっぱ」なところがあったのだと思います。
当時は育成技術が今ほど進歩していなかったので、走るスピードも現在より遅かったわけですし。
まして「アラブ系」の馬も多かった時代。

同じく「サラブレッドよりは脚が遅い」ポニー競馬でもヘンテコなコース設定がありまして、
韓国のチェジュ島の競馬場では1コーナーの入口からスタートする1,400mという設定があります。
見た目からして内枠有利。

しかしですよ。チェジュの競馬場は最後の直線が400m近くあるので、
後方から追い込んでも間に合うことが多いのよね(笑)。

そういえば、船橋競馬場では3コーナーからスタートする「2,000m」がありました。
競馬は危険と背中合わせですから、より安全なものを選んでいくのは妥当なところ。
事故なく無事に競馬開催が進んでいくことを祈りましょう!

パトロールタワーの近くが船橋2,000mの発走地点

(パトロールタワーの近くが船橋2,000mの発走地点)

そんなわけで、過去の傾向が使えなくなってしまった1,500mのニューイヤーカップ。
2014年以降、ゼッケン1~3番の馬が1頭以上連対しているというデータが使えないのは痛すぎる!

◎1.ノブレスノア
○9.バイザウェイ
▲12.ダイナソー
△8.カイル
△11.ナインバイパー
△3.リヴィフェイス

でも中心視したのは最内枠。
浦和の1,500mはゲートの100m先に左カーブがありますが、ダッシュ力があれば最内枠は最短距離。
ダッシュ力が乏しいと、そこまでの間に位置取りが悪くなるリスクがあります。

そういう点を踏まえて、逃げられそうなノブレスノアを選択。
バイザウェイはどうも「後ろから追いかけられるのはイヤだけど、自分が追いかけるのはOK」
という性格らしく、外枠を引いたのはプラス材料だと思います。

ダイナソーは小回りコースがカギでも流れに乗れればチャンスがありそう。
カイルはそれこそ前走が1,500mの最内枠で、1コーナーまでに次々と前に入られて位置取りを悪くしたのが敗因。
それを考えると、勝ったフレールフィーユより上の評価が必要だと思います。

というわけで、今年から新たな距離で実施されるニューイヤーカップ。
その初年度を的中で飾りましょう!


プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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