
6月は当初の予想以上に移動が激しくなりまして、飛行機に8回も乗る予定。
6月2日に門別競馬場に行ったあとは帯広に移動して、
土日は仲間が開催した「フードバレーとかち」を体験するツアーに参加しました。
まずは十勝清水の「コスモスファーム」で大規模な肉牛の飼養施設を見学。
牛の堆肥がサラサラの手触りになっていることに感動しました。
(牛さんがたくさん)
牛は胃袋が4つもあるので、食べたものの消化率が馬に比べると何倍というレベル。
ただ、昨今の世界情勢で飼料価格が上がっているのが悩みどころだそうです。
牛さんを見学したあとは、すぐ近くにある自然に逆らわない農業を実践している「さわやま農場」でビニールハウス内の苗床を見学。
個人的に以前から持っていた「なぜ帯広あたりはスズメバチが少ないのか」という疑問について聞いてみたら
「たぶん、冬が寒すぎるからでは?」とのことでした。
なるほど、確かにそうなのかも。
私は以前、釧路湿原に向かう舗装された道路を歩いていたときに路面にいたスズメバチと目が合って、
そしてメッチャ威嚇されたのがけっこうなトラウマ。
それからというもの、スズメバチの絶滅を心から願っているわけであります。
釧路にはたくさんいて帯広には少ない理由。
その返答がヒントになって「おそらく湿度の関係では?」と思いました。
釧路の冬は寒くても海が近い「霧の街」なので、気温ほどは寒くないイメージ。
これが帯広になると、雪があまり多くないので湿度も低め。
考えてみれば、北海道の太平洋側で乾いている広い平らな土地があるのは帯広周辺だけなんですよね。
おそらくそれで、明治政府は農業の中心を十勝平野と定めたのだと思います。
(さわやま農場)
その土地を開拓するために導入されたのが大型の馬。
なかでもフランスから連れてきた種牡馬の「イレネー」号が、十勝平野の発展に大きく力を貸してくれました。
今回の「農業見学ツアー」に参加した11名は、私を除いて競馬への興味がまったくナシ。
だから「現在のこの風景があるのは馬のおかげなんですよ!」と力説しても「ハア、そーですか」ってな感じ。
まあ、今の時代は馬に親しむ機会が少ないからしょうがないかな。
続いて3か所目の見学地は「しあわせチーズ工房」。
帯広駅から北に40kmほどの場所で、人口密度がとても低いエリアです。
そこでチーズ職人になる夢を実現した本間幸雄さんに、500リットルの生乳が入る巨大な缶を囲んで解説していただきました。
(チーズ職人の本間さん)
そのあと向かったのは「ありがとう牧場」が一望できる丘。
気温8度、かなりの強風のなか、遠くのほうで口笛が聞こえたと思ったら、牛が一列になって歩いて厩舎に帰っていく!
初めて見た「牛の行列」。
しかし6月でもこれだけ寒いのだから、1月や2月の状況は想像すらできません。
ここでもまた、開拓した時代の人たちはスゴイなあと思わされました。
(牛の行列)
このあとは帯広市内で懇親会。
その前に、私のレンタカーに乗った3人は帯広競馬場へと強制的に連行。
北海道の開拓について理解してもらうには、デカい馬を見てもらうのが手っ取り早い!
帯広競馬場は入場無料なので、1レースだけでも気軽に参加できるのがいいところ。
事前の予想はまったくしていないのでオッズだけで予想して、参加した3人に馬券を買ってもらってレースを観戦。
すると「馬のおかげで開拓が進んだことがよくわかりました」という感想をいただきました。
やっぱりばんえい競馬は“北海道遺産”として長く続いていかないとですね。
夜の懇親会はトロトロにしたチーズを2年熟成のジャガイモにかけて、甘くておいしい一品が完成。
(ジャガイモとチーズのコラボ)
さらにコスモスファームの牛肉と、さわやま農場のオーガニックなアスパラガスに一同は感心。
(ステーキとアスパラガス)
その翌日は、ジャガイモを提供してくださった井上さんの農場に行き、
巨大な冷蔵倉庫で雪にジャガイモを埋めて熟成させている現場などを見学させていただきました。
井上さんの農場は大井競馬場が10個くらい入るくらいの広さがあるので、それを耕すための農業機械も特大。
このトラクターは3,000万円ほどするらしく、運転席にあるスマホとタブレットでGPSの3点計測でまっすぐに進むことができるそうです。
(巨大トラクター)
コスモスファームの社長の安藤さんは愛車が電気自動車のテスラで、これも運転席に巨大なタブレットが備えてあって、
そこに障害物までの距離や車外モニターの画像が映し出されるシステム。
帯広でIT技術の進歩を実感するとは思わなかったですわ……
井上さんの農場を見学したあとは、私の提案が通って帯広競馬場に行くことになりました。
まずは併設されている「馬の博物館」で昔の農業風景を見学。
ちなみに井上さんのお父さんは50年くらい前に「馬耕」をしていたとのこと。
参加者のみなさんには一発で馬の重要性を理解してもらえました。
(馬耕風景)
そのあとは競馬観戦へレッツゴー。
しかし次のレースが新馬戦では予想が難しかったのことよ……。
それでも参加者の女性からは「ひとりでは行けない場所なので、いい機会でした」と感謝されました。
なるほど、そういう人は多いのかもしれないなあ。
2日間にわたる「食と農業を感じるツアー」は、ばんえい競馬で締め。
これからも馬文化という面を含めて、ばんえい競馬が発展していくことを期待したいものです。
しかし帯広で初めて行われた「馬券を伴う競馬」は、平地の競馬なんですね。意外。
さてさて今週の船橋は重賞がない開催。
今回は水曜日の準重賞、短夜賞にトライします。
◎8.ギガキング
○1.ギャルダル
▲3.リッカルド
△6.キタノオクトパス
△2.ゴールドホイヤー
ギガキングは休み明けでも船橋での好成績を評価。
ギャルダルもかしわ記念は度外視可能で、この距離もプラスになるとみて対抗に取ります。
リッカルドは休み明けでも夏場の成績がわりといいので一発に注意。
キタノオクトパスは超大型馬で、1コーナーと3コーナーのカーブがゆるい船橋競馬場は大歓迎といえるでしょう。
ゴールドホイヤーは前走の川崎マイラーズのパドックがいい雰囲気だったんですよね。
そのときの2着をフロック視するのは危険とみて押さえておきます。
浅野 靖典
1969年8月1日生まれ
1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。